教育ICTリサーチ ブログ

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横浜市立つづきの丘小学校 校内研修レポート(2021年10月28日)

 2021年10月28日に、横浜市立つづきの丘小学校の校内研修に講師としてお招きいただきました。
 今回の研修では、つづきの丘小学校が取り組んでいる「働き方改革」にICTをどう役立てるかというポイントで、ロイロノート・スクールを活用して授業事例の紹介と、Google Workspace for Educationの体験を目指しました。
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 先生方に自分のiPadを持ってもらって参加してもらっていたので、最初に9月の分散登校期間に、どのようにロイロノート・スクールを活用していたのかをカードに書いて提出してもらいました。
 つづきの丘小学校では、9月の分散登校期間に一気にロイロノート・スクールの活用が広がったそうですが、こうした研修の場で挙手をしてもらって「こういう活用をしました」と説明してもらうと、どうしても時間がかかってしまいます。そこで、たくさんの事例を共有するのであれば、同時にみんなで書き込んで、それを見る形にする方が、たくさんの情報を見ることができるようになります。
 実際に提出されたカードを見てみると、実際に子どもたちと一緒に使ったロイロノート・スクールの画面を撮影して貼り付けてあったり、撮影した写真があったりもします。言葉だけでなく、写真などを使うことによって、表現の幅も広がり、より豊かに情報を共有できたと思います。
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 つづきの丘小学校でのロイロノート・スクールの使い方を見せていただきながら、それに関連する日本各地の学校で行われている授業を紹介してきました。
 なかでも先生方の興味関心が高かったのは、デジタルドリルを使った授業事例だったと思います。デジタルドリルにもいろいろありますが、自動出題・自動採点が可能なことや、一人ひとりにあった出題ができること(=アダプティブラーニング)に関心を持ってもらえたように思います。デジタルドリルを使うことで、どのように授業が変わるのか、について紹介をしました。
 自動出題・自動採点ができれば、家庭学習などの履歴などを見て授業準備もできるようになります。採点や教材準備にかけていた時間を軽減することができるので、働き方改革に役立てられるのではないかと思います。宿題をノートで集めて、採点して、その結果を見て…というのは時間がかかる部分なので、そこを全部ではなくある程度自動化して、先生はそこでできた時間を子どもたちに働きかける時間にすることができるのではないか、という話をしました。

 後半では、Google Workspace for Educationの中から、Googleフォームを利用したアンケートをロイロノート・スクールで送って、「この研修、ここまではどうですか?」という問いに実際に答えてもらいました。先生方に答えてもらいながら、リアルタイムで回答が記録されていく様子をモニターで映して見てもらいました。
 また、「質問、コメントなどがあればお書きください」という自由記述の問いにも、積極的に書き込んでもらいました。挙手しなくても質問ができる、いつでも質問ができる、というのは、ICTを活用することの大きなメリットだと思います。
 つづきの丘小学校での、子どもたちとのやりとり、家庭とのやりとりのなかで、Googleフォームが役に立つ場面もあるのではないかと思います。
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 最後に、Googleドキュメントを使った協働編集を体験してもらいました。先生方が別々に資料を作るのではなく、同時に編集したり、すでにできている部分にコメントを書いていくことは、働き方改革にも繋げられるのではないかと紹介しました。
 先生方に文書の同時編集と、コメントの書き込みをやってもらいました。実際にやってみることは、「授業で子どもたちにやってもらったらどうなるだろうか」というアイデアにも繋がります。
 Googleフォームでもらった質問のなかで、「デジタルで作文指導を行う場合何かいい方法があれば教えていただきたいです」と書き込みがあったので、書いている途中でも、先生が読んでコメントを入れることも、クラスメイト同士でコメントを入れることも可能になります、という話をしました。これも、紙ではなかなか実現できないことなので、デジタルによって子どもたちの学びを変えることに繋がると思います。
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 先生方からは、以下のようなコメントをいただきました。

  • デジタルドリルがすごくいいなと思いました。対面だと、全員に個別対応するのが難しいので…。
  • 体育で、こま撮りをして写真を重ねるというのを、詳しくお聞きしたいです!
  • 先程話に出ましたが、1年生からローマ字入力をしたほうがいいですか?
  • 作文指導をしている時に、アナログで行うと、段落を開けていないから書き直し、句読点がないから、以下の文章を書き直しなどがあります。デジタルで作文指導を行う場合、何かいい方法があれば教えていただきたいです。
  • どうすれば教育委員会がデジタルドリルを使おうと言ってくれるようになりますか?
  • 体育の実技動画の撮影をして授業と評価に活かしたいです。
  • 他の学校の事例に加えて、各クラスこんなことで活用しているんだと知れたことがよかったです。いままで校内で共有する機会もなかったので、今後参考にしながら授業に取り入れていこうと思います。

 ロイロノート・スクールでも、Google Workspace for Educationでも、情報のやりとりの量を増やすこと、速度を上げること、共有がしやすくなることが可能になります。これらは、先生方の働き方改革に大きな力を発揮すると思います。もちろん、それは子どもたちの「学び方」を変えていくことにも繋がります。まずは先生方で使ってみて、それを子どもたちとの授業の中に使っていく、というふうになっていくといいと思っています。

 今回の研修は、つづきの丘小学校地域学校協働本部の紹介で実現しました。こうした取り組みを先生方がしているということを、保護者や地域の方も理解してもらえるように、地域学校協働本部がサポートすることができれば、より取り組みを確実に進めていけるのではないかと思いました。

(為田)