2025年9月26日に宝仙学園小学校を訪問し、3年生と4年生の全4クラスで、「プレゼンテーションのコツ」を勉強する特別授業を担当させていただきました。
授業の最初に子どもたちに「プレゼンテーションって知っていますか?」と質問すると、「発表すること」「自分が考えたことを誰かに伝えること」「会社とかで新しく作ったものについて、誰かに説明すること」などの答えが返ってきました。「プレゼンテーション」という言葉を知らなくても、「何かを誰かに伝える」ことだということはわかっている子が多かったです。
プレゼンテーションが好きな子もあまり好きでない子もいますが、誰かに何かを伝える(それは大人数が相手でなくてもいい)ためのコツを今日は紹介します、と言って授業をスタートしました。

最初に電子黒板を使って、「プレゼンテーションのコツ」を紹介していきます。ここで紹介した「プレゼンテーションのコツ」は、株式会社クリエイティブシフトが開発した「プレゼンテーション・パターン」を、「パターン・ランゲージ授業づくりパートナー」である弊社フューチャーインスティテュートが授業で使いやすいように教材設計したものです。
「プレゼンテーション・パターン」は全部で34のパターンがありますが、そのなかからわかりやすく、「メインメッセージ」「ひとりひとりに」「適切な情報量」「ことば探し」「図のチカラ」など実践しやすいパターンを選んで、3年生には8つ、4年生には9つ、「プレゼンテーションのコツ」として紹介しました。プレゼンテーションを聴くときやプレゼンテーションを自分でするときの評価の軸として多様なパターンを知ってほしかったので、あえて多様なパターンを選んでいます。
パターンが書かれたカードを1枚ずつ大きく電子黒板に映して、パターンのタイトルと意味を紹介して、それぞれのパターンがどういうふうにプレゼンテーションに活用できそうかを説明していきます。
例えば、「メインメッセージ」の紹介のときに、「長い時間、いっしょうけんめい話をしてくれているけど、話を聞き終わった後に、“何が言いたかったんだろう?”って思う人、いませんか?そういう人の話は、メインメッセージがない、っていうことなんだよね」と言うと、「あるある」「わかるー」と頷いてくれる子が多くいました。

この後で、僕が子どもたちに対して簡単なプレゼンテーションをします。僕がしたプレゼンテーションを聞いて、さっき紹介した「プレゼンテーションのコツ」が使われていたかどうかを評価してもらいます。

さっき紹介した「プレゼンテーションのコツ」のカードを並べたワークシートを、ロイロノート・スクールで子どもたちに配布して、僕のプレゼンテーションで「できていたコツ」と、僕のプレゼンテーションを「もっとよくするコツ」について、それぞれパターン・カードを選んでコメントを書いてもらいました。

途中でロイロノート・スクールの提出箱に提出してもらって、回答を共有してクラスメイトがどんなコメントを書いているのかも見られるようにしています。「もっとよくするコツ」は、他者に指摘をすることを遠慮してあまり書けない子もいますが、提出箱でクラスメイトが書いているコメントを見るだけでも、「こういうふうにコメントを書けばいいのか」という学びに繋がると思います。

