2024年5月13日に軽井沢風越学園を訪問し、澤田英輔 先生が担当する5年生・6年生合同の「作家の時間」と「読書家の時間」の授業を参観させていただきました。このレポートでは、授業以外のところで、あすこまさんと話をさせていただいて思ったことと、子どもたちが「作家の時間」と「読書家の時間」で使っていたゼロゼロのスペースについて紹介したいと思います。
作家ノートギャラリー
ゼロゼロのスペースには机と椅子があって、「作家の時間」でも「読書家の時間」でも、文章を書くときにはこちらのスペースを使っている子どもたちが多くいました。
ゼロゼロの机の上には、「作家ノートギャラリー」と書かれたボードが置いてありました。「推敲する」のボードには、推敲された作家ノートがスキャンされていて、説明と一緒に読むことができます。
作家ノートギャラリーのボードは、ゼロゼロの壁一面にある本棚の中にもたくさん入っていました。自分以外の人が書いた作家ノートをこうして見ることができるのはいいなと思いました。
あすこまさんのインタビュー・レビュー
あすこまさんの授業は、2018年10月に前任校で参観させていただいて授業レポートを書いたことがあります(参照:筑波大学附属駒場高校 授業レポート No.3(2018年10月11日))。
昼休みに、このときの授業のレポートをあすこまさんと一緒に読み返していて、「いまはこうは言わないな」とおっしゃっていたところがありました。それは、「いちばん身につけてほしいこと」についての質問でした。
「このライティング・ワークショプで生徒たちにいちばん身につけてほしいことは何ですか?どんな生徒になってほしいですか?」と澤田先生に質問すると、「自分なりの書くプロセスを身につけてほしい。あと、書くプロセスについて理解を深めてほしい。」との答えでした。澤田先生は、「中等教育の国語でやるべきは、自分なりのプロセスをもつこと。アイデアを考える、メモを書く、構想を練る、そのときにどんな道具を使って…というのを経験させること」と言います。
「では、いまなら、子どもたちにいちばん身につけてほしいことは、何と答えますか?」と質問してみたら、あすこまさんの答えは「いまならこう答えます。“自分のことを書き手だと思ってほしい”、と」でした。
前任校で参観させていただいたのは高校2年生の授業、今回は小学校5年生と6年生の授業です。学年の違いや発達段階の違いももちろんありますが、あすこまさんも日々変わっていっているのだと僕は感じました。日々、子どもたちの様子を見て、どうしたら子どもたちが「良い書き手」「良い読み手」になるのかを真摯に考え続けて授業を作っているのだと思います。
僕は小学校で1年生から3年生のアフタースクールの授業を担当しているので、「文章を書いたり、表現したりするのを楽しめる子どもたちを育てたいんですけど、どういうところに気を配ればいいでしょう?」と相談したら、「子どもたちが“また書きたい”と思うのがいちばんなんですよ」とおっしゃってくださいました。
書き方のルールやテクニックを細かく教え込むのではなくて、“また書きたい”と子どもたちに思ってもらえるような授業をしたいなと感じました。1日参観させていただいた、あすこまさんの「作家の時間」も「読書家の時間」もとても学びが多い時間となりました。
(為田)