C.M.ライゲルース、B.J.ビーティ、R.D.マイヤーズ『学習者中心の教育を実現するインストラクショナルデザイン理論とモデル』をじっくり読んで、Twitterのハッシュタグ「 #学習者中心のID理論とモデル 」を使って、ひとり読書会を実施したのをまとめておこうと思います。
今回は「第15章 ジャストインタイム指導法のデザイン」のまとめです。本では、「ジャストインタイムティーチング」「Just in Time Teaching(JiTT)」「ジャストインタイム指導法」といろいろと書かれています。章の最初に書かれている「JiTTとは?」をみると、反転学習の設計のように思えました。反転学習も、ICTが活用されるようになればどんどん進めていける学習方法だと思いますし、小学校~高校でもある程度できる部分はあると思っていますので、参考にしたいと思います。
「ジャストインタイムティーチング(JiTT)は、クラス内での能動的学習(active learning)とWebを用いた準備作業とを融合させた帰納的教育方法である。授業前学習課題で得られる学習者の理解度の情報は、その後の授業の内容や活動を形作るために使われる」(p.408) #学習者中心のID理論とモデル
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2020年10月4日
「JiTTクラスでは、指導者との対話型・対面的セッションに備えるため、学習者はかなりの量のオンライン作業を完成させてくる。(略)指導者は学習者の回答を概観し、それらから収集した洞察をその後の教室での経験」に取り入れる。(p.408) #学習者中心のID理論とモデル
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2020年10月4日
授業前のウォームアップの質問は、インタラクティブで魅力的な教室内授業の準備となるジャストインタイム教育法の重要な特徴になる。課題の特徴が挙げられていました(p.409)
- 簡単に調べることができない答えを要求すること
- 学習者に既有知識と経験を思い出すことを推奨すること
- 基盤となる概念を含めて、学習者が自分の言葉で答えを導き出すことを求めること
- 質問に明示されていない情報を補うことを学習者に求めるために、十分なあいまいさが含まれていること
こうして見てみると、授業前のウォームアップとなる課題は、ただのドリルでもなく、教室での授業へどう繋がるのか、インセンティブを高め、学ぶ準備をさせるという役割を持っているのだとわかります。
ジャストインタイム指導のフィードバックループも書かれています。どこがオンラインで、どこが授業なのか、ということも追記しました。
ジャストインタイム指導のフィードバックループ(p.409)
- 授業前学習課題(オンライン)
- 学習者の回答(オンライン)
- 指導者による分析(オンライン)
- 児童生徒の回答に応じて、授業の流れを調整する
- そうして、授業が学習者にとって、新鮮で面白いものになる。
- 授業内フィードバック(授業)
- 授業内コンテンツ(授業)→1. 授業前学習課題に戻る
JiTTは、能動的学習、学習者中心の教育、学習進行中の評価の概念と実践方法を取り入れたもの。「学習者は、情報を収集して整理し、探究やコミュニケーション、批判的思考、問題解決などの汎用スキルを活用することによってそれらを統合し、知識を構築していく」(p.410) #学習者中心のID理論とモデル
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2020年10月4日
「JiTTの実施には2つの重要な段階がある。それらには、(1)学習者の理解を深めるための一連の質問を授業前課題として提供すること、(2)予想される学習者の回答を使って授業の流れを導くこと、が含まれる」(p.417) #学習者中心のID理論とモデル
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2020年10月4日
新型コロナウイルス感染対策で休校があった時期を踏まえると、こうしたジャストインタイム指導法の考え方や、反転学習、スクールタクトやロイロノート・スクールなど授業支援ツールやクラウドを活用したやりとりなど、できることは増えてきていると感じます。
ただ課題を出してそれを回収して採点する、ということではなく、学習者中心の教育を実現するための手立てとして使える考え方がたくさんあるように思いました。
(為田)
(為田)