教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

授業で使えるかも:グラフや統計のウソを見抜くリテラシー

 「あなたの知らない「詐欺グラフ」の世界(随時更新中)」というnoteを読んで、いや本当にそのとおりだな、と思いました。こういう嘘を見抜けるようになることも、学校で身につけるべきことだな、と思っています。
 Excelでグラフを作る練習をするときに、「相手を騙す詐欺グラフを作れ」というテーマにしたら、教えにくいかな…。メディアリテラシーの授業で、商品CMを作る、というテーマを見たことがあるので、それに近い気がする。商品CMを作る過程で、いいところも悪いところも調べ上げ、悪いところをいかに隠し、いいところを前に出して、買ってもらうようにするか、という活動をしながら、「同じように自分もいろいろ隠されているのでは?」と気づいてもらう、という授業でした。

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 詐欺グラフの話を読んでいて、ずっと前に読んだ、谷岡一郎『リサーチ・リテラシーのすすめ「社会調査」のウソ』という本を思い出しました。
 詐欺グラフと同じように、こちらにも「えー!」と思う事例がたくさん書かれています。
 例えば、1991年の朝日新聞の記事で、「健在の元大統領4人、カーター、レーガンニクソン、フォードのうち誰を支持するか」という調査をしたところ、結果は、カーター35%、レーガン22%、ニクソン20%、フォード10%だったそうです。「この調査でおかしな点を挙げよ」と訊かれたら、どこがおかしいか、わかりますか?
 古い話だし、アメリカ政治についての知識も必要だけど、実はこの4人の中でカーターだけが民主党で、あとの3人は共和党。ということは、それだけで、アメリカ国民の4割くらいが民主党支持だとすると、カーターの票は割れない。一方で、残りの60%全部が共和党支持でも、選択肢は3つあってそこで割れる。しれっと書いてあるけれど、設計が間違っていて、もともと決まっている答えが出そうな質問が、社会調査には山のようにあるぞ、という本でした。

 いや、読んでいくにしたがって、新聞で見る統計とか何が本当かわからなくなります。グラフの嘘を見抜くのと、こうしたそもそもの「社会調査」設計の嘘を見抜くのと、メディアリテラシーと合わせてこういう訓練も必要だと思います。こういうのも情報活用能力に入ってくるのでしょうか。

(為田)