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西武学園文理小学校 校内研修レポート(2023年4月5日)

 2023年4月5日にアドバンスト・エデュケーショナル・アドバイザーとして一人1台のiPadを活用した授業づくりのお手伝いをさせていただいている西武学園文理小学校の校内研修で講師を務めさせていただきました。
 新年度が始まるタイミングで、昨年度の子どもたちのiPadの使い方はどうだったのかをレビューし、新しく始まる1年でどのようにiPadを使ってほしいと価値づけるのかを考える時間にしたいと思いました。

 最初に、子どもたちが実際にどれくらいiPadを使ったと自己評価しているのかについてレビューしました。昨年度末に、1年生から6年生までにGoogleフォームで回答してもらった、「どれくらい学校のiPadを使っているか」についてのアンケートの結果をグラフにまとめたものを先生方と一緒に見ていきます。
 このアンケートでは、以下の3つの目的別に学校のiPadをどれくらいの頻度で使っているかを質問しました。

  • 「学校の勉強のために、どれくらい使っていますか?」
  • 「学校の勉強のほかに、勉強に関係あること(作文・調べ物・プログラミングなど)に、どれくらい使っていますか?」
  • 「学校の勉強のほかに、自分の趣味(イラスト・調べもの・動画・音楽など)のために、どれくらい使っていますか?」

 子どもたちは上の3つの場面でiPadをどれくらい使っているか、「ほぼ毎日」「1週間に3回以上」「1週間に1回以上」「1ヶ月に1回以上」「1ヶ月でほとんど使っていない」から回答してもらいました。
 「学校の勉強のために、どれくらい使っていますか?」については、ほとんどの学年で70~90%が「1週間に3回以上」使っているという回答となりました。授業のなかでの活用が進んでいる様子がうかがえます。
 「学校の勉強のため」に使っている頻度よりは少ないですが、「学校の勉強のほかに、勉強に関係あること」や「学校の勉強のほかに、自分の趣味」についても、思ったよりも使っている子が多い印象でした。先生に言われて使うiPadになっているのではなく、自分で使いたいと思って使うiPadになっているのではないかと感じます。

 こうした数字を出して、「○年生が□%しか使ってない!」というふうにレビューをしたかったわけではありません。そもそも子どもたちの自己評価ですし、学年によって利用頻度が違うのは当然だと思っています。
 ただ、昨年度先生方が自分で担当した学年が、どのくらいiPadを使っていると感じていたのかを知り、そこから新年度にどうしたいかを考える機会にしてほしいと思っています。
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 アンケートの最後には、「そのほかに、学校のiPadを使ってやっていることを書いてください」という自由記述の設問も作りました。1年生から6年生まで、各学年でどんな回答が出ていたのかもまとめて紹介しました。
 自分の好きなことを調べたり、カメラで画像をとったりムービーを作ったり、いろいろなことに使っていることがわかります。3年生の子が、「将来のために使っている」と書いてくれていたのですが、これこそが学校のiPadで「自分でこう使っている」と答えてほしいことの一つだなと思いました。
 子どもたちの中には、こんなふうにiPadを使っていることを自己認識している子がいるということを、先生方も認識することで、授業のなかでのiPadの使い方も変わってくるのではないかと思います。

 一人1台のiPad活用についてのレビューが終わった後で、「新年度、iPadをどのように使ってほしいか」について話をしました。これは事前に研修を企画する時に委員の先生方と話をしていたのですが、「子どもたちの考えを深める」ために使っていけるようにしたいと思っています。そのために、僕からは、以下の4つのポイントを提示しました。

  • 子どもたちの思考・表現のツールとして使いましょう。
  • 提出→回収、で終わってはいけない。
  • 試行錯誤を何度もする(作文、プレゼン、プログラミング…)
  • 失敗の体験ができる

 この4つのポイントは、先生方が意識して授業の中に組み込まなければ、なかなかできないことだと思います。そのためにどんなことができるのかを、最後にMentimeterを使ってアイデアを書き込んでもらいました。

 Mentimeterにたくさん書かれたアイデアを見て、新しく何かにチャレンジしようと思った先生もいたのではないかと思います。はじめてMentimeterを使った先生方が、さっそく授業で使えないかアイデア出しをされていました。こういうことも含めて、たくさんの新しいアイデアを共有して、「使ってみよう」と思ってくださる場になったならよかったと思います。
 また、新しいアイデアを出すのではなく、今回の研修で話した「子どもたちの考えを深める」という視点で、今までにやってきた実践を見直して共有してくれた先生もいました。こうしたことを積み重ねていけることが校内研修の良さだと思います。

 新年度も、西武学園文理小学校での一人1台iPadでの学びをサポートしていきたいと思っています。

(為田)