教育ICTリサーチ ブログ

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鎌倉市立岩瀬中学校 授業レポート No.3(2024年1月26日)

 2024年1月26日に鎌倉市立岩瀬中学校を訪問し、仲井間善之 先生が担当する1年3組の理科「大地の成り立ちと変化」の授業を参観させていただきました。仲井間先生の授業では、毎回の授業で学んだことをPadletにアップロードすることで、生徒一人ずつの学びの記録がポートフォリオとして見られるようになっています。授業の最初にPadletを使って前回の授業のふりかえりをしました。

 仲井間先生はGoogleドキュメントにスケジュールなど授業で使うプリントをアップロードしていて、すべてが生徒と共有されています。
 最初の5分間でこの日の授業の内容について仲井間先生が生徒たちと共有して、その後の30分間で生徒たちは各自で実験・観察・調査を行います。どこでどんなふうに学ぶべきかは生徒一人ひとりで違うので、それぞれが自分に必要なことを必要な場所で進めていきます。
 「授業の最後にクラス全体で共有をするので15分残して、ここに帰ってきてください」と仲井間先生が言うと生徒たちはそれぞれに学びを始めていきます。

 教室には、生徒たちが自分で考えて実験をしたり観察をしたりできるように、さまざまな学習教材が用意されていました。
 教室の後ろには参考書籍やいろいろな火成岩の標本が並んでいる机がありました。実物を見たり、手にとって見たりしながら考察をすることができます。この机に来て、「これ、全部火成岩ですか?触っていいですか?」と生徒が質問すると、仲井間先生は「もちろん」と答えます。こうしたやりとりから、さらに生徒たちが学びを深めることに繋がるやりとりが進んでいくこともあります。

 実験用具ができる机も用意されていました。クラス全員で一緒に実験をするのではなく、自分たちで実験の必要があると思ったことを自分たちで好きなときに実験できるようになっています。また、何度も繰り返して実験をすることもできます。

 双眼実体顕微鏡が用意されている机もありました。自分で「これを調べたい」と思ったタイミングでできるのがいい。

 接眼レンズにiPadをくっつけて標本を撮影している生徒もいました。撮影した画像をGoogleスライドに貼りつけて、考察を入力していきます。

 生徒たちが取り組んでいる課題の最終的なアウトプットは、「火山災害が発生した1週間後のドキュメンタリーニュース」または「地震災害が発生した1週間後のドキュメンタリーニュース」を制作することです。
 グループで協力しながら、Goodnotes、Googleドキュメント、Googleスライドなど、それぞれ自分に合った方法で学んだことをまとめていきます。

 授業のクラスルームでは、評価シートも共有されているので、生徒たちは、評価シートを見ながらプロジェクトに取り組んでいます。評価シートが共有されていることで、生徒たちはどんなふうに学ぶことが期待されているのかを知ることができます。

 授業が終わる15分前に、生徒たちはみんな自分の席に戻って、今回の授業で学んだことを隣の人と発表し合います。仲井間先生が評価シートを配布して、発表3分+評価シート記入1分で行っていました。iPadで調べた内容を指し示しながら発表をしていきます。
 生徒たちはそれぞれに自分の言葉で語っていて、自然と身振り手振りも出てきて、熱意がこもった発表になっていました。それぞれに自分のペースで自分の視点で調べたり観察したり実験をした後だからこそ、熱意がこもった発表になるのだと思います。こうして全員が自分の言葉で話す機会があるということが大事だと思います。

 発表し合う時間が終わったら、Padletに今日調べた内容をアップロードします。こうしてこの日に学んだことがPadletに加わって、次の学びへと繋がっていきます。Padletは、先生が進捗を確認するために用いるだけでなく、生徒同士でもクラスメイトの学びがいまどんな状況なのかを参考にすることもできます。

(為田)