A・コリンズ、R・ハルバーソン『デジタル社会の学びのかたち Ver.2 教育とテクノロジの新たな関係』をじっくり読んで、Twitterのハッシュタグ「#デジタル社会の学びのかたち」を使って、ひとり読書会を実施したのをまとめておこうと思います。
「9章 結局、何がいいたいのか?」を読みました。ここまで8章を読んできて、ここで「結局、何がいいたいのか?」という9章のタイトルです。
この本では、アメリカの公教育の進歩の歴史を辿って「いかに「学ぶこと」を、公教育と同一視するようになったかを示しました。新しいメディアテクノロジはこの常識を白紙に戻しただけでなく、指導と学習をより洗練されたモデルへと編み直すことも促しています。」(p.145) #デジタル社会の学びのかたち
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) November 7, 2020
ビジネスコンサルタントのドン・タプスコットの言葉:「子どもたちが、彼らの親の世代よりも、社会の中核を成すイノベーションについて抵抗がなく、よく知っていて、使いこなすことができるのは歴史上初めてのことです…彼らは社会を変革する力なのです」(p.145-146) #デジタル社会の学びのかたち
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) November 7, 2020
ここで紹介されている、「子どもたちが、彼らの親の世代よりも、社会の中核を成すイノベーションについて抵抗がなく、よく知っていて、使いこなすことができるのは歴史上初めてのことです」という言葉は、本当にそのとおりだなと思いました。たしかに、親よりも子どもが、社会のテクノロジーをよく知っていて使いこなしている、というのは、今までの産業時代にはなかったな、と改めて思いました。
続いて、子どもたちがテクノロジーから何を学んでいるのかを、大人はどうやって知ればいいのか、ということが書かれていました。
「新しいテクノロジについての意識を高めれば、テクノロジにのめり込む子どもたちが身につける新しいスキルがどんなものなのか、保護者や教師は理解し始めることができるのです。」(p.146) #デジタル社会の学びのかたち
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) November 7, 2020
「多くの保護者たちは子どもたちのメディアへのアクセスを制限しようとしますが、彼らの多くは新しいテクノロジを子どもたちがどのように使っているのかあまり理解していないと告白しています。」(p.146) #デジタル社会の学びのかたち
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) November 7, 2020
「テレビゲームで遊ぶ子どもたちは、仮想世界のなかで、多くの保護者が経験したことのないような洗練された問題解決やコミュニケーションスキルを身につけています。」(p.147) #デジタル社会の学びのかたち
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) November 7, 2020
「ジェネレーションギャップを埋めるための方法の1つは、子どもと一緒に本を読みましょうという考え方から、一緒に遊んでみましょうという考え方に一歩進んでみることです。」→遊び方を教えてもらい、プレイの戦略や目的について、鋭い質問を投げかけてみましょう(p.147) #デジタル社会の学びのかたち
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) November 7, 2020
「保護者ができるもう1つのやり方は、子どもたちに関心を共有できるオンラインコミュニティに参加するよう勧めることです。(略)興味が何であれ、それらを追求することで身につく専門的知識は、その後の人生で非常に貴重なものとなり得るのです。」(p.147) #デジタル社会の学びのかたち
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) November 7, 2020
「リテラシーの研究者たちは、言語発達を刺激するために、豊富で機能的な語彙を増やすことの重要性を長い間認識してきました。1人で本を読むことは、着実かつ緩やかに、語彙を増やすことにつながります。」(p.148-149) #デジタル社会の学びのかたち
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) November 7, 2020
「その一方で、語彙が豊かな人々と読んだ本について話すことは、大幅に発達を加速するのです。教育言語学者のジェームス・ポール・ジーは、テレビゲームが、語彙の発達を促す原動力になると指摘しています。」(p.149) #デジタル社会の学びのかたち
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) November 7, 2020
「読書と同様に、ゲームそれ自体は、緩やかな語彙習得の機会にすぎません。しかし、プレイヤーが、より大きなゲームコミュニティに参加するとき、子どもたちが意味のある文脈で新しい語彙を発達させる機会をより増やすことができるのです。」(p.149) #デジタル社会の学びのかたち
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) November 7, 2020
テクノロジーは、子どもたちの「社会生活と学び」を変えてきた、ということも書かれています。テクノロジーの発達によって、子どもたちが接するメディアはどんどん変わってきています。
「最近のメディアのコンテンツが、参加型のメディアリテラシーを認知的に必要とする新しい形態に進歩しつつある」「リアリティショーは、伝統的な物語の筋を破り、参加者が物語の大筋を決定できるように開かれて」いる。(p.151) #デジタル社会の学びのかたち
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) November 7, 2020
「テレビゲームは、認知の複雑さでいえば、番付表の最上位にあげられます。プレーヤーは、さまざまな戦略を用いて複雑な問題を解決しなければなりません。」(p.151) #デジタル社会の学びのかたち
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) November 7, 2020
「情報経済は、仮想環境の生産に向かって変化し続けています。新しいメディアのニュアンスを経験することは、情報の消費ばかりではなく、情報の生産につながる可能性があります。」(p.151) #デジタル社会の学びのかたち
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) November 7, 2020
中学生の息子のスマホでの情報摂取の様子を見ていると、いかにテクノロジーが彼らの身近にあるかを感じます。YouTubeなどから出てくる「歌い手さん」たちに親しみ、たくさんの文章やオンラインコミュニケーションに触れている彼らは、自分たち保護者にはわからないことをたくさん体験しているのだと思います。
なるべく、どんな情報を摂取しているのかを聞かせてもらったり、一緒に楽しめるものは楽しむようにしたいと思っていますが、これを「使うな」というのはあまりに厳しいと思います。適切に、使いこなしていけるようになってほしいと思っています。ただ、無限に時間を使って、情報を消費するようにはなってほしくない、ということだけ伝えています(いきなり、「生産する側に行け」と言うわけにもいかないと思うので)。
「伝統的な教室での実践を続ける教師は取り残され、その代わりに、データシステムの導入された行政官庁や、ゲームをしている生徒の間で、技術革新は広がっているのです。」(p.152) #デジタル社会の学びのかたち
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) November 7, 2020
「社会が重視する目標を、新たな教育システムが具現化できるかどうかを確かめるために、革新的な教育者による強いリーダーシップを私たちは必要としています。」(p.153) #デジタル社会の学びのかたち
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) November 7, 2020
新しいテクノロジーに触れたときに、「わからないから、使ってはだめ」と遮断するのではなく、正しく使えるように、できるだけ一緒に取り組んでいくようにしたいと思います。
No.10に続きます。
blog.ict-in-education.jp
(為田)