2023年2月20日に新渡戸文化中学校・高等学校を訪問し、高校1年生の英語の授業「理想の教科書発表会」を参観させていただきました。発表会後の5時間目に、NITOBEシアターで山本崇雄 先生による「英語エンゲージメント」の授業についてのプレゼンテーションを聴きました。
「英語エンゲージメント」のクラスは、英語の学び方を学ぶプロジェクト型学習を行っている授業です。「英語の学び方を学ぶ」ことがゴールで、英語の能力の違いは関係ないため、中学生5クラスを合同授業にして山本先生が1人で教えているそうです。1人で5クラスの授業を担当することで、学校全体として先生方の時間を生み出す働き方改革を実現する効果も出ているそうです。
午前中に高校1年生が発表をした「理想の教科書」プロジェクトは、「なぜ教科書はおもしろくないか?」を考えるプロジェクトになっています。
山本先生は、教科書がおもしろくないのは、そこに子どもたちの意見がほとんど入っていなくて、先生にとって「教えやすい」教科書になっているからではないか、と言います。「教えやすい」教科書が必ずしも「学びやすい」教科書になるとはかぎりません。
生徒たちは、自分たちなりに教科書を何度も読み返して、「教えやすい」教科書ではなく、自分たちで「学びやすい」「学びたくなる」教科書を考えていたと思います。
理想の教科書を考える前には、YouTubeで英語を学べるチャンネルをたくさん見て分析する「英語系YouTuberを分析しよう」というプロジェクトも行ったそうです(中学生のiPadには制限をかけているため、YouTubeが見られなかったので、高校生だけが行ったそうです)。
「英語系YouTuber分析」のワークシートを配布して、「魅力度(面白さ、ビジュアルなど)」と「英語役立ち度」の2つの軸で評価をしてもらったそうです。山本先生は、「子どもたちが自分で発見したものは、やるようになります。どんなに完璧な教材であっても、与えられたものに反発して使わなければ意味がない」と言います。
英語系YouTuberを分析することで、英語の勉強法のヒントを生徒たちは得ているそうです。理想の教科書のプレゼンテーションの中にも、この分析から考えたアイデアなどが入っていたのではないかと思います。
生徒たちが見つけてきた英語系YouTuberには、先生たちが知らないものもたくさんあったそうで、先生方も生徒から学ぶところもあるようです。
こうした取り組みと合わせて、映画やニュースの英語の聞き取りに挑戦したり、英検や入試問題を題材に学んだりすることも並行して行い、中身の濃い時間になっている、と山本先生は言います。
こうした英語エンゲージメントの授業を通じて、生徒たちは英語の学び方の選択肢を増やし、自律して英語を学べるようになっていくと思いました。
(為田)