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書籍ご紹介:『YouTubeで授業 学級経営 やってみた!』

 原口直『YouTubeで授業 学級経営 やってみた!』を東洋館出版社様からお送りいただきまして、読ませていただきました。ありがとうございます。

 著者の原口直さんは、中学校で10年間音楽の先生としてお勤めになっていた方で、YouTubeにても発信をされています。
www.youtube.com

 この本は、第1章と第2章に分かれています。第1章では、授業づくりのためにどうYouTubeを使うか、が書かれています。第2章では、実践事例が書かれています。コンピュータを使った授業をすると、検索結果にうっかりYouTubeの結果が混ざり、子どもたちがそこから関係ない動画を見始めてしまって…というようなこともときに起こります。ただ、だからといって「そもそもYouTubeなど見られないようにする」というのでは、あまりにもったいない、と僕も思います。
 YouTubeの中には、たしかに大人が「これは…ちょっと…」と思ったり、「しょうもないな…」と思う動画もたくさんあります。ただ、一方で素晴らしい動画に出会うこともたくさんあると思います。そうした動画を教材として子どもたちに見せられることは、とてもいいことだと思います。
 原口さんは、YouTubeもたまに使うから遊びまくってしまうのであって、だからといってすべてを禁止するのではなく、「自由に使う時間を設ける。これもボール、楽器と同じ。時間や場所など一定のルールを設けた中で、好きに遊ばせる。」(p.50)と書いています。結局、どこでもYouTubeにアクセスできるようになるので、節度を持って使っていけるようにならなければいけないのは明らかだと思います。最初はたくさんしょうもない使い方をすると思いますが、そこを我慢していくしかないのではないかと思います。
 その先に、YouTubeが提供している、関連する動画をどんどん見せてくれる機能が効いてくると思います。原口さんは以下のように書かれています。

DVD教材でなくYouTubeを教材に使う良さは「おすすめ動画」「次の動画」で興味・関心が広がっていくこと。また、その興味・関心の方向が子どもそれぞれ違っていい、ということです。1本目に一斉に見せる動画は同じでも、2本目に何を見るかは、子どもによって違う。5本目は?10本目なら?きっと子どもの数だけ、たどりつく動画が違うことでしょう。(p.50-51)

 まったくそのとおりだと思います。先生から「この動画見てご覧」と言われたり、Google Classroomなどでリンクが送られたりしたところから、巡り巡って、子どもたちが新しい世界に触れて、またリアルの教室に戻ってくる、ということもできるようになるのではないかと思います。

 そうした事例がたくさん紹介されているのですが、そうなるとやはり、一人1台環境はもちろんですが、一人1アカウント(ID)でYouTubeを管理して、自分なりのYouTube画面ができていくといいな、と思いました。原口先生は、先生が使うときに、自分用と学校用でアカウントを分けることを提案していますが、子どもの使うアカウントも一人1アカウントある方がいいと思います。

自分用と学校用で分けることをおすすめしよう。方法は2つ。

1つ目は『自分用は自分用。学校用に他のメールアドレスとパスワードを作ってYouTubeを見る。』
2つ目は『自分用は自分用。学校ではログインしないでYouTubeを見る。』(p.24)

 その他にも、著作権のことなどについても書かれています。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための休校期間にYouTubeにて朝礼や授業動画を配信した学校も多くありました。さらに活用を進めるために読んでみるといいのではないかと思いました。

(為田)