教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

Edvation x Summit 2021 Online イベントレポート No.4(2021年11月19日)

 2021年11月18日~21日までの4日間、Edvation x Summit 2021 Onlineが開催されています。申込みをすれば、たくさんのセッションをオンラインで聴講することができます。僕はYouTubeで見ていましたが、チャットでのコメントも活用しています。
 参加できなかった学校の先生方が少しでもエッセンスを知れたらいいなと思い、僕が参加したセッションについては、聴きながらメモをまとめたTwitterを公開していこうと思います。
www.edvationxsummit.jp


セッション「数理データサイエンス教育と学びDXの実践」

 続いて、「数理データサイエンス教育と学びDXの実践」に参加しました。登壇されたのは、大橋一広さん(株式会社イトーキ 先端研究統括部 統括部長)、中西崇文 先生(武蔵野大学 データサイエンス学部 データサイエンス学科長)でした。

 最初に、大橋さんからイトーキの取り組みについての紹介がありました。

 続いて、中西先生から、武蔵野大学データサイエンス学部での学びについての紹介がありました。

 データサイエンスの3段階の話は、おもしろいと思いました。小学校・中学校での調べ学習は、最初の「検索・統合、整理する」の初歩くらいで終わってしまっていることが多いので、そこから一歩、データサイエンス1.0の「統計、発見する」のところに導入できるようにしたいな、と感じました。

 小学校・中学校でどれくらいまでこの視点を入れていけるかはわからないですけど、参考になりそうな部分もあります。DSメソッドのフレームワークはできそうだと思います。検討してみたいな、と思いました。

セッション「子ども達を伸ばす、教育データ利活用を考える」

 セッション「子ども達を伸ばす、教育データ利活用を考える」を視聴しました。登壇されたのは、赤堀侃司 先生(一般社団法人ICT CONNECT 21 会長)、小林正人さん(東京都教育庁総務部情報企画担当課長)でした。

 最初に、赤堀先生から教育データの利活用についてのプレゼンテーションがありました。「教材構造を作る」というところは、すごく関心がある内容でした。

 続いて、小林さんから、東京都の教育のデジタル化についてのお話がありました。東京都は「TOKYOスマート・スクール・プロジェクト(学び方・教え方・働き方の三大改革)」のなかで、子どもたちの学ぶ意欲に応え、子どもたちの力を最大限に伸ばすためのトータルツールとして、教育のデジタル化を強力に推進しています。

infoedu.metro.tokyo.lg.jp


 No.5に続きます。
blog.ict-in-education.jp


(為田)

Edvation x Summit 2021 Online イベントレポート No.3(2021年11月19日)

 2021年11月18日~21日までの4日間、Edvation x Summit 2021 Onlineが開催されています。申込みをすれば、たくさんのセッションをオンラインで聴講することができます。僕はYouTubeで見ていましたが、チャットでのコメントも活用しています。
 参加できなかった学校の先生方が少しでもエッセンスを知れたらいいなと思い、僕が参加したセッションについては、聴きながらメモをまとめたTwitterを公開していこうと思います。
www.edvationxsummit.jp

セッション「データ利活用で変わる今後の教育DXを考える」

 Day2のスタートは、セッション「データ利活用で変わる今後の教育DXを考える」でした。登壇されたのは、秋元禮さん(グーグル・クラウド・ジャパン合同会社 パブリックセクター本部 EdTech 東日本エリア責任者)、中室牧子 先生(デジタル庁 デジタルエデュケーション統括)でした。

