2021年11月18日~21日までの4日間、Edvation x Summit 2021 Onlineが開催されています。申込みをすれば、たくさんのセッションをオンラインで聴講することができます。僕はYouTubeで見ていましたが、チャットでのコメントも活用しています。
参加できなかった学校の先生方が少しでもエッセンスを知れたらいいなと思い、僕が参加したセッションについては、聴きながらメモをまとめたTwitterを公開していこうと思います。
www.edvationxsummit.jp
セッション「世界で活躍するために必要な英語力って何だろう?」
次に参加したセッションは、「世界で活躍するために必要な英語力って何だろう?」でした。登壇されたのは、安藤益代さん(株式会社プロゴス 取締役社長)、投野由紀夫さん(東京外国語大学 大学院総合国際学研究院 教授)、中田浩二さん(株式会社 鹿島アントラーズFC クラブ・リレーションズ・オフィサー)です。
サッカー選手として、フランスのオリンピック・マルセイユ、スイスのFCバーゼルでプレイし、国際舞台での経験もたくさんしている中田さんに、世界で活躍するために必要な英語力はどんなのものだったのかを訊くところからセッションは始まりました。
「4技能でいちばん大事だと思ったのは?」(投野先生)→「話す、ですね。辞書を引いたりしていたら、向こうがコミュニケーションをやめてしまうので、バーゼルに行ったときは、どんどん話していこうとした。文法とか発音とかを考えすぎるとテンポよく返せなかった」(中田さん) #ES2021
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) November 18, 2021
「テンポよく会話できる(=話せる)と、相手も喜んでくれる。会話だけでなくて、仲間の輪の中に入るために飛び込むこともした(坊主になったり)。話すことは大事だな、と感じた」(中田さん) #ES2021
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) November 18, 2021
「いろんな言葉が飛び交うバーゼルやマルセイユというチームにいて、相手に飛び込んでいくメンタルにはなったと思う。待っていると話しかけてはこないので、積極的に言葉を使って飛び込んでいく。“正しい”や”間違っている”にこだわらず、飛び込んでいくのが大事」(中田さん) #ES2021
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) November 18, 2021
セッションを聴いていて、「正しい英語にこだわらない」ということを考えると、どんどん話してコミュニケーションがとれた成功体験を積み重ねていくことで、「飛び込む」ことができるマインドもできるように思います。
「いまは英語が母国語の人よりも、英語を外国語として使っている人の方が人数が多くなっている。そういう言語になってきている」(安藤さん) #ES2021
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) November 18, 2021
「意外とみんな、ちゃんとした英語じゃないんだな、というのは感じた。地域によって同じ英語でも発音が違うこともある。どんどん話すこと。話さないと何も始まらない」(中田さん) #ES2021
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) November 18, 2021
そう考えると、学校での英語教育はどのようであればいいのか、考えさせられます。
続いて、話は国際基準であるCEFR(セファール)にうつっていきます。
「英語の国際基準は、CEFR(セファール)。世界中で国際標準になっている。A1→A2→B1→B2→…→C2と上がっていく」(投野先生) #ES2021
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「すべてのヨーロッパ言語でも、CEFRで評価するというふうになっている。母語以外に言語を複数話せる人は、総合的に評価される。世界中の言語テストがCEFRに対応するようになってきている。標準的に能力を示せるようになっている」(投野先生)→英語はC2くらいだけどフランス語はB1のように。 #ES2021
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「ビジネスでならば、CEFRで4技能でB1以上だと、ひととおりのことはできると言われている。どのように学習するか、を自分で戦略を考えて学ぶことが大事」(投野先生) #ES2021
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どれくらいの技能がいるのか、というガイドラインは一人ひとりに対して与えられるといいな、とたしかに思います。
中田さんは、サッカー選手だったので、サッカー周辺の語彙や表現が集中的に強化もされていくだろうし、そこを軸にどんどん話せるようになっていったのかもしれません。学校であれば、こうした「これについて英語で話したい!」という軸をどう作るか、というところが問題になるように思います。この部分は、プロジェクトでもいいし、プログラミングとかでもいいのかもしれないな、と思いながら聴いていました。
「これまでは結果が返ってくるまでに時間がかかったが、スピーキング力を測れるようにして、どこへ向かうか、どう学んでいくかという地図を手に入れなければいけない」(安藤さん)→PROGOSが「英語スピーキングテストのDX」を実現。 #ES2021
