教育ICTリサーチ ブログ

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和光高等学校 授業レポートNo.2 (2016年11月8日)

 11月8日に、和光中学校・高等学校の小池則行先生を訪ね、授業を見学させていただきました。見学したのは、高校1年生の情報の時間です。

 和光ではGoogle Classroomを使っているので、情報の時間の最初にメールを開きます。すると、すでに小池先生からのメールが来ていて、リンクをクリックしてClassroomを開くと、Classroom内のストリームを見ることができ、さらにクラスメールを使うこともできるようになっています。会社での協働環境的なものがGoogle Classroomによって構築されています。これを協働する学びに活かしたらどんなふうになるのだろう、と非常に楽しみです。

 今回の授業は、表計算ソフトの入門部分でした。表計算などのスキルは、実は非常に地味ですが、計算をして、試算をして、数字を視覚化して…とさまざまな部分で、思考力と重ね合わせることができるスキルです。高校1年生の情報は、和光では週2回の授業が設定されているそうです。それくらいの頻度でやらないと、こうした基礎的なスキルはなかなか身につかないと思います。
 もうひとつ、頻度を高める工夫としては、No.1で紹介したiPadなどを普通教室にも持ち込み、普通教科の中でも表計算などを一部使ってみる、という方法もあるかと思います。教科担当の先生方がどれくらいICTに強いかによって実現の可能性は変わってきますが、一般教科で使う場面を増やして、ICTのスキル定着と教科内容の習熟の両方を狙うということが増えていくといいと思います。
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 今回のテーマを小池先生は授業の最初に提示します。課題に取り組み、完成したものをClassroomに提出するというのは明確になっています。課題終了後、基本確認テストとタイムトライアルを行うこととなります。
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 課題は教材テンプレートをあらかじめ用意してあり、そこにSumやAverageなどの関数を入力していき、表を完成させるというものでした。
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 計算式や関数を入力するときに、単純に「イコールを書いて、◯+◯と書いて…」というふうに作業を指示してしまうのではなく、プロジェクタでどういった方法があったのかをレビューしていました。
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 非常におもしろかったのは、こうした説明をしているときに、生徒の何人かがスマホを取り出してプロジェクタで投影しているスライドを撮影していたこと。後で小池先生に訊いたら、「けっこう多いですね。説明をまるまる動画で撮影する子もいます。Macでできることとできないことがあるので、スマホMacを補完する役割を果たすならいいのではないかと思っています」とおっしゃっていました。
 やり方がわかったら、生徒は各自で関数の入力に取り組んでいくことになります。基本的な関数ではありますが、定着していない生徒もいて、教室の中で生徒同士での教え合いも起こっていました。1回や2回で操作を簡単に覚えてしまう生徒もいれば、何度もやらないとできるようにならない生徒もいます。これは大人社会でもまったく同じなので、こうした場面が起こるのは織り込み済みで、それでもこうした場を作ることの意味があるということを学校として認識しておくことが大事だと思います。
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 ある生徒が関数を入力し、それをフィルコピーしたときに、「Excelって頭いいね…」とつぶやいていました。このつぶやきこそが、「Excelって便利!コンピュータってすごい!」と気づく瞬間であり、この「すごい、便利じゃん!」というつぶやきをいかに言わせるか、というのが先生の授業設計にかかっているな、と思いました。

 復習が終わったら、タイムトライアルに入ります。タイムトライアルをすることで、ゲームっぽくなってぐっと集中するようになります。
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 それだけでなく、タイムトライアルにすることで、「効率的に入力しよう、計算しよう」というインセンティブを生むことができます。効率的にするために、セルアドレスを使って数式を入力し、入力した数式をコピーして…とすると速いことに気づき、そのやり方にチャレンジする、という空気が教室にできると思いました。
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 No.3に続きます。
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(為田)