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パターン・ランゲージで「プレゼンテーションのコツ」を学ぶ授業づくりワークショップ レポート(2025年10月17日)

 2025年10月17日に東北学院大学 土樋キャンパス コラトリエ・リエゾンで、パターン・ランゲージで「プレゼンテーションのコツ」を学ぶ授業づくりワークショップを開催しました。東北学院大学 教授の稲垣忠 先生のご協力で使わせていただいたコラトリエはオープンで素敵な雰囲気でした。
 学校の先生が退勤された後にも来られるように金曜日の午後7時スタートにしたのですが、12人の先生・学校に関わる方々・大学生に参加していただきました。ワークショップスタート前に話を伺ってみると、「パターン・ランゲージという言葉は知っていたけど、どんなものかを勉強したくて」「Facebookで授業の様子を読んでいて、興味がありました」という動機の先生がいらっしゃいました。

「プレゼンテーションのコツ」を学ぶ授業の紹介

 ワークショップの最初に、パターン・ランゲージとは過去の成功事例から抽出した「コツ」を「パターン」として整理して、それを使いやすい形にして伝えているものだと紹介をして、このパターン・ランゲージを使って、「プレゼンテーションのコツ」を学ぶ授業を実践していることを紹介しました。
 参加してくださった先生方には、何よりも「実際にどんな授業ができるのか」を知っていただきたいと思って、これまでに僕が小学校で実施してきたパターン・ランゲージを使って「プレゼンテーションのコツ」を学ぶ授業をその場で体験してもらいました。
 この授業は、株式会社クリエイティブシフトが開発した「プレゼンテーション・パターン」を、「パターン・ランゲージ授業づくりパートナー」である弊社フューチャーインスティテュートが授業で使いやすいように教材設計したものです。
 スクリーンに全部で34のパターンがある「プレゼンテーション・パターン」から選んだ9種類のパターンを映して、順に紹介していきます。

 その後で、僕がプレゼンテーションをして、そのプレゼンテーションに対して「プレゼンテーション・パターン」のカードを使ってコメントを子どもたちに書いてもらいます。
 実際に、9月26日に宝仙学園小学校で行った授業で子どもたちから書いてもらったコメントを紹介しました。ここで、「プレゼンテーション・パターン」のカードがあるからこそ、子どもたちのコメントが引き出されていると考えている、ということを伝えました。

「プレゼンテーション」と「探究」のためのパターン・ランゲージ・カードを見てみる

 授業を体験してもらった後で、3つのテーブルに「プレゼンテーション パターン・カード」と「探究パターン・カード」と「探究パターンBasic・カード」を1つずつ置いて、3~4人のグループで10分ずつ順にテーブルを変えて3種類のパターン・ランゲージ・カードを見る時間をとりました。

 今回は「プレゼンテーションのコツ」を学ぶ授業づくりを体験してもらうワークショップでしたが、「プレゼン」と並んで先生方が興味をもってくれるのが「探究」だと思います。「プレゼン」と「探究」のそれぞれのパターン・ランゲージを比較する機会になればいいなと思って準備をしました。
 それぞれのテーブルでカードを自由に手に取って、どんなパターンがあるのかを読みながら、授業で使えそうかどうか、子どもたちにこのパターンを伝えたい、などの意見交換をしてもらいました。

 たくさん並んだカードをのぞき込んでいろいろ話をしている先生方からは、「このパターンに続けて、子どもたちがいろいろと語ることができそう」という感想を多くいただきました。例えば、「メインメッセージ」というパターンがあるから、「今日のプレゼンの準備では、メインメッセージを決めきれなかった…」というふうにふりかえりをすることができそう、というものです。
 パターン・ランゲージが、「子どもたちが言葉にできないことを、言葉にするトリガー」になり得るというところを先生方が評価してくださったのはうれしかったです。

東北学院大学 稲垣忠 先生によるコメント

 ワークショップの最後に、東北学院大学の稲垣忠 先生に総括のコメントもいただきました。稲垣先生は、『情報活用型プロジェクト学習 ガイドブック』で、学習活動カードを使ってプロジェクト学習をする手法を提唱されています。研究の過程でリサーチをしたときに、パターン・ランゲージのことも知っていたとおっしゃっていました。

 僕のパターン・ランゲージについての紹介、パターン・ランゲージを使ったプレゼンテーションのコツを伝える授業、先生方のパターン・カードを見てのディスカッションなどを踏まえて、カードを使う意味についてコメントをいただきました。

 稲垣先生からいただいたコメントは、パターン・ランゲージを使った授業づくりにも役立てられると思いましたし、改めて『情報活用型プロジェクト学習 ガイドブック』を読み直そうと思います。

 ちなみに稲垣先生の学習活動カードを使った授業デザインは、先日出版された『生成AIとデザインする!情報活用型プロジェクト学習ガイドブック3.0』では生成AIを活用したものになっているそうです。こちらも読んで勉強したいと思います。

 稲垣先生、ご協力をいただきまして本当にありがとうございました。

(為田)