3年生と4年生が「もっとよくするためのコツ」のところに書いてくれたコメントの一部を紹介します。これだけ多様で具体的なコメントを子どもたちが書けるということが、「プレゼンテーションのコツ」のカードを活用する利点です。
- 3年生:
- ちょっと長すぎる
- 少し情報量が少ない
- 重要なところを少し強調して言うといい。
- 図が多すぎて文字が見えづらかったです。なので図を小さくしたりするといいと思います。You can do It
- 言葉が少なかった。
- 言葉と写真がコンボしてない。
- 文がはやすぎる!
- メリハリがちょっとない
- もうすこし前をむいてほしい
- もっと写真を多くした方がいいと思います。
- 情報が少なくて、あまりわからなかったから、情報量を多くした方がいいと思う。
- 実際に走ってる写真があるともっと良い。
- もう少し話を聞きたかった
- ジョギングしているのはなんと言う公園かを書くともっといい
- 為田さんがジョギングしている写真を出したらいいと思う。
- もっとこっちを見てほしい
- いつも→毎日にしてほしい
- 画面に字があんまりない事で分からなくなる人がいるかもしれないからぜんぶ書いたほうがいいと思います
- 簡単な言葉を最初に入れ、まめ知識のようにそれはどうですと伝えるといいと思う
- ジョギング中のカモしか頭に入る情報がないので、もう少し入れてほしい
- 喋りすぎ。小学生は退屈。
- お腹だした写真NG→体重計の写真
- 写真や動画をもう少しつけたしたほうがいいと思います。
- 4年生:
- もうちょっと後ろの人をみたほうがいいとおもう。
- どんなジョギングが好きかをもう少し教えて欲しい! 【例】1人で静かにジョギングするのがすき!など⋯
- リアル感を出すためにジェスチャーも入れたほうが良いと思う
- ジョギングしている道の写真は入っていたけれどもっと頑張った後の写真を入れたらいいと思いました。
- 「例えば、皆さんの生活で言うと⋯」を入れると良いと思う
- 45分ジョギングした後の感覚の例えがあるといいと思います。
- どういう風にジョギングしているのかを私達にもっと感じさせてほしかった。
- 内容が多い 取捨選択をもう少し。カモがいらない
- ジョギングがメインなのかおばさんがいつもあいさつして来ることなのかがわからない
- 鴨の写真はいらないと思う
- 為田さんの好きなことを、せめてもう一個くらい紹介してみたらどうですか?(私は為田さんの好きなものをたくさん紹介してくれるのかな?と思ってましたが、ジョギングメインの話でした) どうせなら、「ジョギングについて」みたいな題名にしてみたらどうですか?
「よく気づけている」「ちゃんと言葉にできている」「こういうふうにしたらいい、と代案も考えてある」と思うコメントは、クラス全体で電子黒板で見ながら共有していきました。

「一人ひとり、自分が感じたことを書いていいですよ」と伝えたので、子どもたちの間で意見が分かれていることもたくさんあります。
例えば、「鴨の写真は要らない」というコメントがありますが、これは僕がプレゼンテーションの「ジョギングしている公園で散歩している鴨に出会うのがうれしい」というくだりに対してのコメントです。「鴨がかわいい!」というコメントも多かったのですが、それと同じくらい「本筋と関係ないから、鴨の写真は要らない」というコメントもありました。
こうした意見の違いが提出箱をみんなで見ることで可視化できるのもいいと思います。「きちんと理由があるならば、“これは要らないんじゃないか”とコメントしてもいいし、それが他の人と意見が合わないこともあるんだ」ということがわかることも大事な学びだと思っています。
ここで起こったような意見の対立は、グループでプレゼンテーションを作るときにも同じように起こると思います。グループで、もっとプレゼンテーションを良くするためのコメントをきちんと理由をつけて言える子が増えていけば、子どもたちは自分たちでどんどんディスカッションができるようになると思います。
そうした「プレゼンテーションを良くするため」の視点を、今回伝えた「プレゼンテーションのコツ」(=「プレゼンテーション・パターン」)が子どもたちに与えてくれると思います。
いつかは、これを子どもたち同士でできるようになればいいと思いますが、一気にそうはならないと思うので、まずは先生方が子どもたちのプレゼンテーションを聴いたときに、この授業で紹介した「プレゼンテーションのコツ」を子どもたちに伝えてくれればいいなと思います。
先生方が「プレゼンテーションのコツ」で書かれていた言葉を教室で使えば使うほど、「プレゼンテーションのコツ」が子どもたちに定着すると思います。
自分がプレゼンテーションをするときに「プレゼンテーションのコツ」を使うことはもちろん、友達がプレゼンテーションをするときにも「プレゼンテーションのコツ」を使って建設的なコメントをしてあげるようになったらいいなと思います。
「プレゼンテーションのコツ」について知ることで、人に何かを伝えることの楽しさと難しさを知ってもらえたらいいなと思います。
(為田)