教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

コエテコEXPO 2025 民間プログラミング教育フェス ~AIと描く、プログラミング教育の新章~ セミナーレポート No.2(2025年6月17日)

 2025年6月17日にオンラインで開催されたコエテコEXPO 2025 民間プログラミング教育フェス Day2に参加しました。「AIと描く、プログラミング教育の新章」というテーマの通り、生成AIに関するセミナーをたくさん聴くことができました。
 参加したセミナーのなかから、学校や公教育と関係が深そうなセミナーの気になったところのメモを共有したいと思います。セミナー全体の記録ではなく、あくまで僕が個人的にとったメモです。学校の先生方に読んでいただいて、生成AIについての興味関心をもっていただけたらいいな、と思っています。

生成AIとプログラミング教育 ~公教育・学校・民間教育の現場から考える、学びのリアルと本音~(スタディサプリ「情報Ⅰ」講師・青山学院大学講師・安藤昇 先生)

 スタディサプリ「情報Ⅰ」講師・青山学院大学講師・安藤昇 先生のセミナー「生成AIとプログラミング教育 ~公教育・学校・民間教育の現場から考える、学びのリアルと本音~」では、青山学院中等部の生徒たちの授業の様子がたくさん紹介されていました。

  • AIは「どう使うか?」から「何を任せるか!」の時代へ
    • 何を任せて、何をやるかを考える時期に来ている。
  • 青山学院中等部の生徒たちがやっていた、バイブコーディング(安藤先生のnoteを参照)
  • バイブコーディング
    • 話すだけでアプリが作れる
    • 作りたいものを説明→AIがコードを自動生成→動かして確認→気軽に修正依頼→完成
  • AIが勝手にプログラミング?子どもの思考力は大丈夫?
  • 英語圏の子どもが自然に言語を習得するように、高度なコードに触れることで、概念が自然と身についている。
    • 安藤先生「これ、現場にいて衝撃的なんです。この授業の活気が凄い!」
  • 何より創造性に集中できる!
  • 最初はわからなくてもいい。わかるようになる。
  • 「何かを作りたい」という好奇心に耐えきれず、プログラミングを学んでしまう。
  • 偏差値が高ければ、創造性が高いわけではない。小さい頃の遊びが大事。
  • 新しい教育への第一歩
    • いままでの小学校、中学校のプログラミング教育はそのままでいいと思っている。
    • プログラマが不要なのではなく、役割が違うと思う。
    • オーケストラを指揮するような能力が、プログラミングに役立つ。そのためには、ある程度アプリを自分で作っておくことが大事だと思う。完成品をいくつ作れるかが大事。

 「英語圏の子どもが自然に言語を習得するように、高度なコードに触れることで、概念が自然と身についている」って、すごいパンチラインだと思いました。バイブコーディング、俄然興味が出てきました。
 僕は小学校でプログラミングを子どもたちと一緒にやってみることもあるので、もっと熱を注入して「作りたい!」という好奇心を掻き立てる授業をしないとダメだな、と思いました。修行したいと思います。

芝浦工業大学附属中学高等学校の特色ある取り組み ~電子技術研究部が育む、探究と創造の学び~(芝浦工業大学附属中学高等学校・岩田亮 先生)

 芝浦工業大学附属中学高等学校・岩田亮 先生のセミナー「芝浦工業大学附属中学高等学校の特色ある取り組み ~電子技術研究部が育む、探究と創造の学び~」では、電子技術研究部がもつ学びのコミュニティのパワーや文化を感じました。自然にできたコミュニティの文化ではなくて、岩田先生が作りたいと思って方向性を示して、生徒たちと一緒に作った文化だというのがわかって、すごく感動しました。学校だからこそできることだな、と感じました。

  • 電子技術研究部(電技研)の部員は179人。
  • 部訓
    • 研究と貢献
    • 仮説と検証
    • 先輩から後輩へ
  • 「好きなものはやるけれど、興味ないことはやらない」というのもある。だからこその「研究と貢献」。研究した内容は後輩へも伝えるし、一般生徒にも伝えるし、小学生向けのワークショップをしたりもする。
  • 教える部活ではなく、「やりたいを応援する部活」になっている
  • どのチームも年に1回必ず大会に出る。大会に出たら必ずワークショップをやる。
    • 悔しさを感じる。
    • 失敗談をワークショップで共有する。
  • ドローンやLEGOを扱うことで、ハード(物)を大事にするようにもなってほしい。
  • テキストを制作している。各プロジェクトで先輩がさらに詳しいテキストを作るようになった。→電技研以外の先生向けのテキストも作られるようになってきた。

 電技研については、2020年10月に芝浦工業大学附属中学高等学校を訪問させていただいたときに、岩田先生に「研究と実践と学びが混ざり合っている」というお話を伺ったのですが、その電技研がどのように作られてきたのかを学ぶことができました。学校の部活の可能性を感じました。

blog.ict-in-education.jp

 ただ「プログラミング」や「STEAM」ということだけでなくて、学びの場としての学校や授業はどのように作っていくのかを感じさせてくれたDay2のセミナーだったと思います。

(為田)