映画「竜とそばかすの姫」を見てきました。大きな画面で、映像も音楽も本当に楽しめました。そして、楽しみながらもけっこういろいろなことを考えました。
舞台はインターネット上の仮想世界<U(ユー)>で、ユーザーは生体情報をもとにボディシェアリングした「As(アズ)」としてUのなかで生きる、という設定です。
Uの世界観、UでのAsとしての生き方、「アンベイル(オリジン=正体を暴く)」という行為について、ネットの中傷について、インターネットでの正義について…、いろいろなことを考えようと思うきっかけがたくさんありました。
監督である細田守さんは、「サマーウォーズ」(2009年)での仮想世界OZの描き方も含めて、デジタルとリアルの世界の関係を考える機会をくれる人だと思います。
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現実世界とは違う、仮想現実であるインターネットの中で居場所を見つけて生き直すことができる人がいる、そうしたポジティブな面があるのは事実。
一方で、「現実と切り離されているから、何を言っても大丈夫」となって多数派に乗っかってリンチをしてしまうようなことが起こったり、正体探しをしたり、ネガティブな面があるのも事実。
では、そのなかで、どうやって生きていくのか。どういう生き方があるのか、どういうバランスのとり方があるのか、ということを考えなくてはいけないと思いました。現実世界と仮想世界とバランスをとって生きていくこと。そもそも、現実世界のなかでも、「自分自身」と「他の人に見せる自分」でバランスをとって生きていくことが必要だし(これも「アンベイル」とかに近い)、この作品を見た子どもたちにどう思ったか聴いてみたいと思いました。僕ら大人とはちょっと違う見方をしたりもするのかな、とも思います。
「デジタル」の可能性を見せてくれる映画だと思います。(そもそも、そんな難しいことを考えなくとも、ただ楽しむだけでも全然いいと思いますけど!)
(為田)