教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

淑徳小学校 淑徳アルファ カズトロジー 授業レポート No.2(2025年5月〜7月)

 弊社フューチャーインスティテュートは淑徳小学校放課後クラブ「淑徳アルファ」内で、コンピュータを使ってさまざまな活動を行う授業「カズトロジー」を実施しています。

 3年生は1学期に、「自分で本をつくろう」というプロジェクトに取り組みます。最初に、子どもたちにどんな本が好きかをワークシートに書いてもらい、それをもとにして「自分でどんな本を作ってみたいか」というアイデアを出してもらいます。

 その後、そのアイデアをもとにして、7回の授業で本を書いていきます。文章だけでなくて、イラストや写真などを使いたい子もいるので、スクールタクトの白紙ページを配布して、自分でページを増やしていってどんどん書いていきます。
 毎週少しずつ、ページが増えていき、本づくりが進んでいきます。長い時間をかけてじっくり本を作っていけるのがポイントだと思っています。毎年やっていますが、その年によって全然内容が違うのがおもしろいです。今年も3年生は、ストーリー形式のものや、4コマ漫画、イラスト集、クイズ本などを作っていました。

 子どもたちは自分の本のページに入れたいイラストや写真を、スクールタクトの「Web画像検索」機能を使って探しています。いろいろなキーワードを入力して写真やイラストなどを挿入していくのですが、どうしてもほしい画像が見つけられないこともあります。

 そこで、「生成AIに自分のほしい絵や写真を作ってもらうこともできるよ」と紹介しています。プロジェクタで僕のGeminiの画面を映して、プロンプトを書いて動画が生成される過程をクラス全体に対して紹介します。
 「こうやって、どんな画像がほしいかを入力すると、生成AIが画像を作ってくれます」と説明すると、「すごい!」「おもしろい!」とさまざまな声があがっていました。

 生成AIで画像を作るのがどんなことかわかったところで、「僕がみんなの代わりにAIにお願いして、画像を作ってもらうので、スクールタクトの授業チャットに“こんな画像がほしい”というのを書いて僕に送ってください。1つずつAIに作ってもらったら、授業チャットに送るので、その画像をコピー&ペーストしてページに入れましょう」と言います。

 子どもたちからは、「図書委員をやっている小学校5年生の女の子の怖い写真を作ってください」「お化けがいっぱい住んでいる街を作ってください。イラスト風にお願いします」「かっこいい電車の写真を作ってください」「たこといかがショックを受けているところをお願いします」というようなリクエストが授業チャットにどんどん送られてきます。僕は、授業チャットに書かれた文章をそのままプロンプトにしてGeminiに画像を生成してもらいます。

 画像を生成AIにお願いした子どもはドキドキしながら待っていますが、授業チャットに貼り付けられた画像を見て「こんなのじゃない!」と不満を言う子もいます。僕は、「僕が作ったわけじゃないから、生成AIにわかるように、もうちょっと細かく説明する文章を書いてお願いするしかないね!」と言うと、より詳細なプロンプトを書いてきます。

 Geminiで一人ひとりが画像を生成するというふうにしてもいいのですが、本づくりよりも画像生成の方に集中してしまいそうなのと、みんなが書いたプロンプトと生成された画像の対応をたくさん授業チャット上で見ることができて参考にできるので、こうした方法で生成AIを使うようにしています。
 こうして生成AIを使う場面を授業中にどんどん増やして、生成AIの良いところ、少し足りないところを体験をもとに知っていってもらいたいと思っています。

 No.3に続きます。
blog.ict-in-education.jp


(為田)