2025年6月26日から7月25日にかけて、「先生方が新しい取り組みを知る情報源(2025年版)」という先生向けのアンケートを行いました。
アンケート実施の意図は、以下のようなものでした。
たくさんの学校や教育委員会で研修講師をさせていただいて、先生方がICTの活用にとどまらず、新しい授業形式に取り組んでいる様子を見せていただいています。多くの先生方が、子どもたちのために学ばれているのだなと感じます。
そうした先生方は、どんなメディアを使って情報を得ているのだろうか、学んでいるのだろうか、と思い、アンケート形式で教えていただきたいなと思いました。
たくさんの先生方や関係者の皆さまにSNSでシェアなどしていただきまして、合計で34件の回答をいただくことができました。お忙しい中、ご協力をいただきまして本当にありがとうございました。
アンケートのQ1では、「新しい取り組み(例:授業の手法、評価手法、アプリやシステム、教材など)が学校で始まるとき、多くの先生方にとって情報源となっているのは、どれだと思いますか?(複数回答可)」という質問を行いました。結果は以下のようになりました。項目のそれぞれについてコメントするとともに、具体的に名前が挙がったもの(アンケートのQ2で質問しました)を抜粋しながら紹介したいと思います。

先生方の繋がり
最も多かった回答は、「教員同士のネットワーク」(31件, 91.2%)でした。学校での研修や教育委員会主催の研修、さまざまなイベントなどに参加していつも感じるのは、先生方のネットワークの強さです。
同じ学校で働いたことのある先生、同じ学年を担当していたことのある先生、共通の知り合いがいる、同じ先生にお世話になったことがある、などさまざまなネットワークがあります。そこでの情報共有のネットワークは強いのだな、と感じます。
「Apple Distinguished Educators」や「教育長・校長プラットフォーム」といったコミュニティの名前が挙がっていました。また、「基本的には、専門知識の強い教員との会話の中が多い」という回答もありました。
それから、「同僚の先生の意見・推薦」(12件, 35.3%)にも注目したいと思います。校外にも広がっている先生方のネットワークで得た情報を、今度は校内で広げていって、学校に根づくことがゴールでもあるので、これもまたとても重要だと思います。
先生方のこうした情報共有のネットワークで、「あの授業、すごかったよ」「あのアプリの、この機能、子どもたちの学びが変わったよ」というような話題になるような、そんな情報を発信していきたいなと思いました。
オンラインでの繋がり
今回、オンラインでの繋がりも多く回答されました。「SNS(X、インスタグラム、Facebookなど)」(25件, 73.5%)は2番目に多かった回答でしたし、「オンラインサロン」(8件, 23.5%)も近年増えているように思います。上で書いた「先生方の繋がり」と「オンラインでの繋がり」を掛け合わせている形です。
- FBで知り合いの先生の投稿から得た情報
- Facebookでの実践紹介が具体的で活用しやすいです。
- FacebookやX、そこで紹介される記事、セミナーや書籍
- 先進的な取り組みを発信されている教育関係者のSNSは参考にしています。
- Instagramは若い先生の中でよく挙げられています
- SNSのコミュニティ、特にG-Appsアカデミーなど
「Webサイト、Webメディア」(16件, 47.1%)と「メールマガジン」(9件, 26.5%)も、双方向性は低いですがオンラインでの繋がりだと言えます。
- 溝上慎一先生のメーリングリストや文科の審議会に出席されている先生方からの情報発信
- 為田さんのブログ(教育ICTリサーチ)、GIGAch、けいすけ先生のnote
- Sky株式会社 学校とICT
- みんなの⭐︎職員室
この教育ICTリサーチブログをあげてくださった方もいます。ありがとうございます。他のWebサイト・Webメディアでの情報発信は僕もとても参考にしています。
今回、「動画メディア(YouTubeなど)」(10件, 29.4%)、「音声メディア(VoicyやPodcastなど)」(4件, 11.8%)という結果となりました。実は、Voicyは以外と多いのではないか、と想定していたのですが、そうでもなかった…。僕の身の周りで聞いている人が多い感じがするだけでしょうか…。「voicy利用者は多い気がします」と書いてくださった方もいましたが、僕と同じ音声メディア好きかも知れません。
サイトや書店などでの情報収集
「書籍」(15件, 44.1%)、「教育系の専門紙・専門誌」(15件, 44.1%)という回答も多かったです。
- みんなの教育技術、授業づくりネットワーク等
- 書籍、オンラインセミナーでは興味を惹かれるもの。
書店に行くと棚にはたくさんの教育書が並んでいて、たくさんの事例が紹介されていて、「すごいなー」といつも思っています。
「教育系の専門紙・専門誌」は、興味深いトピックにがっつり踏み込んできてくれることが多いので、僕はよく読ませていただいています。
同じ本を読んで、「先生方の繋がり」と「オンラインの繋がり」でお互いに感想をシェアしたりして、学校での実践に繋がっていく、ということもあるかもしれないと思います。
研修やイベント
「教育委員会主催の研修」(11件, 32.4%)、「校内研修」(12件, 35.3%)、「企業主催のイベント」(8件, 23.5%)は、もう少し回答件数が多いかな、と予測していたのですが、意外と少なかったですね…。僕は研修講師をさせていただくことも多いので、「研修、役に立ったわ!」と言われたいなあと思っています…。
「他校の公開授業を見に行って、そこで得る情報もあります」「勉強会では実践発表や対話(から情報を得ます)」、という回答もありました。
研修講師として、先生方の有益な情報源となれるように、がんばっていこうと思いました。
マスメディア
先生方の新しい取り組みを知る情報源としてマスメディアは、2019年9月の前回調査から、「一般の新聞・雑誌」(21/100件→1/34件)、「テレビ番組」(12/100件→0/34件)と大きく存在感を減らしている感じがします。
でも、学校に関わる保護者の方や地域の方にもいろいろと知っていただくためのチャンネルとしては依然として重要だと思っています。いろいろな学校の取り組みや、今後の教育の方向性なども、もっとマスメディアでの露出が増えてくれるといいと思います。
その他
「その他」の回答としては、「教職大学院との連携」というのがありました。「ここ数年は教職大学院の先生と連携し、生成AIの活用について研究しています」と書かれていました。こうした先生が新しい考え方を学校に広げていって、それが学校に根づくことが大事だと思っています。
まとめ
どんな情報源が、先生方に情報を届けるのに有効なのかを知りたくて、アンケートを実施しました。SNSで実施しているため偏りもあるでしょうし、「これが有効だ」と絞り込むという意図はまったくありません。むしろ、学校の先生方と繋がるためにどんな道筋があるのだろう、と可能性を広げたい、という意図で実施しました。
No.2では、アンケートのQ3で質問した、「新しい取り組み(例:授業の手法、評価手法、アプリやシステム、教材など) を広く先生方に知ってもらうには、どのように情報を広げていけばいいと思いますか?」をレポートしたいと思います。
blog.ict-in-education.jp
(為田)