2019年12月12日に、関西大学初等部で行われた、Think × Act × Creation 2019に参加しました。公開授業の後に、セッションとワークショップが行われました。「One to One 環境の整備と実際」「Apple Booksの活用」「iMovie, GarageBandを使った創造的な表現」「ARで紹介しよう」「アプリケーションデザイン」の5つから、好きなものを選べるようになっていました。今回は、ワークショップ「iMovie, GarageBandを使った創造的な表現 Everyone Can Create」に参加しました。
6年生によるプレゼンテーション
ワークショップの最初に、6年生がiMovie、Clips、GarageBandの作品を紹介してくれました。6年生のプレゼンテーションを聴いてのメモを以下にまとめます。
- iMovie
- 長めの動画を作るときに使う。
- かつては5年生と6年生だけが使っていた。いまは4年生〜6年生が使っている。来年度から3年生も使うようになる。
- Clips
- 短めの動画を作るときに使う。
- 音楽をつけられないので、一度動画を作って、それを書き出してiMovieで音楽をつけている。
- GarageBand
- 最初、授業で俳句につける音楽をライブループスを使ってやった。そこで興味を持った。
- オリジナルの曲を作ったり、YouTubeで曲をGaragebandで再現している人を見て、それを真似して作っていった。
- 最初は自分でやるのがおもしろくておもしろかったけれど、そのうち友だちからリクエストされるようになって、友達に聴かせたくて作っていった。学校の休み時間を使って、1週間で1曲くらいを作っていっている。
- 全部独学でマスターした。
それぞれのアプリの特徴があり、子どもたちがそれを使い分けていることを感じました。最初は授業でGarageBandを使って興味をもって、あとは休み時間を使って制作した、という言葉を聴くと、本当に自由にiPadを使える環境にあるのだということがわかります。だからこそ、自由にどんどん先へ行き、自分で使い方を調べ、独学でマスターする子どもたちが生まれてくるのだと思います。
先生は、「子どもたちの方が、ICTは達者で、先生はマネージメントしているだけ、という感じです」とおっしゃっていました。そうした形で、どんどん使ってもらえる環境を作っていくことが重要だろうと感じました。
GarageBand体験
ワークショップ参加者一人ずつにiPadが配布され、GarageBandを実際に体験させてもらいました。2017年度の2年生が作った「マイツリーの歌」に合わせて、伴奏のコードを決める体験をしました。伴奏をつけるといっても、GarageBandで楽器を選んで、指一本でタイミングを合わせてタップするだけで伴奏が自動的に作られるので簡単です。曲に合わせてGarageBandがコードを使って伴奏をつけてくれます。
こうしてICTを使うことによって、楽器の演奏ができなくても、音楽を楽しむことができるようになります。音楽が好きでも、「演奏ができないから」「楽譜が読めないから」ということが敷居になってしまっている子もいるかもしれません。そうした子どもたちは、GarageBandを使うことで、最初から曲作りや高度な演奏を行うことができます。ICTによるサポートがあれば、一人で合奏することも可能になります。
ここから、「楽譜を読めるようになりたい」「和音のことを知りたい」となる子も多いのではないか、と思います。そうなると、経済産業省の「未来の教室」実証事業の中でも出てくる、「創る」と「知る」のスパイラルが起こってくると思います。
GarageBandのように、テクノロジーを使ってこれまでの音楽体験とはまったく異なることができるようになると、先生方は、「では、音楽の授業はどうあるべきか」を、テクノロジーを組み入れた形で、建設的に考える必要があると思います。
GarageBandならば音楽ですが、もちろんそれだけではありません。テクノロジーによってすでに日常生活が大きく変わっているいま、「では、どうあるべきか?」を考えなければならない教科は多いのではないでしょうか。
No.4に続きます。
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(為田)