教育ICTリサーチ ブログ

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山形市小学校教育研究会 メディア教育部会 研修会レポート(2025年11月12日)

 2025年11月12日に山形市総合学習センターで開催された、山形市小学校教育研究会 メディア教育部会研修会に講師として参加させていただきました。このメディア教育部会の研修会には、2018年2019年2023年2024年と継続的に関わらせていただいています。継続して参加してくださる先生もいらっしゃるので新しい授業事例紹介を入れながら、いただいたテーマである「学校及び教育DX化の推進」と「次期学校指導要領で重要視される情報活用能力の育成」について話をしました。

 「情報活用能力の育成」については、文部科学省 教育課程企画特別部会が2025年9月25日に出した「論点整理」を紹介しました。「論点整理」のなかで書かれている、小学校での「情報技術の活用」のところに書かれている内容を、「より具体的に」するために山形市の小学校で事例を積み重ねていきましょう、という話をしました。

 山形市内で同じ環境にある小学校でICTがどのように活用されているのかを知ってもらいたいと思って、メディア部会の部会長である鎌田史顯 先生が校長を務める山形市立大郷小学校でこの日の午前中に参観させていただいた授業の様子を紹介しました。
 山形市では電子黒板を各教室に配備しています。電子黒板の強みは、大きい画面で操作の方法を紹介したり、子どもたちが作った作品を見せられることです。

 大郷小学校では、算数の授業で、はじめてのコンパスの使い方を指導者用デジタル教科書の動画を見せてから、先生がコンパスを使う手元を実物投影機でみんなに見せながら説明していました。

 図工の授業では、秋の葉を使って作った作品を実物投影機を使ってみんなに見せていました。子どもたちは自分の机で画用紙で制作していますが、作品をもってきて実物投影機で大きく映してみんなで見ることができます。

 山形市以外の学校で行われている事例も紹介しました。今回は特に、「思考したり、表現したりする過程で、子どもたちがICTを活用する」ということにフォーカスして、僕自身が授業でシンキングツールの活用を活用している例を紹介しました。

 研修会の終盤には、参加した先生方にPadletでコメントや質問を書いてもらいました。時間が許す限り、その場で質問に回答していきました。

 研修のなかで「思考したり、表現したりする過程で、子どもたちがICTを活用する」という事例として、作文のときにICTを活用する事例やシンキングツールを活用して作文の幅を広げることを紹介したので、作文をどう書くかやタイピングをどう練習するか、という質問が多く寄せられました。また、文章を書くときに生成AIがどのように関わってくるのか、ということについての質問も多かったです。Padletで書いていただいた質問をいくつか紹介します。

  • 「作文などを紙に書いた方が、深いことを書くと思うんだよね」という感想を他の先生からよく聞く。推敲が楽というデジタルの良さは感じるものの、私自身も振り返りを書かせるときに紙に書いた方がじっくり考えて書いているなと思えてしまう。どのように思われますか?
  • これからの時代で生成AIなどの活用能力は必要になってくると思うが、小学校で生成AIを使うと、考える力や文章を書く力が育たなくなるのではないか?
  • 生成AIが発達し、便利にはなりましたが、我々大人が使う分にはうまく活用していけば、良いと思いますけど、子どもたちにとって思考をする機会が減り、新しいものを創造していく意欲が失われてしまわないか心配です。もちろんアナログな情報活用と合わせて行っていくのだと思いますが、何か良い方法はありますか?
  • タイピングスキルを鍛える効率的な方法を教えていただきたいです。低中高学年それぞれ知りたいです。

 こうして疑問に思っていることを言語化することはとても大事なことだと思います。「とにかく生成AIはダメ」と最初から門戸を閉ざすのではなく、生成AIでどんなことができるのか、どんなことはできないのか、ということを知ってもらいたいと思います。
 デジタルを「使いこなす」けど、デジタルに「使われない」ようにするために、デジタルとアナログのバランスをどうとるか、ということは生成AIも含めて考えていきたいなと個人的に思っています。特に、小学校だからこそ、適切なバランスというものをとる最初の一歩にしていきたいと思います。

 また、失敗談についても知りたい、という質問がありました。意外とこちらから積極的に失敗談を研修のなかで話すことはないので、こうして質問で書かれるのはいいなと思いました。

  • ICTを子どもたちと使って、失敗した体験談等あれば教えていただきたいです。その時どのような対応をしたのかも教えていただきたいです。

 時間の関係で、すべての質問に研修会のなかで答えることはできなかったので、終了後にPadletのコメント機能を使って回答を書き込んでおきました。Padletのデータは残してあるので、継続的に質疑応答の記録も他の参加者のコメントも読むことができ、これもメディア教育部会として蓄積した知見のひとつになればいいと思っています。

 こうして毎年山形市立小学校のICT活用を広げていこうとする先生方が集まる場に参加させていただくことは大変意義のあることだと思っています。今後も継続的に山形市の先生方のお役に立てるように努めていきたいと思います。

(為田)