教育ICTリサーチ ブログ

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EDIX東京 イベントレポート No.3(2025年4月24日)

 2025年4月24日に東京ビッグサイトで開催されているEDIX東京へ行ってきました。EDIXはたくさんのセミナーやプレゼンテーションを聴き、最新情報や授業事例などを知ることができる場であり、「教育の情報化」を目指す仲間たちと会える場だと思っています。

 文部科学省 初等中等教育局 寺島史朗さん、つくば市立みどりの学園義務教育学校 中村めぐみ 教頭先生、春日井市教育委員会 教育研究所 水谷年孝 先生、鹿児島市教育委員会 教育DX担当部長 木田博 先生、青森県八戸市立江陽小学校 石井一二三 教頭先生が登壇された、セミナー「次世代の学びとデジタル学習基盤の更新 -報告書を読み解く- 」に参加してきました。印象に残ったことをメモとして共有したいと思います。
 タイトルに入っている「報告書を読み解く」という文言。ここでの報告書は、登壇されている皆さんがメンバーとして関わっていた文部科学省次期 ICT 環境整備方針の在り方ワーキンググループが2024年7月に出した、「次期ICT環境整備方針の在り方ワーキンググループ 取りまとめ」のことです。

 文部科学省のサイトでPDFが公開されています。

www.mext.go.jp

 文部科学省の寺島さんが「次期ICT環境整備方針の在り方ワーキンググループ 取りまとめ」に書かれているコンセプトを紹介してくださいました。
 まずは、「はじめに」の最初の部分で、「GIGAスクール構想は学習観の変容を目指すもの」である、というところが強調されました。ここ、本当に大事だと思います。「次期ICT環境整備方針の在り方ワーキンググループ 取りまとめ」の文章を紹介したいと思います。

ICT を活用して、個人がそれぞれの興味・関心等に応じて自身ならではの活動をすることや、多様な他者と協働すること等は、社会の中では今や当然のことであり、1人1台端末を始めとするICT環境を通じた個別最適な学びや協働的な学びの実現は、ICTによって現実の社会の中で行われている方法で児童生徒も学ぶことによって、学校教育を時代に即したものとすることである。(略)
GIGA スクール構想は、上記のように学習観の変容を目指すものであり、整備する機器等はそのためのツールに過ぎない。このため、本取りまとめにおいては、「円滑なクラウド活用を前提とした1人1台端末をはじめとする学校の ICT 環境は、これまでどおりの指導や学習を単に効率化するための付加的な整備ではなく、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実等を図る上で必要不可欠な学習基盤である」ということを、学校の ICT 環境整備の基本方針とすべきとした。 (p.1)

 また、「はじめに」の最後のところを紹介しながら、「単に整備が求められる機器などのリストではない」ということが強調されていました。

今後、文部科学省では、本取りまとめを受けて、新たな ICT 環境整備方針と、これに基づく新たな整備計画を策定することになるが、地方公共団体において、これらの方針や計画が、単に整備が求められる機器等のリストのように捉えられるのではなく、地域の実情に応じて、それぞれにとって最適な ICT 環境の整備とその適切な運用を確保し、ひいては令和の日本型学校教育の実現のための授業改善につなげていくための指針として位置づけられることを強く望むものである。(p.2)

 また、「おわりに」にも同じことがまた書かれています。ワーキンググループとして重要なメッセージとしてこの文言が書かれている、ということをおっしゃっていました。

冒頭「はじめに」において述べたように、本取りまとめを受けて今後策定される新たなICT 環境整備方針と、これに基づく新たな整備計画が、地方公共団体において、単に整備が求められる機器等のリストのように捉えられるのではなく、「令和の日本型学校教育」の実現に向けた ICT 環境整備とその適切な運用を確保していくための指針として位置づけられることを強く望むものである。また、文部科学省においては、これらの計画や方針の策定に当たって本取りまとめの内容を十分に踏まえるとともに、各地方公共団体での整備・運用が適切なものとなるよう取り組んでいくことが求められる。関係者それぞれの一丸となった取組みにより、これまでどおりの学習環境を単に効率化するための付加的な環境整備ではなく、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実等を図るための必要不可欠な学習基盤としてのICT環境が確実に実装されることを期待する。 (p.19)

 セミナーの中でも、「それぞれの自治体が目指す学びの姿を考えることが大事」という言葉も出ていました。登壇した先生方からも、各自治体でどのような取り組みをしているか事例が紹介されました。

 整備をするためには「どんな学びを目指すのか」を定めていなければなりません。「どんな学びを目指すのか」が定まっていなければ、整備案が十分なものかどうかが評価できないはずだからです。
 学校のICT環境整備は本来あくまで入口なのですが、それを「出口」=目指す学びを決めないままに時間に追われてしなければならない自治体も多いのが事実だと思います。

 どう出口を設定するか、その出口までどうやれば行けるのか、というポイントで学校の先生方をお手伝いしていきたいなと思いました。

 「次期ICT環境整備方針の在り方ワーキンググループ 取りまとめ」、PDFで19ページだけなので、ぜひ読んでみていただきたいです。全部が難しければ、「はじめに」と「おわりに」だけでもぜひ。

 No.4に続きます。
blog.ict-in-education.jp


(為田)