 セッションは、秋元さんからGoogleGIGAスクール構想によって学校で多く活用されてきている、という話からスタートしました。

 一人1台端末でGoogleの各種サービスを使うようになる児童生徒は、アカウント/IDをもつことになるので、これをどう使っていくかは大きなポイントになりそうです。

 続いて、デジタル庁に参画している中室先生から、「教育データ利活用ロードマップ」についての話を伺いました。

www.digital.go.jp

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 ロードマップの検討状況の論点として、「教育データの全体像」「調査等のオンライン化・教育データの標準化」「教育分野のプラットフォームの在り方」「学校・自治体等のデータ利活用環境の整備」「教育データ利活用のルール・ポリシー」「教育データ利活用に必要なリテラシー」「生涯にわたり学習者が教育データを活用できる基盤の構築」「デジタル社会を見据えた教育の在り方の見直し」が紹介されました。
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 教育分野でのDXについて、さまざまな論点を知ることができたセッションでした。情報量がすごく多かったので、ぜひデジタル庁のサイトで公開されている資料も見てみましょう。パブリックコメントも受け付けています。

www.digital.go.jp


 No.4に続きます。
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(為田)

書籍ご紹介:『最先端の教育 世界を変える学び手』

 アレックス・ベアード『最先端の教育 世界を変える学び手』を読みました。著者のアレックス・ベアードさんは、イギリスの高校教師で、世界20か国以上を訪問して、最先端の教育事例についてこの本で紹介しています。
 テクノロジーを用いた学校、教育手法などについての紹介も多くあるのですが、「テクノロジーがどう学校を変えるのか、子どもたちの学びを変えるのか、先生方の授業を変えるのか」ということについて、刺激となる部分が多かったので、読書メモとして紹介したいと思います。

 まずは、ロサンゼルス中央部にあるメルローズ小学校のニードルマン先生の言葉です。学校研修で先生方に伝えていきたい言葉です。

ニードルマン先生は、「テクノロジーは正しい使い方をしなければならない」と感じている。学校が考えるべきは、「どうやってこのツールを使えばいいだろう」という問いではない。「私は何をやろうとしているのか、そのためにこのツールは役立つだろうか」ということだ。ただiPadを学校に導入すれば学習が改善されるなどと期待することはできないし、テクノロジーにこだわりすぎてはならない。こだわるべきところは教師と、学習目標を達成することのほうだ。(p.52)

 また、マイクロソフトのサティア・ナデラCEOのインタビューも紹介されていました。ここで出てくる「なんでも知りたい(Learn It All)という態度」を教室で生み出し、それをクラスメイトの一人でも多くに感染させることこそ、学校で先生方しかできない仕事だと思っています。

「かりにもともとの能力は低くても、なんでも知りたい(Learn It All)という態度は、かならずなんでも知っている(Know It All)という態度に勝る」とマイクロソフトのCEOサティア・ナデラは2016年のインタビューで語っている。これはスタンフォード大学の心理学者キャロル・ドゥエックの言葉だ。その「固定した」マインドセットと「成長」マインドセットという考え方は世界中の学校に広まりつつある。(p.161)

 また、ハイテック・ハイのCEOであり創設者であるローゼンストックさんの言葉も紹介されていました。

「世界は変わりつつあるのに、学校は取り残されている」と、ローゼンストックは言う。問題は、自分たちは学習革命を一から起こさなければならないのか、それとも「世界が変わることで、学習も自然と変化していくのか」だと彼は考えている。
彼は自然な変化にはあまり期待していない。教育には長期的な取り組みが必要だが、合意点を探るための将来のビジョンや協力は、どうしても政治的な変化による影響を受けてしまう。(略)将来に向けての真に価値ある行動は、自分でしっかりと物事を決め、新しい世代の子供たちを育て、彼らに世界を変えてもらうことだ。(p.386)

 学校で教える内容についても、「何を教えるか」「どう教えるか」について書かれていました。

内容によっては、一方的に教えたほうがいいこともある。読み書きや数学の公式、レーザーカッターの使い方、歴史的事実などがそれに当たる。そうしたものを、それぞれの世代が改めて「発見」しなければならないとしたら時間の無駄だろう。マイケル・トマセロの文化的ラチェット効果の意味はこうした点にある。だがそれ以外にも、子供たちが向きあわなくてはならないことはたくさんある。何を読み、書くか。どこに数学を適用するか。歴史をどう解釈するか。最新のテクノロジーを利用する目的は何か。最善の生き方とは。ここでは、知識は固定されたものではないし、固定することなどできない。こうした難問には議論が必要となる。記憶をすれば認知的能力は高まるが、そのとき学習者はある固定化された世界像を知らず知らずのうちに受けいれることになる。ハイテック・ハイの生徒は、不確実性への備えをしている。(p.387-388)

