2019年10月27日に、東京大学本郷キャンパス ダイワユビキタス学術研究館で、アジア規模でプログラミング教育のビジョンを考えるカンファレンス「Computer Science World in Asia 2019」が開催されました。
FLASH TALKとして、トルコの16歳の高校生 Ceylin(セイリン)さんが、コンピュータ・サイエンスにふれて、彼女の見方がどうに変化したかについて話してくれました。
最初に、トルコのケマル・アタテュルク大統領の言葉の紹介がありました。「If one day, my words are against science, choose SCIENCE.(もしいつか、私の言ったことが科学と反することがあったら、科学の方を信じなさい)」というものです。建国の父が、これだけ科学をバックアップしてくれる言葉を言っていて、それを16歳の彼女が知っていてこうした場で語っていることが素晴らしいと感じました。
越塚先生が基調講演のなかで、「科学的手法は、どんな問題にも適用できる汎用的な手法だ。だから、科学的手法を学んで身につける必要がある」と言っていたのと重なるメッセージでした。
Ceylinさんは6歳の頃、ニンテンドーがどうやって動いているのかに興味を持ったそうです。それからは、何でも作りたくて、コンピュータのワークショップがあることを知って、そこに参加して…と、どんどんコンピュータ・サイエンスにハマっていった、という話をしてくれました。
ただ、コンピュータのワークショップに参加できたのは、自分がラッキーだったからであり、世界中のすべての子どもが同じようにコンピュータのワークショップに参加できるわけではない、と思ったそうです。ただ、「平等な機会さえあれば、誰でもできる」と考え、コンピュータ・サイエンスが広がるよう、Ceylinさんは、トルコでcode.orgの国際パートナーともなっている「RobinCode」のアンバサダーとして、活動をしています。
www.robincode.org
Robincodeの活動は、YouTubeで見ることができます。
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最後に、Ceylinさんは「私は、4ヶ国語が話せます。トルコ語、英語、フランス語、スペイン語。それともう一つ、Codingという言語も話せます。Codingは、未来のための新しい言語(new language for future)です」というメッセージを伝えました。
僕は、Codingを身につけるべき言語として位置づけるのは良い表現だと思っています。プログラミング言語を外国語と同じように考えればいいのではないか、と研修で話すことも多いです。習得方法も、外国語(自然言語)とCoding(プログラミング言語/人工言語)は近いのではないかと思います。
例えば、外国語を新しく学ぶときには、どこまでできればいいのかはその目的によって異なります。「どういう場面で話したいから、こういう語彙が必要で、こういう表現を覚えて、実地でそれを話してみて、失敗したら直して覚えて…」という形で外国語を習得していきます。語彙や表現をたくさん覚えれば、外国での行動の幅は広がっていきます。
プログラミング言語を習得するということも、これと同じなのではないかと思うのです。ただ、「言葉を学ぶとどんなことができるようになるのか」という動機づけと、「言語を学ぶと世界が広がる!楽しい!」という体験をさせることが、何より重要だと思います。
Ceylinさんのプレゼンテーションは、そんなことを僕に投げかけてきました。
No.9に続きます。
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(為田)