教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

『学習者中心の教育を実現するインストラクショナルデザイン理論とモデル』 ひとり読書会 No.15「第15章 ジャストインタイム指導法のデザイン」

 C.M.ライゲルース、B.J.ビーティ、R.D.マイヤーズ『学習者中心の教育を実現するインストラクショナルデザイン理論とモデル』をじっくり読んで、Twitterハッシュタグ#学習者中心のID理論とモデル 」を使って、ひとり読書会を実施したのをまとめておこうと思います。

 今回は「第15章 ジャストインタイム指導法のデザイン」のまとめです。本では、「ジャストインタイムティーチング」「Just in Time Teaching(JiTT)」「ジャストインタイム指導法」といろいろと書かれています。章の最初に書かれている「JiTTとは?」をみると、反転学習の設計のように思えました。反転学習も、ICTが活用されるようになればどんどん進めていける学習方法だと思いますし、小学校~高校でもある程度できる部分はあると思っていますので、参考にしたいと思います。

 授業前のウォームアップの質問は、インタラクティブで魅力的な教室内授業の準備となるジャストインタイム教育法の重要な特徴になる。課題の特徴が挙げられていました(p.409)

  • 簡単に調べることができない答えを要求すること
  • 学習者に既有知識と経験を思い出すことを推奨すること
  • 基盤となる概念を含めて、学習者が自分の言葉で答えを導き出すことを求めること
  • 質問に明示されていない情報を補うことを学習者に求めるために、十分なあいまいさが含まれていること

 こうして見てみると、授業前のウォームアップとなる課題は、ただのドリルでもなく、教室での授業へどう繋がるのか、インセンティブを高め、学ぶ準備をさせるという役割を持っているのだとわかります。

 ジャストインタイム指導のフィードバックループも書かれています。どこがオンラインで、どこが授業なのか、ということも追記しました。

ジャストインタイム指導のフィードバックループ(p.409)

  1. 授業前学習課題(オンライン)
  2. 学習者の回答(オンライン)
  3. 指導者による分析(オンライン)
    • 児童生徒の回答に応じて、授業の流れを調整する
    • そうして、授業が学習者にとって、新鮮で面白いものになる。
  4. 授業内フィードバック(授業)
  5. 授業内コンテンツ(授業)→1. 授業前学習課題に戻る

 新型コロナウイルス感染対策で休校があった時期を踏まえると、こうしたジャストインタイム指導法の考え方や、反転学習、スクールタクトやロイロノート・スクールなど授業支援ツールやクラウドを活用したやりとりなど、できることは増えてきていると感じます。
 ただ課題を出してそれを回収して採点する、ということではなく、学習者中心の教育を実現するための手立てとして使える考え方がたくさんあるように思いました。

(為田)


(為田)