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聖徳学園中学・高等学校 授業レポート No.2(2022年5月27日)

 2022年5月27日に、聖徳学園中学・高等学校を訪問し、品田健 先生が担当している高校1年3組のSTEAMの授業を参観させていただきました。このクラスは、聖徳学園中学校からの内部進学のクラスで、生徒たちの一人1台のiPadの利用は4年目となるので、高校1年生への進級時にはiPadを原則買い替え(Apple Pencilは必須で、キーボードとカバーは自分で自由に選べる)となっているそうです。

 品田先生は、生徒たちが教室に入ってくる前に、教室のモニターに「STEAM」と書かれたタイトルを表示し、音楽をかけていました。こうした学びの場としての教室環境作りも、「いつもの授業と少し違う」と生徒たちのマインドを変えることに効果があるかもしれないと思いました。

 授業の最初に、Boston DynamicsのロボットSpotの動画「No Time to Dance | Boston Dynamics」を見ました。「Spotは1台800万円します。これは高いか?安いか?人を雇うのと比べてどうか?」「何のために、この動画は作られたのか?」と、品田先生は生徒たちに次々と問いを投げかけます。
 生徒たちが考えているときに、品田先生は、「情報には、必ず送り手側の意図があります」と言い、これを考えるように伝えていました。こうした動画などの素材を使いながら、情報に込められた送り手側の意図をみんなで考えていく活動はおもしろいなと感じました。
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 今回の授業では、自分自身を表現するロゴマークを作ります。前回の授業では自分自身を表現するサウンドロゴ(ジングル)をGarageBandで作曲しています。最初に、品田先生が自分で作った自分のロゴマークをサンプルとして生徒たちに見せていました。

 その後で、Adobe Expressを起動して、自分の好きなテンプレートを選び、どうしたら自分自身のイメージを伝えることができるのか、文字を変えたり色を変えたりしながら、リミックスしていきます。

 この時点で、品田先生は「細かい使い方は、YouTubeの「Adobe Express」チャンネルでわかります」と言い、授業で説明しない応用的な操作方法をどこで見られるかを生徒たちに伝えていました。
 どんなロゴを作りたいのかによって、必要となるスキルも違ってきます。すべての機能について授業中に説明をしても使わない人もいるし、説明が煩雑になってしまいますので、こうして外部の素材を必要な生徒が参照できるように紹介するのはいいことだと思います。
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 品田先生は、Adobe Expressの操作画面のスクリーンショットを撮っておいて、そこに注を書き足した説明用のスライドを用意してモニターに映していました。こうすることで、口頭だけでの操作方法ではなく、画面のどこにあるボタンを押すのか、ということを視覚的に生徒たちは確認することができます。口頭の説明だけだと、どうしても作業に没頭しているときに聞き逃したりすることもあると思いますので、こうした一工夫で、先生が何度も繰り返し説明をしなければいけない、ということがなくなると思います。

 生徒たちは、どんどんロゴマークを作っていきます。テンプレートをそのまま使うだけでなく、他のアプリを使ってイラストを描いて、それをAdobe Expressに読み込む生徒もいました。
 制作している様子も、完全に1人で個人制作する生徒もいれば、「どんな?見せて見せて」「すげーよくね?」「かっこいいけど、お前っぽくないわ」というふうに隣の人と話し合ったり見せ合ったりしながら作る生徒もいました。こうして、お互いに見せ合う楽しさがあることが、同じ教室で学ぶことの良さだと感じます。

 作成したロゴマークは、Googleフォームを使って提出してもらっていました。生徒から、「提出したあと、上乗せできますか?」という質問がありましたが、品田先生は「回答を1回に制限していないからできます」と答えていました。複数回提出した生徒の作品は、最新のものを評価することになるそうです。こうして「何度も提出して大丈夫」という制作の文化がすでにできていることを感じさせられるやりとりでした。

(為田)