 たくさんの事例を見てきたあと、最後の「まとめ 学習革命」の章では、学習革命のマニフェストが書かれていました(p.419-433)。

学習革命のマニフェスト

  1. 学びつづける
  2. 批判的に考える
  3. 創造的になる
  4. 人格を鍛える
  5. 早期教育
  6. 協力
  7. 指導力を高める
  8. テクノロジーを賢く使う
  9. 未来を作る

 この学習革命のマニフェストの中でも、特に「8. テクノロジーを賢く使う」のところでは、テクノロジーを学ぶ意義について書かれています。テクノロジーを知ればいいだけではない、ということが書かれています。

正しい組みあわせは、人間+機械+巧みなデータ処理だ。そのため、子供たちが最新の道具を使えるようになることも教育の目的になる。タブレットや携帯電話でさまざまなことを試したり、道具そのものへの理解を深めること。すべての子供が読み書き、算数や科学的な思考を学ぶように、プログラミングの基礎も学ぶべきだ。思考を機械に委ねてしまえば、人間は愚かになってしまう。
将来の仕事のほとんどは、特定の技術的スキルがなくてもできるようになるだろう。読解力や数学力も基礎的なレベルが身についていればいい。ロボットに仕事を奪われないために、大切なのは人間的なスキルだ。栄養や知識、精神、身体的な面で、私達は互いの必要を満たすだろう。テクノロジーが学習におよぼす最大の影響は、逆説的だが、私たちをより人間らしくすることなのだ。(p.430)

 同じく学習革命のマニフェストの「9. 未来を作る」には、教師という仕事がどういう意義をもつのか、ということが書かれています。この部分、自分自身がいまいる業界を選んだ理由と重なっていて、共感しながら読みました。

イギリスで最も権威ある学校で、卒業生から十七人の首相を輩出しているイートン・カレッジには、気候変動活動家で、あえてこの学校で教えるキャリアを選んだ教師がいると聞いた。その理由はいたって単純で、教師になれば、地球を保護するために最も大きな影響を与えられると考えたからだ。彼女の教室で学び、巣立っていく生徒たちはやがて下院議員や裁判官、ジャーナリスト、企業経営者、外交官になっていく。彼女の指導のもと、彼らはみな気候変動活動家として卒業していく。世界を変えたいなら、まずは学校から始めよう。
(略)
いまの子供たちは不確実な時代をうまく生きていくことができる。正しい知識とスキル、態度を身につけさせることができれば、彼らは協力して全員にとってよりよい未来を作っていくことができるだろう。学習とは自分の能力を伸ばす孤独な行為ではない。社会をよりよくするための共同作業だ。(p.431-432)

 社会をよりよくするための共同作業を進めていくために、「システムを変えよう」ということが最後に書かれていました。「システム」は何かができない理由になっているという悪い文脈で登場することが多いですが、私たち自身もシステムの一部なので、これを変えていければより広い範囲で「よりよい社会」を作っていけると思います。

問題解決の特効薬であるとはいえ、教育は子供たちの学習を簡単にする特効薬ではない。私は教育を変えるテクノロジーイノベーションを捜して世界を旅した。だがそこで見つけたのは、学習の未来は私たちのなかにあるということだった。これこそ私たちが目指すべきものだ。「最も重要な社会基盤は教育を受けた人だ」と、世界の教育を改善するために設立された国連の教育委員会の広報担当、アメル・カーブールは言う。その社会基盤を強化することが、私たちの手段であり目的だ。
システムは自分たちの外側のどこかにあるものではない。システムとは私たちであり、それは人と人との関係でできている。誰もがそのなかで役割を担い、よくも悪くも影響を与える力を持っている。人間には生まれつき学習し適応する能力が備わっているのだから、現状は、必要ならば変えていけばいいのだ。子供たちに何を望むのかについて、私たちは共通の決定を下すことができるし、また下さなければならない。家族や学校、共同体といった単位でそれができれば、システムの目的や方法を変えることができる。(p.432-433)

