教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

休校×ICTでやれたこと No.5 「一人1台iPadで全校リモート授業」(さとえ学園小学校)

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、政府が打ち出した小中高校や特別支援学校などの臨時休校が2020年3月2日から始まりました。休校の状況にあっても、ICTを活用することで教育活動などを継続している学校の実践を「休校×ICTでやれたこと」として紹介していきます。

 今回は、さとえ学園小学校の山中昭岳 先生からいただいた実践で、「一人1台iPadで全校リモート授業」です。

Q1:どんなふうに使っているかを具体的に教えて下さい。

山中先生:一人1台iPadセルラータイプ)で、G Suite(Goolge Classroom、Goolge ドライブ、Goolge フォーム、Goolge スプレッドシート等)、 Evernote、Qubena、スタディサプリ、英語系アプリ、Zoom  等を使って、全校でリモート授業を実践している。
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  • <事前>
    • Goolge Classroomを基本の連絡ツールとして、時間割や課題、手紙(これは通常はEvernoteに掲載しているが今はとりあえずGoolge Classroomでも)のやりとりをしている。
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  • <授業>
    • 基本、朝の会と終わりの会をZoomでつないで学校にいるときと同様に行っている。
    • ほぼ全教科で課題を提示し、作品やデータ等をドライブに保存する、Qubenaやスタディサプリで宿題配信する、その他、教師が作成した課題等を配信する、という形で学習をすすめている。
    • 教師が事前に撮影していた講義動画を配信したり、Zoomでのやりとりをしながらの授業等、慣れてきてそれぞれの学年で発展していっている。
      • Zoomを活用してオンラインでリアルタイムでの国語授業(2年生)
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      • オンライン漢字学習(2年生)
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      • オンライン音読指導(2年生)
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      • 算数の授業を録画して配信。(3年生)
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      • 漢字の学習。いつもの板書をZoomのホワイトボード機能を活用して子どもたちと共有しています。(3年生)
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      • 体育の授業をZoomでしています。一緒に身体を動かすことも可能です。(3年生)
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      • 学校でみんなで育てていたクサガメを、Zoom経由でみんなに見せています。(1年生)
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  • <サポート>
    • サポートセンターを立ち上げたり、FAQサイトがあるためそちらでサポート情報を共有している。
    • 保護者からGoogleフォームでフィードバックをもらい、ICT環境だけでなく、学習に対して個別対応が必要なケースなどをみつけ、担任より連絡をする仕組みもつくっている。

Q2:「もっとこうであればよかった」ということがもしあれば教えて下さい。

山中先生:一人1台個人持ちのiPadを続けていたおかげで、先生たち、子どもたちの対応は今までの活用の延長であり、保護者も今回のリモート授業でiPadの有用性を再確認していただけた。GIGAスクール構想が実現すれば、こういうことが「ふつう」になります。この取り組みが特別なものでなく、当たり前にできる環境づくりを全国で展開できていればと思いました。

まとめ

 山中先生からは、休校要請があった当時の様子も教えていただきました。

山中先生:安倍総理からの休校要請の発言(2月27日)から、退勤後であったが学校長よりオンラインで先生たちに休校にむけての課題の洗い出し依頼があり、その対応としてICTメンバーが休校対策のTrelloを立ち上げ、その瞬間、オンラインで退勤後にも関わらず先生たちが課題を書き込み翌日の朝からスムーズに休校対応ができた。オンラインでつながっている状況が常態化していたからこそできる対応であり、今後の働き方改革へとつながるものである。
この機会に、先生、子どもたちが「オンライン」と「リアル」のメリット、デメリットを整理・分析でき、新しい形の学校像をつくっていきたい。

 一人1台のiPadを全児童がもっている環境+先生方がICTを普段からツールとして使っているからこそできた対応だったかと思います。実際、リモートワークを活用している多くの企業でも、似た形でしくみを作っていますので、普段からこうしたしくみを意識して作り、運用しておくことで今回の休校時のリモート授業も実現できたと言えるでしょう。
 保護者からの対応としても、サポートセンターやFAQサイトなどを立ち上げるだけでなく、Googleフォームを使ってフィードバックをもらうようにしているところも、「新しい形の学校像」と山中先生が言うものになってきているのではないかと思いました。

 さとえ学園小学校は、Twitterで情報発信をしていますので、よろしければそちらもぜひ見てみてください。

 山中先生、どうもありがとうございました。

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 実践紹介と共に、「もっとこうであればよかった」も合わせてまとめておけば、GIGAスクール構想後の学校に役立つ知見になると思います。引き続き、フォームからの投稿を受け付けていますので、どうぞよろしくお願いします!

docs.google.com

(為田)