2025年7月24日に葉山町教育総合センターで行われた、葉山町 情報教育研修講座に講師としてお招きいただきました。夏休みに行われるこの情報教育研修講座は、2022年度、2023年度、2024年度に続いて4回目の登壇となります。
僕は葉山町教育委員会の楽校教育推進アドバイザーとして、町内にある6つの小中学校(4つの小学校、2つの中学校)すべてを訪問して、授業も参観させていただいています。自分の見てきた範囲でわかる葉山町の学校・授業の雰囲気を考えながら、情報教育研修講座を設計しています。
これまで3年間、いろいろな学校がICTを活用して実現している授業の様子を紹介して、葉山町の先生方に「ICTを活用したらどんな授業ができるのか」ということを考えてもらう、という研修講座をしてきましたが、今年度はより具体的なことをテーマにしたいと思い、「プレゼン力と探究力で情報活用能力を高める実践提案」というタイトルにさせていただきました。
最初に、「教育の情報化の手引き -追補版-(令和2年6月)」第2章の「第2節 学習の基盤となる資質・能力としての情報活用能力」を紹介して、情報活用能力を子どもたちに身につけてもらうことの重要性を紹介しました。
そのうえで、情報活用能力を育む活動として、学校でよく行われている「プレゼンテーション」について話をします。調べ学習にしても、探究学習にしても、最後にはだいたいスライドにまとめてプレゼンテーションする、という形式が多いですが、スライドを操作する自分の端末を見つめてプレゼンテーションをしたり、調べたサイトからコピペした文章を読むことができなかったり、もっとプレゼンテーションを上手にできるようになる余白がたくさんあると僕は思っています。
なにより、子どもたちがより良い「プレゼンテーション」をできるようになるために、情報を集め、情報をまとめて編集し、情報を伝えるように、何度も試行錯誤をしていく場面を作りましょう、ということを提案しました。
「プレゼンテーションをどうやって授業で教えるか」という提案として、株式会社クリエイティブシフトが開発した「プレゼンテーション・パターン」を、「パターン・ランゲージ授業づくりパートナー」である弊社フューチャーインスティテュートが教材として使えるように設計した「プレゼンテーションのコツ」の授業を、参加した先生方に体験していただきました。
授業を体験していただいた後で、Padletに「感想・コメント」と「質問」を色分けして書き込んでもらいました。
参加した先生方に書いていただいた「感想・コメント」をいくつか紹介したいと思います。
- 総合の授業でプレゼンテーションをよく使うことが多いと思うので、今回の研修はとても役立つ研修だと感じた。
- プレゼン学習で、子どもたちのまとめたものに物足りなさを感じていました。こちらもどんな言葉で伝えたり、考えてもらったりしたらよいかはっきりできてよかったです。
- 情報活用能力やプレゼン力をどう育むかについては、体験しながら学ぶことを中心にやってきたので、何をどう伝えるかを具体的に聞くことができて、どうすればよいかの具体的なイメージをもつことができました。
- 国語の学習と重なる部分が多いと感じた。ICTの良さを「伝える」という部分より「試行錯誤する」という部分に焦点化するとより効果的に活用できると思った。
多くの先生が「情報活用能力やプレゼン力をどう育むかについては、体験しながら学ぶことを中心にやってきた」のだと思います。でも、より多くの先生が、より多くの児童生徒に「プレゼンテーション=伝える力」を教える授業を増やしていこうと思うと、より具体的な授業案をもつことが大事かなと思っています。
今回提案させていただいた「プレゼンテーションのコツ」の授業を、「実際にやってみたいです」とおっしゃる先生方も多くいらっしゃいました。葉山町での「プレゼンテーション」の力を高める授業を広げていければいいと思います。
- 総合学習で何かを伝える機会が多いと思うので、自分たちが何かを伝える前に今日の授業をやっていただきたいです⋯!
- 中1の最後の課題で新入生に向けた学校紹介スライドを作りました。今回の研修を通して知ったプレゼンテーションのコツを今後の授業の導入にしたいです。
学校で長期的に「プレゼンテーションのコツ」を学ぶ授業に取り組むことができれば、子どもたちは「人に何かを伝えることの楽しさ」と「難しさ」を学べると思います。先生方が教えることで、学校行事や日々のクラスでのコミュニケーション、他教科で学んだ内容などとも連携させていくこともできると思います。
葉山町の先生方が「プレゼンテーション」のやり方を伝えることで取り組んでいく、情報活用能力を育む授業をサポートしていきたいと思います。
(為田)