教育ICTリサーチ ブログ

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京都教育大学附属桃山小学校 授業レポート No.5(2020年6月24日)

 2020年6月24日に、京都教育大学附属桃山小学校の俣野知里 先生が担当する4年生の外国語活動の授業をオンラインで見学させていただきました。この日の授業は、俣野先生が、学級担任の井上美鈴 先生とALTのJason Davidson先生と3人で学校の教室から授業を配信し、児童は各家庭からオンラインで参加するという形で行われました。

 Zoomにログインすると、児童と先生方とのやりとりが聞こえてきます。先生方の「Hello, everyone.」という呼びかけに、「Hello!」と大きな声で返事をしています。児童はZoomで接続している間、通常はミュートボタンを押していますが、挨拶に対する返事をするときにしっかりミュートを解除して返事をしています。
 オンライン授業ではこうした細かいところも実は重要で、普段からICTを使っていて慣れているからこそできることだと思います。

 「How are you today?」と最初に教室でJason先生が井上先生と俣野先生に訊き、その後はZoom経由で児童一人ひとりを先生が指名していき、「I'm great.」「I'm happy.」「I'm good.」のように答えてもらっていました。
 その後、「How's weather in your town?」という質問がありました。今回の授業では、僕も含めて東京からのオンライン参観者がいたので、東京の天気についても訊いておられました。
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 英語での挨拶のやりとりをした後に、今日のゴール「小文字の読み方を聞いたり言ったりしよう」と「Today's Plan」を、Zoomで画面共有して示します。画面共有機能を使えば、オンライン授業でも教室での授業と同じように、授業の流れなどを示すことができます。
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 この後、みんなでアルファベットクイズをしました。この日の授業のゴールは、「小文字の読み方を聞いたり言ったりしよう」だったので、Jason先生が持っているボードでアルファベットの小文字の一部だけを見せて、そのアルファベットが何かをみんなで当てる、というゲームでした。
 Jason先生が、「What's inside?」と言って、アルファベットの一部をZoom画面でみんなに見せます。形が似ているアルファベットを考えられるようになっていました。
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 ちらっと見せただけで、「j!」「i!」と児童は言い合い、アルファベットカードをカメラに向けて見せてくれていました。なかには、jと i の2枚のカードを出して「j or i.」と言っている児童もいて、Jason先生に「Only one, please.」と言われていました。こうしたやりとりが、英語での会話の楽しさを実感する活動になっていると感じました。
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 先生方が楽しそうなのが、このクラスの「コミュニケーションをしたい」という児童の雰囲気を作っていると感じました。コミュニケーション活動なので、同じ場にいる方が望ましいという意見もあるでしょうが、学校でこれまでにも一緒に学んでいる4年生たちなので、オンラインでも先生方・児童同士で楽しくコミュニケーションできている様子がわかりました。


 次に、みんなでアルファベットの小文字でBINGOをします。全部で9枚のアルファベットカードを縦3枚、横3枚で並べてもらいます。
 BINGOは、先生側の方で「Lucky Draw」というアプリを使って数字をランダムに出します。その数字の出席番号の人が、好きなアルファベットを言える、という形式でした。児童がアルファベットを言うたびに、Jason先生が「Do you have "s"?」というふうにみんなに質問していきます。

Lucky Draw

Lucky Draw

  • Chia-Chun Hsieh
  • ユーティリティ
  • 無料

 4つ目の文字で「BINGO!」となった児童が3人もいて、「So fast」とJason先生が驚いていました。BINGOは、オンライン越しでやっても、おもしろいゲームでした。

 BINGOだけでなく、この授業での活動すべてにおいて、「Yes, I do.」「Yes, I am.」と、児童からいろんな返事が飛び交っていました。正しい返事でも、ちょっと正しくなくても、みんなミュートを一度OFFにして、どんどん返事をしているのが素晴らしいと思います。先生方が「コミュニケーションしたい!」「伝えたい!」という雰囲気を作ってくれているのだと思います。家で一人で勉強しているので、授業でやるのとは違いそうなのに、これはすごいです。

 最後に、ロイロノート・スクールを使った活動「Let's Write」をしました。今回は、学校で配布した紙のワークシート集6ページの下 3行に、ヘボン式ローマ字で地名を紙のワークシートに書いてもらって、写真を提出してもらうという活動です。
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 ワークシートの書き方についても、画面共有をしながら説明されていきます。Shiga(滋賀)について書くときに、「Biwako Cute character!」という声も出ていました。
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 ロイロノート・スクールで提出してもらったワークシートを俣野先生が添削して返します。デジタルを使っても、ノートのやりとりを行うことはできますし、どのようにこれまでの授業を拡張できるのか、ということを設計するのも重要だと思いました。
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 今回見学させていただいたオンライン授業の中には、Zoomにあった活動と、ロイロノート・スクールにあった活動がありました。みんなでリアルタイムに話し合いながらコミュニケーションを楽しむ活動はZoomに適していますし、児童一人ひとりが各自ワークシートに取り組む活動はロイロノート・スクールに適しています。
 これをうまく使い分けて授業を設計されていることがポイントだと思います。また、何よりベースにあるのは、「コミュニケーションが楽しい!」というふうに児童が感じられるような授業を設計することが重要だと思いました。

(為田)