教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

内村航平選手の「正しい逆上がりの教え方」を見て考えた:「プロフェッショナルの技を学校に」「タブレットで練習方法が変わる」

 コナミスポーツクラブのサイトで、内村航平選手が「正しい逆上がりの教え方」というコンテンツを公開しています。
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 実際にこうしてプロフェッショナルが教えてくれるというのは本当にいいなあ、と思います。子どもたちにとっても、先生たちにとってもいいと思います。なかには、鉄棒が苦手な先生もいるだろうし。逆上がりを自分ではできても言葉で説明するのが大変だったり、という先生もいるだろうし。プロが言う方が説得力がある、ということもあるかもしれません。
http://www.method.konamisportsclub.jp/taiiku/sakaagari.htmlwww.method.konamisportsclub.jp
www.youtube.com

タブレットで練習方法が変わる

NHKで放送している、「はりきり体育ノ介」という番組があります。体育のときに見せて、どうやったらいいのかを教える番組です。これも、体育が苦手な先生を助けてくれるのではないかと思うのです。校庭でやる種目についてはだめではないか?という心配もあるかと思いますが、NHKNHK for Schoolでコンテンツを公開しているので、タブレットを使って教室外に持ち出すことも可能です。
www.nhk.or.jp
 「はりきり体育ノ介」でも、逆上がりはテーマになっています。鉄棒で実際に練習するときに子どもたちがタブレットを持って行って、友達が逆上がりする様子を録画している風景があります。こうした使い方は、タブレットの良い所だと思っています。逆上がりで、「お腹を鉄棒に引きつけられていない」とか「足を振り上げたときに腕が伸びている」とかは、自分ではわからないことが多いと思うのです。それを動画で「その場で」「すぐに」見ることができると、たしかにこれは便利だと思います。
 iPadだと、「ウゴトル」などのアプリを使って、実際に動画を撮影し、コマ送りしながら身体の動かし方の説明をされている先生方もいらっしゃいます。

先生はプロフェッショナルである必要はない

 ダンスが体育の中に入った時にも思いましたが、先生が何でも上手にできるということはありません。できないこともあって当然。でも、できなくても上手に教えることができる、というので十分だと思うのです。鉄棒であれば、内村選手ほど上手にできる必要はありません。でもダンスやサッカー、バレーボール、柔道や剣道など、先生が必ずしもその競技に熟達しているかわからないものもあるわけで、そこでは、内村選手のようなプロフェッショナルの動画をどんどん使って授業をすればいいと思うのです。

 以前、東京都教育庁のデジタル教材を制作した際に、体育のサッカーを教えるための動画教材を制作しました。そのときに、「東京都の都立学校で教えるのだから、地元のプロチームに実演をお願いしよう」とFC東京にオファーをしてみました。「さすがにそれは無理では?」と制作チームでは思っていたのですが、結果は「OK」。FC東京にとっても、東京都内の高校生に対して、チームのPRをすることができるわけで、地元密着を掲げるJリーグチームとして、非常に良いケースになったのではないかと思います。

 サッカーだけでなく、バスケットボールリーグでも、地域密着がうたわれているので、どんどん地域のプロチームが実演動画教材を作って、ICTを通じて配信してくれればいいと思います。その競技のおもしろさをプロ選手が語り、見事なプレーを見せる。それを見た児童生徒が、そのスポーツに憧れて、地元のチームに愛着を持っていく。そんなサイクルができればいいな、と思います。
 県立高校生が学習用PCを持っている佐賀県だったら、サガン鳥栖があるわけで、サガン鳥栖に全面協力してもらって動画を収録して、それを使ってサッカーの授業をするとか。地域にプロスポーツチームがある自治体は、ダメ元で言ってみたらいいと思います。意外と、「地域の教育のために」という理由でOKしてもらえるんじゃないだろうか。

おまけ:プロチームと学校の関係

 サッカーだけでなく、学校で教えられている一般教科に対してアプローチをしているチームもあります。FC東京と同じJリーグに所属する川崎フロンターレは、小学生向けの算数ドリルを制作して、川崎市内の小学校で配布しています。フロンターレのエースである大久保選手の毎年のゴール数と試合数から、1試合あたりの得点数を求める問題などが出題されているそうです。
www.frontale.co.jp
 プロ野球千葉ロッテマリーンズも、千葉市の全小学生に算数ドリルを配布しているそうです。こうした事例は、たくさん出てくればいいな、と思います。
www.marines.co.jp


(為田)