教育版レゴマインドストームEV3(高学年向け)で「リアルな問題」に取り組む
愛和小学校のプログラミング授業は、低学年では、Scratch Jr.、中学年ではCode.orgを使っています。どちらも、iPadの中でプログラムを動かすものです。小学校5年生、6年生では、iPadの外にあるものをプログラムで動かします。それが教育版レゴマインドストームEV3です。
http://education.lego.com/ja-jp/preschool-and-school/secondary/mindstorms-education-ev3/education.lego.com
隣の教室に行くと、5人グループに1台ずつの教育版レゴマインドストームEV3とiPadが用意されていました。教育版レゴマインドストームEV3でのプログラミングは、これまではノートPCが必要だったのですが、今年の夏からiPadでも可能になりました。これは画期的なことだと松田校長は評価されていましたし、プログラミングをして、動かして、直して…というサイクルを加速させてくれるバージョンアップだと思います。
教育版レゴマインドストームEV3は車の形に組み上がっています。ディスプレイで、何をコントロールできるのかを設楽先生が説明してくれます。ステアリング、パワー、タイヤの回転数を設定することができると伝え、教室の床に赤いテープで作られたコースをぐるりと一周回る、という課題が与えられました。
グループに分かれて、それぞれが自由にプログラムを組み、無線でそのプログラムを車に伝え、実際に動かします。直進させ、止め、ステアリングで方向転換し…という作業をしていきます。思い通りに進んだときにあがる歓声が、いかに参加している先生方を惹きつけているかがわかります(同時に、思い通りにいかなかったグループからはため息も漏れていました)。
コースをしっかり回るために、算数などと連動してプログラミングを考えることもできる、とおっしゃっている先生もいました。例えば、タイヤの直径を測り、直径と円周率を使って円周を求めて、それによってタイヤを何回転させるとどれくらい進むのか、というのを計算で試算し、iPad上でプログラミングし、実際に車を動かしてみることができます。試算してみて、実際にそれが正しかったのか、それともうまく行かなかったのか、というのをチェックすることもできます。このようにして、一般教科と結びつけることもできると言えるでしょう。
何度も繰り返してやるなかで、グループごとにどんどん話し合いが進んでいきます。松田校長は、「これこそがアクティブ・ラーニングでしょう?」と言われていました。まさしく、共通の目的を達成するために、グループで話し合い、みんなで考えていく作業ができるのは非常にいいな、と思いました。
最初にコースを一周できたグループが出たら、どのようなプログラミングをしたのかをクラス全体でシェアします。いわば、それは今回の課題においての「正解」ですが、みんな同じように「正解」通りに設定してみても、すべてのグループがきちんとできるかというと、できるグループとできないグループがいるのです。
松田校長は、「同じようにプログラミングしているのに、同じようにはうまくいかない。なぜか?」と参加者に問います。理由は、教室の床の一部が歪んでいたり、滑るところと滑らないところがあったり、という実際の条件によって起こる誤差だということです。こうした誤差を踏まえて、どのようにプログラムを調整するのか、というのが教育版レゴマインドストームEV3を使ってのプログラミングの醍醐味だと思いました。松田校長は、「こういうふうに現実の条件に合わせて微調整をしていくのは、月面探査機のプログラミングも同じだ」ともおっしゃっていました。
正解が分かった後でも、正解をただ入れればいいかというと、やはり実際にやってみることが重要、という、リアルに向き合うプログラムになっていたように思いました。
第4回に続きます。
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(為田)