録画で見たTBSドラマ「インハンド」の第7話を見ました。好きなドラマで、非常に楽しく見たのですが、この回のなかで「救世主兄弟」という言葉が出てきました。
www.tbs.co.jp
あらすじとしては、以下のようなものでした。
- 生まれつき免疫に欠陥があるPID(原発性免疫不全症候群)で入院している女の子がいる。
- PIDの有効な治療法は骨髄移植しかないが、ドナー提供者もいない。
- 父親はすでに他界。母親とはHLA型が一致していない。
- 父親は研究のために自身の精液などあらゆるものを保存してあるので、それを使って体外受精をし、HLA型が一致する可能性が高い同じ両親からの子どもを産もうとする。
- この子どものことを「救世主兄弟」と呼ぶらしいです。
「救世主きょうだい(Saviour Sibling)」「救世主ベビー」という言葉がある。移植が必要な難病の兄や姉を救うために生まれた子どものことだ。両親は、複数の体外受精卵をつくって、移植に適した受精卵を選んで妊娠、出産する。
ドラマの最後に、「救世主兄弟は、日本では認められていません」というテロップが表示されました。調べてみました。
【第7話こぼれ話2】救世主兄弟の出産は、日本では学会等のガイドラインから実質的に認められていません。健康であろう受精卵のHLAの検査が、病気の場合の遺伝子検査に限定した今のルールに反するのです。描写に苦労しましたが、作中では「受精そのものに失敗した」ことで未遂に終わらせています。
— 嘉糠洋陸 (@hirokanuka) 2019年5月24日
エンターテイメントとして非常におもしろかったので、ここを入り口に、「救世主兄弟」の是非についてなど、考えてみたりするのもおもしろいと思いました。興味を持って、テーマを新たに意識してくれる生徒もいるのではないかと思いました。
ドラマ「インハンド」は、原作マンガがあるので、Kindleで読んできてもらうということもできるかも、と思ったのですが、この第7回はオリジナル回だそうで、残念。
すでにオンエアが終了してしまっているのですが、TVer(1週間だけしか見られないけど)やParavi(有料だけれど)で見ることもできます。「ちょっとこのドラマを見て、救世主兄弟について、賛成/反対の立場で意見を書いて」というふうな宿題を出して、教室でディスカッションやディベートにつなげるような反転授業もやってみたいと思いました。
(為田)