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「テクノロジーで英語のテストが受けやすくなりました、というブレイクスルー。いつでもどこでも受けられる。たった数分で結果返却。学習への詳細なアドバイスが出るので、次にどう勉強したらいいかがわかる」(安藤さん) #ES2021
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) November 18, 2021
テクノロジーで、すぐに採点されたり、アドバイスなども一人ひとりに対して迅速に出せるのはたしかにいいことだと思います。こうして見ていくと、4技能を学校の一斉授業のなかでやる、というのは、強みのところは残したらいいと思いますが、テクノロジーを導入して個別学習できるところはどんどん出していけばいいようにも思います。学校の英語教育でどういう部分をカバーしていくべきなのか、ということについて考えさせられるセッションでした。
セッション「世界で一番のEdTech本屋リターンズ」
次に、セッション「世界で一番のEdTech本屋リターンズ」に参加しました。高山智司さん(EdTech本屋店長)、井上祐巳梨さん(STEAM JAPAN編集長)、尾花佳代さん(T-KIDS株式会社 代表取締役社長)、細川めぐみ さん(東洋経済オンラインeducation×ICT編集長)が登壇されます。「EdTech本屋」は、「EdTech+本屋」で、どう本を届けるか、という話かと思いきや、「EdTech本+屋」でした。登壇者のオススメ本をたくさん知ることができました。
最初は細川さんのオススメ本。
登壇者によるオススメ本の1冊めは、安宅和人さんの『シン・ニホン』でした。 #ES2021
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1年前に、このブログで先生方と読書感想文大会をしたことを思い出しました。社会の変化を知ることができる本ですね。
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いま登壇していないけど、工藤校長先生のオススメは、『子どもが生きる力をつけるために親ができること』です。麹町中学校会場でやっていたのが懐かしいですね。 #ES2021
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3冊目のオススメは、登壇している井上さんによる『STEMで未来は変えられる』です。とにかくCreative Confidenceに溢れた、ギタンジャリ・ラオさんの本。まだ読んでいないので、読みたいな。 #ES2021
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周りの大人たちのマインドがとても大切。何かを子どもがしようとしたときに、周りの大人が、「イエス」と言ってあげられるかどうか。 #ES2021
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) November 18, 2021
『STEMで未来は変えられる』はまだ読んでいないので、読もうと思います。
続いて、尾花さんのオススメです。尾花さんは、蔦屋書店内でやっているT-KIDSで子どもたち向けのワークショップもされているそうです。オススメされたゲームも本も、題材として使えそうだと感じました。
続いて尾花さんのオススメは、ゲーム『マネーモンスター』、本は『文系も超ハマる数学』。本を売る、CDをレンタルする、という仕事ではなくて、「ライフスタイルを提案」している。本屋の役割は10年前から問い直していて、「本屋での出会いであり、新しい発見」である。 #ES2021
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) November 18, 2021
その他にも、今回のEdvation x Summitに登壇している方々の本はたくさん出ているので、高山さんがAmazonでまとめてくださっています。チェックしてみるといいと思います。
セッション「創る楽しさが学びを深める!」
Day1の最後に、セッション「創る楽しさが学びを深める!」を観ました。登壇されたのは、中村俊介さん (株式会社しくみデザイン 代表取締役)、田中章愛さん(ソニー・インタラクティブエンタテインメント toio事業推進室 課長/toio開発者)、タツナミシュウイチさん(明治大学サービス創新研究所 研究員/慶應義塾大学SFC研究所 所員/Microsoft Innovative Educator FELLOW)、シーナアキコさん(音楽家/ガラクタ演奏家/あそびのアトリエ ズッコロッカ管理人)です。
みなさん、「創る」ことを仕事にされている方々で、楽しそうに語り合うのが印象的でした。タツナミさんがマインクラフトに対しておっしゃっていた言葉は、学校の先生方や保護者にお伝えしたいと思いました。
「マインクラフトは、片付けなくていい、無限にできるブロック遊びだ、と思った」(タツナミさん)→たしかに。ブロックも時間も無限に使える遊び場だと考えれば、そういう触れ方をさせてあげたいなあ。 #ES2021
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) November 18, 2021
登壇している皆さんがどんな子どもだったのか、というテーマで話が進みます。
