2025年1月25日に戸田市文化会館・大ホールで、戸田市小・中学校児童生徒プレゼンテーション大会(戸田型PBL発表会)が開催され、審査員として参加させていただきました。9回目となる今回、タイトルに「戸田型PBL発表会」という表記が追加されました。戸田市内の小学校12校と中学校6校から1チームずつが代表として、それぞれが取り組んだプロジェクトについてのプレゼンテーションをしてくれました。
ルーブリックを使った審査
審査員は、児童生徒のプレゼンテーションを聴いて、事前に設定されている「プレゼン大会ルーブリック」に基づいて審査をします。ルーブリックには全部で7つの項目があり、それぞれの項目について審査をします。
事前に市内各校の先生方にはルーブリックが通知されているので、先生方はこのルーブリックに沿って、プレゼンテーションの指導をされていると思います(児童生徒が直接ルーブリックを見ているかどうかまではわからないですけど)。
このルーブリックがあるからこそ、どんなプレゼンテーションを目指すべきか、という方向性を共有することができていると思います。一方で、このルーブリックからはみ出した、ちょっと突飛なプレゼンテーションは校内予選を勝ち抜けないのかもしれないな、と思いました。このあたりは、ルーブリックがあることによるメリットとデメリットのバランスだなあと感じています。
合間の時間に戸ヶ﨑勤 教育長が「このプレゼンテーション大会、他自治体と連携したいんですよ」とおっしゃっていました。いきなり自治体同士は大変かもしれませんが、1校単位で戸田市がプレゼンテーション大会で使っているこのルーブリックを使って校内プレゼン大会をやってみたりするところから始めてもいいのかもしれないな、と思いました。PDFでルーブリックなどを共有したりして。
どこの自治体・学校でもゼロから自分たちで作り上げる必要はないと思うので、最初のところはみんなで共有してもいいのかもしれないな、と思いました。審査員でご一緒したライフイズテック株式会社の取締役 / 最高AI教育責任者(CEAIO)の讃井康智さんは「ルーブリックを生成AIで作っている先生もいますよ」とおっしゃっていました。「たしかにそれでもいいかも。自分でも作ってみよう」と思いました。
審査員講評
すべての学校のプレゼンテーションが終わり、小学校の部と中学校の部で、金賞・銀賞・銅賞・敢闘賞と結果が発表された後で、審査員が一人ひとり、講評をさせていただく時間がありました。
僕は、7つあるルーブリックの項目から、プロジェクトの実行や成果に焦点を当てた講評を、とリクエストされていました。小学校12校、中学校6校のプレゼンテーションを聴いて、その場で感じたことをiPadでメモして講評させてもらいました。このままメモを捨ててしまうのももったいないので、写真を貼っておきたいと思います。
- プレゼンテーションをしてくださった皆さん、ありがとうございました。おつかれさまでした。
- このプレゼンテーション大会は、ルーブリックに沿って審査されています。そのなかで、プロジェクトに関する項目にあるキーワードは、「チャレンジ」「試行錯誤」「客観的検証」です。
- 「チャレンジ」「試行錯誤」「客観的検証」は、実際にやってみるとしんどいもの。難しいことにチャレンジするのも、失敗しても何度もやり直してみるのも、客観的に自分たちがやったことを検証するのも、しんどい。
- では、そのしんどさを乗り越えさせてくれるものは何か?
- 「好きでしかたない」か「何とかしたくてたまらない」のどちらかが、乗り越えさせてくれるものではないか。
- この日のプレゼンで、いちばん好きだったのは、「ぞうきんがけを楽にしよう」(戸田市立笹目小学校)のプレゼンでした。何とかしたくてたまらないですよね。
- そのほかにも、たくさんの学校のプロジェクトが、「好きでしかたない」か「何とかしたくてたまらない」か、どちらかの思いがあったように思います。
- いま、「好きでしかたない」ものも「何とかしたくてたまらない」ものも見つかっていないという人は、これから出会う機会はたくさんあると思うので、そういう目で、自分でやりたいプロジェクトに出会ってほしいと思います。
…というようなことを、お話ししたと思います。児童生徒の皆さん、それから伴走してくださった先生方、協力してくださった企業の方々(今年のプレゼンは、外部への取材とか協力とかがたくさんありました!)、本当におつかれさまでした。
まとめ
毎年審査員をさせていただいていて思っているのは、このプレゼンテーション大会のような形式でするプレゼンテーションだけでなく、「人に何かを伝える」ことを楽しむ児童生徒が増えたらいいな、ということです。(これ、毎年書いていますね…)
プレゼンテーションでなくても、文章でも、動画でも、プログラミングでも、さまざまな形式で「人に何かを伝える」ことの楽しさや意義(そして大変さ)に気づいてもらえたらいいと思います。そうした学び方ができるように、「プレゼンテーションのコツ」を学べる授業も開発し始めました。これが、戸田市プレゼンテーション大会に貢献できるまでに育てていきたいと思っています。
子どもたちのプロジェクトの話をたくさん聴いて、もっと自分も頑張ろう、と思った1日でした。
(為田)