移動中に、レイ・イナモト「世界のクリエイティブ思考」を聴いていたら、カンヌライオンズ2024で見つけた注目作品として、フランスの通信会社Orangeの女子サッカーに関する作品が紹介されていました。
art19.com
この作品は、フランスの通信会社Orangeが2023年7月に開催されたFIFA 女子ワールドカップ2023の開幕前にSNSで公開した「la Compil des Bleues」という動画です。この動画は、2023年夏にSNSですごく回っていたので、よく覚えています。今回改めて見てみました。
動画には、男子サッカー フランス代表のスター選手のプレーが次々と映し出されていて、「フランス、強いもんなー」と見ていると、「しかし、あなたが今見たのは、彼らではない(But that’s not them you’ve just seen)」という言葉が画面に出てきて、動画は冒頭シーンに巻き戻され、男子フランス代表のプレーは編集によって女子フランス代表の選手たちのプレーだったことがわかります。
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2つの観点から、この動画を中学生や高校生たちに授業で見せてみたいなと思いました。
ひとつは、「こんなふうに女子選手を男子選手と置き換えて、自然な映像が作れるんだなあ」と感じてもらうことです。自分自身が気づけなかった、という体験をすることに意味があると思います。
フェイクニュースを作り出すテクノロジーの問題として、メディアリテラシーの最初の入口になる教材として使えるのではないかと思います。参考資料として見せられそうな、この動画のメイキングを紹介しているサイトがあったのでリンクを貼っておきます。
もうひとつは、「すごいプレーをしているのは男子」と何となく思い込んでしまっている(かもしれない)自分に気づいてもらうことです。アンコンシャス・バイアスというか、思い込みを自分がもっていることにふと気づいてもらえたらいいと思います。
(為田)