井庭崇先生の『コロナの時代の暮らしのヒント』を読みました。井庭先生の『クリエイティブ・ラーニング』は、自分のなかでとても重要な本で、教育をどうアップデートしていくのかを考えるときにときどき読み直しています。
そんな井庭先生が、コロナ禍での大変な状況の暮らしのなかで、「こんなふうにしてみたらいいんじゃない?」と提案をしてくれる本です。井庭先生の目線はいつも優しくて、とてもオープンです。
全部で32個のヒントが書かれています。自分のなかで好きだったものをメモしておきます。
- 4 《ゆるやかなつながり》も大切にする
- 13 どの未来が来ても大丈夫なように、《未来を織り込む》
- シナリオ・プランニングの手法を使って、4つの未来シナリオを書いてみる。どの未来シナリオもあり得ることと想定して《未来を織り込む》
- 感染状況も経済状態も、自分ではコントロールできない環境要因なので、どう転んでも自分が適応していけるように準備をする。
- 「学校のオンライン授業化についても同様です。「短期的なやり過ごし」ではなく、長期的な視野での新しい教育スタイルの構築だと思って取り組むべきでしょう。新型コロナの件が収束したあとでも意味があるように、オンライン授業を開発・実験・洗練させていく」(p.101)
- 16 できなくなったことではなく、《できることリスト》を書いてみて、前向きに暮らす
- できることをブレインストーミング的に書き出していく。意外とたくさんある。
- 「失われたもの」から「自分ができること」にフォーカスを移すだけで、人は元気になれる。
- 23 万が一のことを考え、自分の《活動の足あと》を仲間・家族と共有して、《チームごと》にしておく
- 「最近、僕は、書きかけの本の原稿や論文、重要なファイルを、ごく近い仲間・家族と共有するようにしました。共有のドロップボックスに、「念のための書きかけファイル共有」のフォルダをつくり、万が一のときには引き継いでもらえるように、ファイルのコピーを置きました。」(p.176)
- 30 すべてがオンラインに乗っているからこそ、絶好の《学びのチャンス》だと捉え、飛び込んでみる
- 地理的な制約・条件に囚われずに、いろいろな学びのチャンスを捕まえにいける。
- ウェビナーであれば、参加しているだけならば何かをしながら耳だけ、という参加もできる。
- 家族と一緒に聴くこともできる。
最後の「30 すべてがオンラインに乗っているからこそ、絶好の《学びのチャンス》だと捉え、飛び込んでみる」に関しては、ウェビナーに関しては、参加者としても登壇者としても運営としても、2020年はいくつも参加しましたが、むしろオンラインになったからこそよかった、ということはたくさんあります。学校の先生方はお忙しくて、地理的・時間的制約があるのでなかなかお会いできなかった方とも、オンラインでお話できたりしました。リアルでやるよりもオンラインでやるほうが、参加者が多いこともしばしばありました。これも、「16 できなくなったことではなく、《できることリスト》を書いてみて、前向きに暮らす」に繋がっていく感じがします。
やれなくなったこともたくさんありますが、それをどうこう言っていてもしかたなく、この状況で、何ができるのか、を考えていくしかないと思っています。
32個のヒントのなかには、学校の先生方の仕事にも参考になりそうなこと、子どもたち自身ができることもたくさんあると思いました。子どもたちの学びを、「今までどおりできなくてかわいそう」にするのではなく、「今だからこその新しい学び」に変えていけるようにしていきたいと思います。
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宇野常寛さんの「遅いインターネット会議」にもゲストで登場していましたが、この対談もとてもよかったです。おすすめです。
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