高井浩章『おカネの教室 僕らがおかしなクラブで学んだ秘密』を読みました。2人の中学2年生が、学校で「そろばん勘定クラブ」に入り、お金を手に入れる方法=かせぐ、ぬすむ、もらう、かりる、ふやす…さて、6つ目の方法は?と考えさせる、小説形式の本です。
最後にあとがきを読んで知ったのですが、もともとは家族内の回覧読み物だったものを、Kindleで個人出版し、そこから書籍化されたようです。すごい…。
本作はもともと、筆者の家族内の回覧読みものでした。
現在高校生の長女が小学5年だった頃に連載を開始。数年後に次女が読者に加わり、ずっとこの二人だけを相手に書き続けてきたものです。今は三女も楽しんでいます。
(略)
金融・経済系学園ドラマ(?)という珍妙なスタイルは、飽きっぽい我が娘たちに読ませるための方策でした。「そろばん勘定クラブ」の一員になったつもりで読み進むと、お金や世の中のカラクリが腹にストンと落ちる、という試みが成功しているかは、読者のご判断に委ねます。(p.268)
ICTと組み合わせて実際にいろいろな仕組みを合わせて考えるとおもしろいと思いました。
ストーリーの最初に出てくる、「2000円借りて、2ヶ月後に2200円を姉に返す」という約束での利子は…?というとても古典的な、複利の話*1では、実際に数字がどう増えていくのかを、Excelの相対参照と数式のフィルコピー機能の事例として使えます。Excelで簡単に表を作ることができます。
実際、授業ではよく使っていました。「えええ…詐欺じゃん」と子どもたちからリアクションが出るのが楽しいのです。
それから、預金するとどれくらいの利子がつくのかを調べてみる、という題材も出てきていました。これも、銀行の預金サービスのページなどをしらべてみたりする活動に繋げられそうです。
ここから、リーマンショックの話、資本主義・社会主義・民主主義の話、市場の話、信用創造の話*2、ピケティ、マイクロファイナンスやビットコインの話まで、どんどん進んでいきます。だんだんテクノロジーとも関係する話になっていきます。
お金について学ぶことは、あまり学校などではされていませんが、お金は人生のなかで否応なく関わってくるものでもあるし、何かを実現するためにはお金が必要な場面もたくさんあります。また、お金のしくみを知らないことで、騙されたり不幸な目に遭ってしまうこともあると思います。お金とは何かを考えるコンテンツのひとつとして、こうした書籍をベースにしてプロジェクト学習などができてもおもしろいのではないかと思いました。ちょっと考えてみようかな、と思いました。
(為田)