みなさん、どんな子どもでしたか?→「工作が大好き。家族みんながものづくりに関わる仕事をしていた。小さい頃からガラクタを集めて、工作したり、BASICをいじったり。ソフトとハードと両方やっているうちにロボコンへ」(田中さん) #ES2021
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「ロボットとか、物が動く仕組みを知るのが好きだった。分解して、作って、というのをしていた」(田中さん) #ES2021
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どんな子どもでしたか?→「いまと変わらない。自分が使いたいものを作る、というのがすごく多かった。そのへんの廃材から下駄を作って履いたり、フラスコを挟む台を自分で作って家で実験したり、とかが好きだった。無いものは、自分で作ればいいと思ってた」(タツナミさん) #ES2021
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「いまもキャンプでいろいろ作ったり、庭を作ったり、畑を作ったり。リアル・マインクラフト。マインクラフトの教材を作って、子どもたちが喜んでくれるのもうれしい。根本的に、無いものは作ればいいと思っている」(タツナミさん) #ES2021
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「それを許すお母さんがいたからこそ、ですよね?」(シーナさん)→「いや、怒られましたw」(タツナミさん) #ES2021
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どんな子どもでしたか?→「自分が何が好きとかも、わからなかった。スポーツも好きだった。友達に誘われて吹奏楽部へ。そのままいつの間にか、音楽がいちばん大切なものに」(シーナさん) #ES2021
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) November 18, 2021
どんな子どもでしたか?→「僕は、しくみが好きなんです。なんでそうなってんの?と何でも分解していた。そこからすごいものを作り込むような気質ではなくて、しくみに興味があった。小さい頃はノートにゲームっぽいのを作って、みんなに遊んでもらってブームのきっかけを作った」(中村さん) #ES2021
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) November 18, 2021
「創る」「作る」を仕事にするにはどうしたらいいのでしょう、というテーマも出てきました。
子どもの頃は単純に作るのが楽しかったが、大人になるとそうはいかない→「自分で作っているだけでは仕事になっていなくて、それを他の人にもやってもらって、それを楽しむようになると、仕事になる」(タツナミさん) #ES2021
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) November 18, 2021
「音楽は、練習して、楽器できるようになって…と最初が大変そう。身の周りに音楽は溢れているのに」(シーナさん)→楽しむためのスキルでありそれは手段だったはずなのに、それが目的になってしまうこともある。 #ES2021
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) November 18, 2021
「好きだったら、知りたくなる。日本語でなければ、英語であっても取りに行く。それが英語の学びにもなる。探究が生まれる」(タツナミさん) #ES2021
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) November 18, 2021
「自分が好きなことを!」というところから、他者と関わっていけるか、というところが大事なのかもしれない、と思いました。「他者に認めてもらう」でも「他者の役に立てる」でもいいのかな、と思います。
そう考えると、これはクリエイティブ系なことにだけ通じることではなくて、おそらくさまざまな仕事も「楽しい!」とか「好き!」から始めてもいいことになるのかもしれません。英語でも、数学でも、スポーツでも、同じことが言えるように思います。
「必要だから勉強するのであって、勉強したから何かになるわけではない」(中村さん) #ES2021
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) November 18, 2021
「勉強したから何かになるわけではない」には賛成!と思う一方で、小学校や中学校の授業を多くサポートをしている立場としては、なかなかみんながそうはならないんですよね…とも思います。
好きなものを見つけて、そこから探究のプロセスに突っ込んでいけるようになるために、勉強して「自分にあった学び方を学ぶ」とか「やればできるという小さい成功体験をする」*1とか、そうした役割も学校にはあると思っています。
ただ、「勉強それ自体は手段なので、目的にならないように」ということを軸に考えれば、もちろん両立する話だな、と感じました。
No.3に続きます。
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(為田)
*1:これはお昼に見たセッション「オンラインでもアクティブラーナーを育むには」でも話題に出てました