2024年12月26日にTOPPAN小石川本社ビルにて、東京書籍株式会社と弊社フューチャーインスティテュートで学習者用デジタル教科書 体験&授業づくりワークショップを開催しました。全国の学校で特に活用が進んでいる教科である、小学校算数と中学校英語の二部構成で行ったワークショップのうち、小学校算数のワークショップの様子をレポートします。

算数・数学の学習者用デジタル教科書は、小学校5年生から中学校3年生までの約半数の学校で無償提供されています。しかし、使ってみたいけどまだ触ったことがない、という先生が多いのも現状なので、最初に、東京書籍 DX企画部の清遠和弘さんから、『新しい算数』の学習者用デジタル教科書の機能と、学習者用デジタル教科書を活用した授業の例を紹介してもらいました。

清遠さんは、さまざまな授業の例を紹介し、そのなかで使われているデジタル教材コンテンツのデモンストレーションをしてくれました。僕が個人的にいいなと思うのは、シミュレーションができるデジタル教材コンテンツです。子どもたちが自分で何度も試行錯誤をしてみることで、算数の知識を習得しやすくなることは多いと思います。

清遠さんは台形の面積の求め方を考えるデジタル教材コンテンツを例として見せてくれました。台形の面積の求め方を考えるために、台形を自由に切って、面積の求め方を知っている形に変形して考えられるようになっていました。
これを紙で作って同じように考えることはもちろんできますが、紙だと一度切ってしまうと戻せないので、操作を躊躇する子もいます。学習者用デジタル教科書からアクセスできるデジタル教材コンテンツを使うことで、子どもたちの試行錯誤をする時間を増やすことができていた例だと思います。

学習者用デジタル教科書を活用した授業で使われたデジタル教材コンテンツを紹介した後で、清遠さんは東京書籍『新しい算数』で2024年度に最もアクセスのあったデジタル教材コンテンツのランキングを学年ごとに発表していきました。
学習者用デジタル教科書には、さまざまなデジタル教材コンテンツがありますが、忙しい先生方がデジタル教材コンテンツを実際に使ってみる時間をとるのは難しいと思います。デジタル教材コンテンツを使ってみたいけど、その時間がない先生方にとって、このランキングがあれば、同じ教科書を使っている小学校の先生が、どのようなデジタル教材コンテンツを授業で使っているのかがわかります。
デジタル教科書だからこそアクセスログがとれて、近隣の小学校だけでなく日本全国規模でどのデジタル教材コンテンツが使われているのかがわかるのは、先生方にとって有益な情報となると思います。また、これから、デジタル教材コンテンツを使いたいと思う先生方にとっても、入り口として非常に良いデータだと思います。

ランキング上位に入っていたデジタル教材コンテンツを、実際にその場で清遠さんが操作して見せてくれました。大きい数の表し方を学ぶコンテンツでは、「10」のカードを一の位にドラッグすると、「1」のカード10個に変わります。こうしてアニメーションで数の表し方を見ることができるのもデジタル教材コンテンツの良さだと思います。

ランキングの紹介が終わったところで、参加してくださった先生方にIDとパスワードを配布します。この日のワークショップには、先生方に端末を持ってきていただいていたので、自分の端末で学習者用デジタル教科書にログインしてもらって、好きな学年で自由に学習者用デジタル教科書を使ってもらいました。
清遠さんが紹介してくれたランキングに入っていたデジタル教材コンテンツを使ってみる先生もいましたし、自分がいま担任している学年、いま教えている単元やこれから教える単元のページを見てデジタル教材コンテンツを使ってみる先生方もいました。
参加者のテーブルごとに「こんなコンテンツがあった」と情報交換もしてもらえるように、学習者用デジタル教科書を自由に使ってもらう時間を多く取りました。また、会場には東京書籍の教科書を編集している方も、デジタル教科書を制作している方もいらっしゃったので、その場でプロフェッショナルな意見を先生方とやりとりすることもできていました。
学習者用デジタル教科書にあるARコンテンツも紹介してもらいました。QRコードを読み込むと、1立方メートルの立方体を表示することができ、「どれくらいの大きさなのか」という実感をもてるようになるARコンテンツです。

先生が表示している立方体のARのところに人が入れば、人と大きさの対比をすることもできます。AR技術を使うことで、こうして実感を得ることもできます。

最後に参加された先生方が使ってみた学習者デジタル教科書についての意見を、Padletで共有してもらいました。「授業アイデア」「イチオシ機能」「改善アイデア」の3つの観点を色分けして、それぞれのカードに書いて貼ってもらいました。参加してくださった先生方からいただいたコメントを一部転載します。
「授業アイデア」
- 面積:平行四辺形、台形、三角形、ひし形の面積を求める。公式がどうして当てはまるかを考える
- 2年生の数の単位の学習では、各児童がデジタルコンテンツを使って、考え方を書き込み、スクショを送って考え方を共有しています。数カードを動かした様子を手軽に書き込んで共有できることが子どもたちには扱いやすそうでした。
「イチオシ機能」
- 読み上げ機能がよい。児童によって読み上げのスピードが変えられるのがとても良いです。
- AR機能のマーカー:授業以外にも、校内の算数掲示板などに貼っておくと、子どもが興味をもってくれるかもしれないと思いました。
- 紙を切り取らなくてもよいのがいい。使った後に教室に散らかりがちな教材が散らからないで、すぐに使えるのがよい。
- 円の面積:平行四辺形に変形するのはよくあるが、三角形に変形するバージョンもあるのが素晴らしい。昔、トイレットペーパーを切って見せた苦労が嘘のようです。
- 図形のしきつめはとても便利だった。ヒント機能も二段階あってステキです。
- 2画面機能で既習事項を思い出せ!:2画面機能を使うことで、前の学年の単元の振り返りが児童の手元で行えるので、ちょっとした躓きにも対応できる。
- 動画をひたすら流しながら、児童に個別に対応しました。この機能、現場で大変活用できます。
- 一人一人が立体をいろいろな角度で見ることができる

Padletに書かれたイチオシ機能を見て、「あ、それ見てみよう」というふうに新しいデジタル教材コンテンツに出会うこともありますし、「授業アイデア」が共有されることで授業での活用までイメージできるのもいいと思います。
こうしたワークショップを通じて、学習者用デジタル教科書を活用した授業アイデアがどんどん広がっていき、子どもたちの算数の学び方の選択肢が広がればいいなと思います。
中学校英語『NEW HORIZON English Course』のワークショップ レポートへ続きます。
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(為田)