教育ICTリサーチ ブログ

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Computer Science World in Asia 2019 カンファレンスレポート No.5(2019年10月27日)

 2019年10月27日に、東京大学本郷キャンパス ダイワユビキタス学術研究館で、アジア規模でプログラミング教育のビジョンを考えるカンファレンス「Computer Science World in Asia 2019」が開催されました。

 続いてのプログラムは、PwCコンサルティング合同会社 パートナー 桂憲司 さんによる基調講演「How we prepare for the change」でした。

Disruptive Technology(テクノロジーによる変化)

 桂さんは社会がいかにテクノロジーによって変わりつつあるのかということを紹介していきます。現在すでに、いろいろなデータがデジタルデバイスを通じてとられていて、そのデータを使って消費行動や購買行動が変わりつつあることを伝えます。
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 桂さんは、PwCが考える10のEmerging Technologies(これから普及していくテクノロジー)を挙げていました:Augumented Reality(拡張現実)、Blockchain(ブロックチェーン)、Robotics(ロボティクス)、Artificial Intelligence(人工知能)、3D Printing(3Dプリント)、New User Interfaces(新しいユーザーインターフェース)、Internet of Things(IoT)、Virtual Reality(仮想現実)、Cloud Computingクラウド・コンピューティング)、Drone(ドローン)。
 AI、音声認識、ロボットと共に暮らす時代がもうすぐやってきます。そうした時代認識をもったうえで、「では、どうやって備えなければならないのか?」「そのために何をしておかなければならないのか」ということを考える必要があります。PwCの「21c CEO Survey」において、CEOの64%がテクノロジーがいまのビジネスのやり方を5年以内に破壊するだろう」という見通しを持っていることを紹介していました。テクノロジーによって社会がどう変わっていこうと予測しているひとつの数字として、知っておくといいのではないかと思いました。
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どのように社会の変化に備えるのか

 テクノロジーが社会を破壊的に変化させていく、ということが予測されているのならば、その変化にどのように対応すればいいのでしょうか。PwC 21st CEO Surveyでは、CEOは「直線上の変化ではダメ。どんどん変わっていかなくては」という認識を持っているという結果が出ているそうです。
 「テクノロジーはただの技術ではなく、世界を変えるためのdriver(ドライバー)であり、enabler(イネーブラー)である」と桂さんは言います。テクノロジーは、この後どんな世界がやってくるのかを発想するための手段です。「将来、テクノロジーによってこんな世界になる」と知って、そのために、いま何をすべきなのか、というふうに逆算思考をしていくことが重要だと桂さんは言います。

 世界がどう変わるかは、もちろん不確定なので、そこで必要になる要素として、桂さんは「俊敏性 agility」+「未来志向 Future oriented」+「柔軟性 Flexibility」の3つの要素を挙げていました。
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どんなスキルが必要なのか?

 最後に桂さんは、これからの時代に必要な3つのスキルを紹介します。

  1. 知識 Knowledge
    これがないと話が始まらない。プログラミング。英語力。知識はあって当たり前だし、すべて調べられる。
  2. 考える力 Cogitation
    考え方。知識を活かす。アイデアを作っていく。
  3. 実行する力 Exexution
    実行する力、一人じゃできない。人を巻き込む。コミュニケーションをとる。

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 これらのスキルをすべての人が同じように持っている必要はありませんが、一人ひとりが可能性を最大化し、それを協働して成果を高める、ということはできないといけない、と桂さんは言います。
 ちょうど開催されていたラグビーW杯を例に出して、「ラグビーフォワードの人に、“足、遅いね”とは言わないでしょう?それぞれのプレイヤーの強いところを見て、協働することが重要だ」と言う桂さんは、”Be yourself. Be different”というメッセージで基調講演を終えました。

 No.6に続きます。
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(為田)