 最後の「システムは自分たちの外側のどこかにあるものではない。システムとは私たちであり、それは人と人との関係でできている」という言葉は、自分自身の仕事に関して、力強く背中を押してくれる言葉だな、と思っています。よりよい社会を作るために、頑張っていきましょう。

(為田)

Edvation x Summit 2021 Online イベントレポート No.2(2021年11月18日)

 2021年11月18日~21日までの4日間、Edvation x Summit 2021 Onlineが開催されています。申込みをすれば、たくさんのセッションをオンラインで聴講することができます。僕はYouTubeで見ていましたが、チャットでのコメントも活用しています。
 参加できなかった学校の先生方が少しでもエッセンスを知れたらいいなと思い、僕が参加したセッションについては、聴きながらメモをまとめたTwitterを公開していこうと思います。
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セッション「世界で活躍するために必要な英語力って何だろう?」

 次に参加したセッションは、「世界で活躍するために必要な英語力って何だろう?」でした。登壇されたのは、安藤益代さん(株式会社プロゴス 取締役社長)、投野由紀夫さん(東京外国語大学 大学院総合国際学研究院 教授)、中田浩二さん(株式会社 鹿島アントラーズFC クラブ・リレーションズ・オフィサー)です。
 サッカー選手として、フランスのオリンピック・マルセイユ、スイスのFCバーゼルでプレイし、国際舞台での経験もたくさんしている中田さんに、世界で活躍するために必要な英語力はどんなのものだったのかを訊くところからセッションは始まりました。

 セッションを聴いていて、「正しい英語にこだわらない」ということを考えると、どんどん話してコミュニケーションがとれた成功体験を積み重ねていくことで、「飛び込む」ことができるマインドもできるように思います。

 そう考えると、学校での英語教育はどのようであればいいのか、考えさせられます。
 続いて、話は国際基準であるCEFR(セファール)にうつっていきます。

 どれくらいの技能がいるのか、というガイドラインは一人ひとりに対して与えられるといいな、とたしかに思います。
 中田さんは、サッカー選手だったので、サッカー周辺の語彙や表現が集中的に強化もされていくだろうし、そこを軸にどんどん話せるようになっていったのかもしれません。学校であれば、こうした「これについて英語で話したい!」という軸をどう作るか、というところが問題になるように思います。この部分は、プロジェクトでもいいし、プログラミングとかでもいいのかもしれないな、と思いながら聴いていました。

 テクノロジーで、すぐに採点されたり、アドバイスなども一人ひとりに対して迅速に出せるのはたしかにいいことだと思います。こうして見ていくと、4技能を学校の一斉授業のなかでやる、というのは、強みのところは残したらいいと思いますが、テクノロジーを導入して個別学習できるところはどんどん出していけばいいようにも思います。学校の英語教育でどういう部分をカバーしていくべきなのか、ということについて考えさせられるセッションでした。

セッション「世界で一番のEdTech本屋リターンズ」

 次に、セッション「世界で一番のEdTech本屋リターンズ」に参加しました。高山智司さん(EdTech本屋店長)、井上祐巳梨さん(STEAM JAPAN編集長)、尾花佳代さん(T-KIDS株式会社 代表取締役社長)、細川めぐみ さん(東洋経済オンラインeducation×ICT編集長)が登壇されます。「EdTech本屋」は、「EdTech+本屋」で、どう本を届けるか、という話かと思いきや、「EdTech本+屋」でした。登壇者のオススメ本をたくさん知ることができました。

