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書籍ご紹介:『教科書を網羅しない授業をつくる』

 関西学院初等部の宗實直樹 先生の著書『教科書を網羅しない授業をつくる』をお送りいただきました。いろんな学校へ伺わせていただいて、教科書のいろんな使い方も見てきたなかで、「教科書を網羅することに固執し過ぎていて、授業がその犠牲になっているのでは?」と思うことも多かったので、読みながら参考になるところが多かったです。興味深かったところをいくつかメモしてみました。

 最初に宗實先生は、「網羅しなくていい」というのは、効率化のためじゃないんだ、ということを描いていました。子どもたちに力をつけるため、子どもたちと一緒に探究をするために、「網羅すること」に固執するのをやめよう、ということなのだと思います。

「教科書を網羅しない授業」をつくることは、効率化のためではありません。子どもの問いを大切にし、教師の専門性を磨き、教育の本質を取り戻すための営みです。
「やりきったけれど、子どもに力はついただろうか」
「いい問いが出たけれど、拾えなかった」
そんな思いを抱いてきた先生方だからこそ、この本のメッセージが届くはずです。(p.9)

 教科書をどう活用して、授業設計をしていくのか、ということが書かれていました。

教科書とは、決して“固定された道筋”ではありません。教師と子どもがともに歩き出す“出発点”です。だからこそ、私たちはこれからも、子どもと教科書との出合いを大切にしながら、その先に広がる世界へと一歩を踏み出していく必要があります。(p.214-215)

 教科書を“固定された道筋”として使い、「ちゃんと教科書はやってますから」というアリバイ作りに教科書を使ってほしくないので、この宗實先生のメッセージはとても大事だな、と思います。

 一方で、「教科書を網羅する」という以前に、教科書に書いてあることができるようになってないよ…、という教室があることも事実なので、その際には、“固定された道筋”ではないけれど、教科書会社が長年の知見を注ぎ込んで作った“正規ルート”のマップとして教科書を使ってほしいな、とも思います。

 「教科書とはそもそもどんなものであるべきなのか」ということを考える良い機会になる本だと思います。

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 余談ですが、この本のなかで2025年9月5日に文部科学省 中央教育審議会の教育課程企画特別部会から出た「論点整理(素案)」についても触れられていました。9月5日に発表された「論点整理(素案)」に触れていて、11月に書籍が発売されている、このスピード感がすごいな、と思いました(「論点整理」は2025年9月25日には、「(素案)」が取れたものが出ています)。

 宗實先生、本をお送りいただきましてありがとうございました。

(為田)