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【開発秘話】 情報分析・問題発見からプレゼンまで実習を通した、情報科カリキュラム@八王子学園八王子高等学校 #4

 この連載では、八王子高等学校の情報科の授業の様子と共に、そのカリキュラムの開発秘話を紹介いたします。今回は、全8回のうちの4回目の授業についてです。

 1~3回目のレポート内容は、こちらをご覧ください。
blog.ict-in-education.jp

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プレゼンの対象・目的・評価基準を再確認してから、準備に入る!

 4回目の授業では、プレゼンの資料作成に入る前の準備工程が主です。そこで、その準備に入る前に、だれに向けてプレゼンをするのか(プレゼンをする対象)、何のためにプレゼンをするのか(プレゼンをする目的)、どういう観点でプレゼンを評価するのかを、再確認するようにしました。社長にプレゼンするのと、お客さんにプレゼンするのでは、プレゼンする内容が異なります。また、プレゼンをする目的が、提案する改善案の実施を承認してもらうことと、分析した結果を報告してアイデア出しに活かすことでは、こちらもプレゼンする内容が異なってきます。
 もちろん授業の最初に、対象も目的も提示していますが、授業を進めているうちに意外と忘れてしまったりするものです。一度説明したらOKということはありません。大事なことは何度でも繰り返し伝え、確認すべきです。これは、生徒に限ったことではないと思います。スライド作りの肝となる根拠の設定・構成に入る前に再確認することで、根拠や構成を考える上で、対象や目的を意識してもらうようにしました。


三角ロジックで根拠をまとめ、論理的な改善案にする!

 3回目の授業にて出した改善案について、それを勧める理由とそのデータを根拠としてまとめることをします。ここでは、次のような学習目標を組み込みました。

  • 主張に対して、理由とデータをつけて説明することができる
  • 情報の引用元を明確に表記することができる
  • 事実と意見を区別して情報を扱うことができる
  • キーワード検索を使って、情報を収集することができる

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 インターネット上で調べものをするのは、スマホが流通している現在においては、日常茶飯事ともいえる行動ですが、ネット上の情報をそのまま鵜呑みにしてしまう危険性も潜めています。そこで、引用元がどこなのか明記することや、調べた情報が事実なのか意見なのかを区別するように注意するような学習目標を入れ込み、ネット検索における注意点を知識だけで学ぶのではなく、それらを意識しながら、実際に根拠となる情報を探す実習としました。
 ここは、大人がやってもなかなか情報が見つからなかったり、結局見つからずにほかの根拠となる情報を探すように変えてみたりすると思います。授業でも実際にほしい情報が見つからない生徒もいました。そういう場合は、先生やアシスタントから検索で使用するキーワードを変えて検索するように促したり、ほしい情報がどういうサイトにありそうか考えさせてそのサイトを見てみるように促したり、どうしても見つからなければ、別の根拠となるデータを探してみるように促したりして、ある程度時間をとって、情報収集をさせていました。
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構成・台本作りが課題に・・・

 今回のカリキュラムは、スライド作成だけでなく、プレゼンテーションまで含めたものなので、いきなりスライドを作るのではなく、台本を作成するようにしました。
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 しかし、文章だけで考えるのが難しかったのか、どう書いたらいいのかわからない生徒が多く、なかなか書き始めることができなく、想定よりも時間がかかってしまったようでした。また、先生によっては、台本を作らずにスライドを作り始めさせたりもしていました。台本を作らずにいきなりスライドを作ったクラスは、このときはスムーズに進みます(進んでいるように見える) が、台本を書かずにいきなりスライド作成をしたために、プレゼンの際に以下のようなものが見受けられました。こちらについては、7・8回目の授業の記事にて詳しくご紹介させていただきます。

  • 何が言いたいのかよくわからない
  • スライドの見栄えはいいけども、根拠がきちんと明示されていない
  • スライドに書かれた文章をそのまま読んでいる

 今回の台本作りは、Wordで新規作成で書かせるようにしていましたが、先生にとっては書き方を説明しやすく、生徒にとっては考えやすいフレームワークを用意するように、改善しようと思いました。

次回は、5回目です。今回まとめた台本をもとに、スライドを作成する授業内容です。


(前田)