教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

書籍ご紹介:『教師のための「支え方」の技術』

 京都教育大学附属桃山小学校の若松俊介先生から、著書『教師のための「支え方」の技術』をお送りいただきました。ありがとうございます。いままで参観させていただいてきた、教室での若松先生と子どもたちとのやりとりが思い浮かぶような本でした。

 子どもたちの学びを支える手立てとして、以下の7つが紹介されています。

  • 学びを進めていく場をつくるために「決める」
  • 子どもたちの声を、内側にあるものを「聴く」
  • 次の学びにつながるつぶやきや表情を「拾う」
  • 子ども一人ひとりの現在の学びの姿を「見取る」
  • 子どもと学習材を、子どもたち同士を「つなぐ」
  • さらなる追究に向け、必要になることを「伝える」
  • そして少しずつ、学びを子どもたちに「任せる」

 どの手立ての説明も、さまざまなエピソードと共に語られています。また、ICTを活用している様子もたくさん書かれています。これらの手立てのなかで、ICTによってエンパワーされるものもたくさんあります。
 7つの手立てを読みながら、「ああ、自分の授業ももっとこんなふうにしたいな」とか、「あそこで、違う声掛けをすればよかったな…」とか、たくさん考えさせられました…。

 紹介されているもののなかで、僕にとっていちばん印象的だったのは、「つなぐ」手立てのところで書かれていた、子どもたちのふり返りについての文章でした。ロイロノート・スクールで子どもたちが提出したふり返りが写真で掲載されていました(一人ひとりのカードには、ぎっしりと文字が並んでいます)。

下の写真は、子どもたちが自分のふり返りを提出したものが一つの場所に集まっている様子です。子どもたちは気になることが書いてあれば黄色のカード、普通のふり返りであればピンクのカードと色分けして出しています。もちろんどちらのふり返りもしっかりと読みますが、子どもたちが気になることに注目しながら改めて子どもたちの一人ひとりのふり返りを読みます。
子どもたちのふり返りを読むのは面白いです。この時間があるからこそ、一緒に学ぶ時間にも子どもたち一人ひとりの学びを丁寧に追いかけて、子どもたち同士をつなぐことができます。(p.215)

 子どもたちががんばって書いたふり返りを読む時間があるからこそ、子どもたち一人ひとりの学びを丁寧に追いかけられて、子どもたち同士をつなげられる、というのは、ICTを使うことによってより強化できるところではないかな、と思っています。
 ただ、僕自身も自分の担当している授業で同じことをやってみても、なかなかふり返りの文字数が増えなかったり、みんなが同じようなふり返りになってしまったり、悩んでいるところではあります。でも、いまのこの悩みの先に、こんな授業につながる可能性を見ることができて、また日々がんばろうと思いました。

 「つなぐ」以外の手立ても、とても参考になりました。自分の授業の中に足りていない手立てもたくさんあり、もっといろいろやりたくなる本でした。
 若松先生、どうもありがとうございました。

追記:
若松先生がFacebookに書いてくださったコメントを読んでいて思いましたが、「ICTがエンパワーしてくれる」というのはたしかですが、それは「ICTを使えばできるようになる」のではなくて、7つの手立てが先にあって、それをICTがエンパワーしてくれるのだ、ということなのは、書いておきたいと思いました。(僕もがんばらなくては!)

(為田)