2022年12月14日に森村学園初等部を訪問し、5年生を対象にして行われたユニバーサル・ラン<スポーツ義足体験授業>の授業を参観させていただきました。授業の主催は水まわりと住宅設備のメーカーである株式会社LIXILです。LIXILでは子どもたちの多様性への理解を育むため、2017年から全国の小学校で当授業を実施しています。1時間目から3時間目に5年生が1クラスずつ、体育館で義足アスリートとの交流とスポーツ義足体験をします。全クラスがスポーツ義足体験をした後の4時間目に、5年生全クラスが集まって、義足に関する学習を入口に多様性について考える授業を行いました。
1時間目に5年菊組がスポーツ義足を体験した授業をレポートします。講師は、スポーツ義足で陸上競技をしている池田樹生 選手(デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社所属)とユニバーサル・ラン講師の井上友綱さんが務めました。
池田選手は、「ミッキーって呼んでください」と子どもたちに語りかけ、スポーツ義足について説明していきます。
「街中で義足をしている人を見たことがありますか?」と池田選手が質問すると、たくさんの手が挙がります。いろいろな街のいろいろな場所で義足を子どもたちは見たことがありました。「パラリンピックで見た」と言う子もいました。
池田選手が「義足って、どんな感じの義足を思い浮かべる?顔の前で形を作ってみて」と子どもたちに言うと、子どもたちは目の前で義足の形を指で描いてみます。
子どもたちは、まっすぐな形やカーブを描いている形など、いろいろな形の義足をイメージしていました。パラリンピックを見る機会もあり、スポーツ義足についてのイメージもできているように思いました。
ここで池田選手が「僕は義足を2つもってきています。どうしてでしょう?」と言うと、子どもたちから「走る用と歩く用!」と声が返ってきました。池田選手は、スポーツ義足を見せながら、「これは僕にとっての専用スパイクシューズです。みんなも、サッカーするときには専用スパイクを履いたり、体育館に来るときは体育館履きに履き替えたりするでしょう。それと同じです」と言いました。
池田選手は、右足に義足を着けるところを実際に見せてくれました。義足の存在は知っていても、実際にどんなふうに着けているかを見たことがある子は少ないと思います。池田選手は、「僕の足は先天的なもの、生まれたときからこの形でした。形はみんなと違うけど、汗もかくし、つねると痛い。みんなと同じです。」と子どもたちに右足を見せてくれました。
池田選手は100mの選手ですが、競技をするときには、義足だけでなく義手もつけるそうです。「なんで義手もつけると思う?」と子どもたちに質問すると、子どもたちからは「手をふるため」と答えが返ってきました。競技でスタートブロックを使うし、バランスよく腕を振るために義手をつけて走るということを池田選手は説明してくれました。
ここで、池田選手が「菊組でいちばん50m走が速い人より、速く走れるよ」と笑って、みんなの前で走りを見せてくれました。
ここから、実際にスポーツ用義足をつけて歩く体験を子どもたちにしてもらいます。池田選手からは、「目線を常に前に、倒れないように」「足裏全体で地面にスタンプを押す感じ」「緊張で固まらないように。リラックスして腕をふる」と3つのコツが紹介されました。
体育館で4ヶ所に分かれて、マットの上をスポーツ義足を着けて歩いてみます。ボランティアとして参加しているLIXILのスタッフの皆さんがサポートについてくれます。池田選手も子どもたちに声をかけていきます。
子どもたちだけでなく、体育館にいらっしゃった森村学園の先生方も体験していました。先生が自分たちと同じ体験をしていることで、子どもたちは盛り上がり、先生を応援する声がすごかったです。先生のiPadで義足で歩いている様子を撮影してあげている子もいました。
義足を体験することを通じて、子どもたちはいろいろなことを感じられたのではないかと思います。
No.2に続きます。
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(為田)