2023年9月21日に神戸市立中央小学校を訪問し、小紫晟子 先生が担当する5年生の体育の授業を参観させていただきました。今回は、跳び箱運動のかかえ込み跳びに取り組む授業でした。
指導案のタイトルに「頂凸猛心!自分の壁を跳び越えたるで!」と書かれていたこの授業は、ウォーミングアップの後は、ネーミングが特徴的な4つのパートに分かれていました。それぞれのパートの名前と目指していることを、以下にまとめます。
- エンジョイタイム
- やりたい場で何度も挑戦できる
- ちょとっ話タイム
- 困っていることやコツをみんなで共有する
- 頂凸猛心タイム
- 仲間と一緒に課題に向かって頂凸猛心!
- 自分の壁を跳び越えタイム
- 成果を確かめ合い・認め合う
最初の「エンジョイタイム」では、自分がやりたい場で跳んでいきます。アリーナに用意されていた8つの跳び箱は、それぞれに高さも違っていて、縦向きに設置してあるものも横向きに設置してあるものもありました。子どもたち一人ひとりが、自分の課題に対応したところで練習ができるようになっていて、それぞれ自分に合った場を選べるので楽しそうに跳んでいました。
かかえ込み跳び以外の跳び方をしている子もいましたが、いろいろな技ができて楽しそうです。「できた!」という子どもたちの声がたくさん聞こえるのと、同じ場にいる友達から、「おしい!もう少し!」という声も聞こえていて、全員で跳び箱を楽しんでいる様子でした。
10分ほど自由に跳んだ後で、給水をして小紫先生のところに集合して、「ちょとっ話タイム」に移ります。ステージの上に映された動画を見て、かかえ込み跳びをするときの課題について全員で話し合います。動画を全員で見て小紫先生が気をつけるべきところを助言していくことで、子どもたち全員で注意しなくてはいけないポイントを具体的に共有することができます。
小紫先生は、「グループに分かれて、“今日、ここをがんばる”というところを言ってみましょう」と言います。グループで円になって、グループの人にがんばるところを言っていきます。こうして自分の課題を1つ決めて言葉にすると、グループの仲間がどんなところをがんばっているのかわかるし、周りで見ているときにも注意して見てアドバイスをすることができると思います。
その後は、「頂凸猛心タイム」です。さっきの「ちょとっ話タイム」で話した自分の課題を意識して、自分にあった跳び箱で練習をします。「タブレットを使って撮影して、自分がどんなふうに跳んでるかを見てもいいよ」と小紫先生は言います。15分ほどクラスメイトと話し合いながら練習をしていきます。
最後の「自分の壁を跳び越えタイム」では、チャレンジしてきた成果を認め合います。一人1台アリーナにもってきたWindows端末を使って、お互いの動画を撮影し合います。「ちょっと脚、開いてるで!」「ななめってる」というような声かけもありましたが、それだけでなく撮影した動画をお互いに見合うこともしていました。自分が跳んでいる様子を動画で見られるので、グループの仲間からの声かけを客観的に自分でも見られます。
かかえ込み跳びで「脚が開いている」ということをわかるためには、正面あるいは背面から撮影したほうがわかりやすいので、そのアングルで撮影している子どもたちもいました。どの角度から見たほうがいいのか、ということを考えられることも、問題発見・問題解決につながる大事なスキルだと考えます。
子どもたち同士で動画を見るだけでは、なかなか跳べるようになるアドバイスをすることもできないかもしれません。こういうときは、先生に動画を見てもらって、「どうしたら跳べるようになりますか?」と質問できるようになるといいなと思います。
例えば、かかえ込み跳びをすると跳び箱の上に正座してしまう子には、「まずは跳び箱の上に足裏で着地できるようにしてごらん」というふうに、どうやったら跳べるようになるかを子どもたち同士でアドバイスできるようになるのが理想だと思います。
そういう跳べるようになるアドバイスは、先生だからこそできることだと思います。一人の子から質問があったときに、アドバイスをみんなに対して共有することで、子どもたち同士でも「跳べないのは何が原因か」ということを考える視点をもてるように徐々になっていくと思います。
アリーナではふりかえりの時間までできなかったので、教室に戻って帰りの会の時間のなかで、自分が跳んでいる動画を発表ノートに貼り付けて、ふりかえりを書きました。動画を見返しながら書くことで、より詳細にふりかえりができるようになり、スキルの向上にも繋がると思います。
No.3に続きます。
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(為田)