2025年10月29日に京都教育大学附属桃山小学校を訪問し、宮川史義 先生の担当する6年2組の社会「江戸幕府と政治の安定」の授業を参観させていただきました。6年生はこの日の翌日から長崎へ修学旅行で行く予定になっていて、修学旅行と社会科の単元を組み合わせた授業になっています。
単元のキーワードとして、長崎にある「出島」「大浦天主堂」「長崎奉行所」「グラバー園」「唐人屋敷跡」が提示されています。提示されているキーワードについて自分たちで調べた内容と、授業で学んだ内容やクラス全体でのやりとりで出てきた視点などを、実際に自分が修学旅行で訪れる長崎で見る景色と重ねて学ぶことができるようになっています。
この日は、唐人屋敷跡について調べた内容を報告するプレゼンテーションから授業がスタートしました。
唐人屋敷跡について発表している子が「唐人屋敷は消失してしまった」と言うと、「焼失って何?」「それはどうして?政府の命令とかで?」と宮川先生は質問をしていました。調べたことをただ発表するだけでなく、きちんと知識として内容を理解しているだけでなく、その知識をもとに深く考えているかを確認するような質問が宮川先生からされていました。
その後に発表している子が続けて「僕が疑問をもっているのは、唐人屋敷を使わなくなっても残してもいいんじゃないかと思う。残した方が、当時のこともわかるし、今の人にも伝わりやすい」と言うと、宮川先生が「だけど、今からしたら残すかもしれないけど、当時の人が残した方がいいと思うことはないんじゃない?」…とやりとりが続いていきます。
こうして宮川先生との質疑応答がみんなの前で行われることで、「どういう視点で考えていけばいいのか」「どういうレベルで調べて、発表してほしいのか」ということをクラス全体で共有することができていくと感じました。

宮川先生が「全体の景色と繋がっているかな?挑戦してみましょう」と言って、子どもたちはグループに分かれて、「出島」「大浦天主堂」「長崎奉行所」「グラバー園」「唐人屋敷跡」の5つのキーワードが「江戸幕府と政治の安定」とどう繋がっているのか考える活動に入ります。
6年生の教室には、後方の壁が大きなホワイトボードになっているだけでなく、移動できるホワイトボードが廊下側にもたくさんあります。各グループがそれぞれの場所でホワイトボードを使ってディスカッションをしながら、ホワイトボードに「出島」「大浦天主堂」「長崎奉行所」「グラバー園」「唐人屋敷跡」の付箋を貼って、それぞれがどう繋がっていくのか、調べたことや考えたことを書き込んでいきます。
ここでは、ホワイトボードがディスカッションをぐいぐいと進めていく仕掛けになっているように感じました。一人1台のChromebookの端末に共有ノートで書き込むのと、みんなでホワイトボードに向き合って考えをどんどん書き込んでいくのは、協働している感じがけっこう違うように僕は思いました。ホワイトボードでアナログで文字を書いていく活動が、デジタルでは得られない推進力を与えている感じがします。すべてをデジタルにするのではなくて、アナログを使うことによる学びの質の違いについても、継続的に評価していく必要があるなと感じます。

ホワイトボードに書き込みながら、「鎖国しているときに大浦天主堂ってあったの?」というふうに疑問が出てきたら、その場でChromebookを使って検索して、ホワイトボードに書き込んでいきます。

宮川先生は各グループのホワイトボードを見て回りながら、子どもたちのディスカッションに参加したり、次に繋がる問いを投げかけたりしていきます。

ホワイトボードを使ってディスカッションをしていると、どんなことを調べたのか、キーワードがどう繋がり合っているのか、ということがわかりやすくなります。これは大きいホワイトボードでやるからこその利点だと思います。
また、他のグループのホワイトボードを見に行くことも簡単にできるし、ホワイトボードに書かれているのを読んで、「え、これってどこで調べたの?」というふうに質問をして教えてもらうこともできます。こうしたコミュニケーションが生まれるのもホワイトボードを使う利点の一つだと思います。


ディスカッションの時間の最後に、自分たちのホワイトボードを撮影して、ロイロノート・スクールで提出します。

最後に、グループごとに自分たちのホワイトボードを撮影した写真を見せながら、どんなことを考えたかを発表していきます。
そのなかで、「すべては“鎖国”で繋がると思った」と言った子がいて、その言葉が、子どもたちが全体の繋がりに気づくきっかけになったように思いました。授業の最後にGoogleスライドで書いたふりかえりにも、「鎖国」について書いている子が多くいました。

ここから子どもたちは「鎖国」がどのように江戸幕府の政治を安定させたのかについて考え、実際に修学旅行で長崎に行って見る景色と繋げてまた考えを広げて、深めて、学びが進んでいきそうだ、と感じました。
No.3に続きます。
(為田)