 最初は細川さんのオススメ本。

 1年前に、このブログで先生方と読書感想文大会をしたことを思い出しました。社会の変化を知ることができる本ですね。
blog.ict-in-education.jp

 『STEMで未来は変えられる』はまだ読んでいないので、読もうと思います。

 続いて、尾花さんのオススメです。尾花さんは、蔦屋書店内でやっているT-KIDSで子どもたち向けのワークショップもされているそうです。オススメされたゲームも本も、題材として使えそうだと感じました。

www.tanqfamily.com

 その他にも、今回のEdvation x Summitに登壇している方々の本はたくさん出ているので、高山さんがAmazonでまとめてくださっています。チェックしてみるといいと思います。

www.amazon.co.jp

セッション「創る楽しさが学びを深める!」

 Day1の最後に、セッション「創る楽しさが学びを深める!」を観ました。登壇されたのは、中村俊介さん (株式会社しくみデザイン 代表取締役)、田中章愛さん(ソニー・インタラクティブエンタテインメント toio事業推進室 課長/toio開発者)、タツナミシュウイチさん(明治大学サービス創新研究所 研究員/慶應義塾大学SFC研究所 所員/Microsoft Innovative Educator FELLOW)、シーナアキコさん(音楽家/ガラク演奏家/あそびのアトリエ ズッコロッカ管理人)です。

 みなさん、「創る」ことを仕事にされている方々で、楽しそうに語り合うのが印象的でした。タツナミさんがマインクラフトに対しておっしゃっていた言葉は、学校の先生方や保護者にお伝えしたいと思いました。

 登壇している皆さんがどんな子どもだったのか、というテーマで話が進みます。

 「創る」「作る」を仕事にするにはどうしたらいいのでしょう、というテーマも出てきました。

 「自分が好きなことを!」というところから、他者と関わっていけるか、というところが大事なのかもしれない、と思いました。「他者に認めてもらう」でも「他者の役に立てる」でもいいのかな、と思います。
 そう考えると、これはクリエイティブ系なことにだけ通じることではなくて、おそらくさまざまな仕事も「楽しい!」とか「好き!」から始めてもいいことになるのかもしれません。英語でも、数学でも、スポーツでも、同じことが言えるように思います。

 「勉強したから何かになるわけではない」には賛成!と思う一方で、小学校や中学校の授業を多くサポートをしている立場としては、なかなかみんながそうはならないんですよね…とも思います。
 好きなものを見つけて、そこから探究のプロセスに突っ込んでいけるようになるために、勉強して「自分にあった学び方を学ぶ」とか「やればできるという小さい成功体験をする」*1とか、そうした役割も学校にはあると思っています。
 ただ、「勉強それ自体は手段なので、目的にならないように」ということを軸に考えれば、もちろん両立する話だな、と感じました。


 No.3に続きます。
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(為田)

Edvation x Summit 2021 Online イベントレポート No.1(2021年11月18日)

 2021年11月18日~21日までの4日間、Edvation x Summit 2021 Onlineが開催されています。申込みをすれば、たくさんのセッションをオンラインで聴講することができます。僕はYouTubeで見ていましたが、チャットでのコメントも活用しています。
 参加できなかった学校の先生方が少しでもエッセンスを知れたらいいなと思い、僕が参加したセッションについては、聴きながらメモをまとめたTwitterを公開していこうと思います。
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オープニングセッション

 Day1の最初は、一般社団法人 教育イノベーション協議会 代表理事 デジタルハリウッド大学 教授・学長補佐、佐藤昌宏 先生によるオープニングセッションです。

 これまでも佐藤先生のお話を伺う機会は何度かあったのですが、佐藤先生が「デジタルテクノロジー」には、最先端のものだけでなく表計算ソフトなどの汎用的なテクノロジーも入れているのが大事なポイントだと思っています。
 ブログを検索していたら、3年前にデジハリの近未来教育フォーラムで伺ったログが出てきました。佐藤先生がこの3年で、「トップダウン」「ボトムアップ」「イノベーター支援」の形で成し遂げたことは、本当に多いと思います。学校の先生方に届けなくては、学習者である子どもたちに届けなくては、といつも思わされます。

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セッション「Learning over Education 教育から学びへ」

 次は、伊藤穰一さん(株式会社デジタルガレージ 共同創業者・取締役)による、「Learning over Education 教育から学びへ」のセッションでした。
 セッションタイトルになっている、「教育」と「学び」の違いについてのところがおもしろかったです。それと、最近デジタルコミュニケーションの本を読んでいて、よく参考文献に挙がっていたり、研究が参照されている、伊藤瑞子 先生が、伊藤穰一さんの妹だと知って、びっくりしました…。

 兄妹で、同じ家庭で育ったのに、学び方も全然違ったし、「内在的動機(Intrinsic Motivation) vs 外在的動機(Extrinsic Motivation)」という感じで学ぶための動機なども全然違った、という話をされていました。

セッション「オンラインでもアクティブラーナーを育むには」

 次のセッションは、「オンラインでもアクティブラーナーを育むには」で、登壇されるのは、松下博さん(株式会社ウィザス執行役員/第一学院高等学校 常務理事)、葉一さん(教育YouTuber)、山田政寛先生(九州大学 基幹教育院・ラーニングアナリティクスセンター 准教授/ミシガン大学 客員研究員)、石田紗英子フリーアナウンサー)でした。

 「アクティブラーナーとは、どういう存在なのか」ということを、研究者、学校現場、学校の外から学びに関わる人、というそれぞれの立場から聴くことができて、おもしろいセッションでした。

 ここで松下さんが紹介されていた、Feelnoteを使ってふりかえり/リフレクションをする、というのはとてもいいと思います。最初は簡単なことを少しだけしか書けなかったリフレクションが、だんだん書けるようになっていく、というのは自分で教室で子どもたちの様子を見ていても感じることがあります。

 「次に繋がっているのか」などが解析されるとおもしろいな、と思いました。このあたりは、山田先生のご専門のラーニング・アナリティクス(Learning Analytics)と繋がっていくし、教育ビッグデータとも関連していくと、より多面的に子どもたちの学びをサポートできるのではないかと思いました。


 No.2に続きます。
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(為田)

【メディア掲載】朝日中高生新聞「誹謗中傷 いじめ 相次ぐネット上 やさしい世界にするには」(2021年11月14日)

 2021年11月6日にコメンテーターとして参加させていただいた、「マンガで話すみんなのリアル ―中高生SNS編―」が朝日中高生新聞の記事「誹謗中傷 いじめ 相次ぐネット上 やさしい世界にするには」のなかで取り上げられました。ファシリテーターを務められた、関東学院大学 人間共生学部 コミュニケーション学科 准教授 の折田明子 先生のTwitterで知りました。

 学校での人間関係やコミュニケーションについては、自分自身もっと敏感になりたいと思うことが多く、SNSや授業支援ツールなどを使っていると、子どもたち同士のコメントのやりとりなどでも「これは…?」と思うことも多くあります。だからといって「使わせない」とするのではなく、どのようなコミュニケーションが望ましいのか、自分たちにできることはないのか、を考えていくことが重要だと思っています。
 今回のサイエンスアゴラでのセッションでは、部活でのオンラインコミュニケーションのマンガ「ほんとうのこと」を読んで、「共感できる登場人物は誰か」「どこからやり直せたのか?」ということをオンラインで投票してもらうとともに、コメントを書いてもらう形で行いました。他者の立場を考えらるようにこうして機会があることはとても重要だと思っています。

(為田)

佐川町立黒岩小学校 授業レポート(2021年11月11日)

 2021年11月11日に、佐川町立黒岩小学校を訪問し、6年生の総合的な学習の時間を参観させていただきました。黒岩小学校は5年生と6年生の複式学級ですが、この日は5年生が校外学習で不在だったため、黒瀬忠行 校長先生がプログラミングロボット「Root」を使った授業を行いました。
 教室の机をどかして広いスペースを作ってから、Rootを一人1台渡します。黒岩小学校の6年生は6人なので、一人1台のRootを使った授業が可能です。iPadでアプリ「iRobot Coding」を開いて、Rootとペアリングをします。
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 最初に黒瀬先生は、Rootの上の部分の4つに分かれたパネルがあることを説明して、「パネルをさわったらどうなるか?」とブロックを使ってプログラムを作れることを説明します。まずは、パネルを押したらまっすぐ走るようにプログラムしてみます。一人ひとり、自分のRootを思ったとおりに動かすことができました。

 次に、4つあるRootのパネルのうち、「“右上のパネル”を押したら右に曲がる、っていうのをやってみよう」と黒瀬先生は言います。iRobot Codingの「パネルを押したら」ブロックをもう一度押すと、4つのパネルそれぞれのONとOFFを設定できることを紹介すると、子どもたちは「パネルを押したら」ブロックを使ってプログラムをどんどん組んでいきます。
 「パネルを押したら」ブロックを4つ並べれば、「これだけあれば、いろいろできる」と子どもたちから声が挙がっていました。ブロックをたくさん並べることで、プログラミングがスタートする条件をいろいろと決めることができます。パネルを押したときだけでなく、衝突を感知するバンバーセンサーも紹介して、しばらく自分たちでセンサーを使ったプログラミングをしてもらいました。
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 しばらくみんながプログラムを組んでRootを動かしている時間をとってから、黒瀬先生は「実は、Rootの裏側にもセンサーがあります。例えば、緑の色を感知したら動くようにするとかもできます」と伝えます。子どもたちはRootをひっくり返して、センサーを探していました。
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 子どもたちに一人1枚の模造紙を配って、緑のペンで線を描いてもらい、「緑をスキャンしたら」ブロックを使って、先の上を進むプログラムを組んでいきました。子どもたちは問題なくプログラムを作れていました。
 「これだけだと、先からずれたら止まってしまうね」「次は、青のペンで“ひょうたん型”を描いて、一周ぐるっと廻るようにしてよ」と黒瀬先生は言います。さっそく取り組む子どもたちからは、「え、むず!」「はあ?なんでそっち行くがやし…」という声が挙がっていました。この「なんで?」を何度も繰り返すことこそが、プログラミングの授業として大事だと思います。
 何度も失敗を繰り返して、「どうやったら曲がるの?」とクラスメイトと話あったり、「じゃあこうやったらどうだろう?」と先生方やサポートのICT支援員の方と一緒に考えたりしながら、プログラムに取り組むことが重要だと思います。 
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 途中、黒瀬先生がヒントを伝えてくれました。Rootの色を感知するセンサーは、5つの部分に分かれているので、「真ん中のセンサーが青を感知したときは…?」「右端のセンサーが青を感知したときは…?」というふうにみんなで考えていきます。
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 どういうふうに考えたらいいかということだけを伝えて、答えは教えないという教え方は、プログラミング授業で子どもたちに火を点けることができるパターンではあります。ただ、一方で「わからない…」という子がいる場合には、どのくらいまでヒントを見せるべきかなど、クラスの文化や先生と子どもたちとの関係性によっても変わってくるものだと思います。
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 今回のクラスでは、一人1枚の模造紙に一人1台のRootを使っていたので、自分が描いた形を回るプログラムを作るのに懸命になりすぎていて、意外とクラスメイトのプログラムを見る機会が少なくなってしまったようにも思いました。自分の描いた形を回ることができたら、クラスメイトの描いた形でも同じように回れるかを試したりする活動が入ると、よりプログラムを改良していく動機づけになると思います。
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 自分で考えたとおりにプログラムが動いて、ちゃんと一周できたときには、子どもたちは「やった!」と喜んでいました。この「できた!」という喜びと共に、「あれ?できない…」という失敗にめげずに、「じゃあ、こうやったらどうだろう?」と何度もプログラムを書き直すマインドと、両方を得られるようにプログラミングの授業は設計できるといいな、と子どもたちのチャレンジを見ながら思いました。

(為田)