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神奈川県立上鶴間高等学校 授業レポート No.2(2025年5月12日)

 2025年5月12日に神奈川県立上鶴間高等学校を訪問し、夕田哲也 先生が担当する3年6組の国語表現「自己PR文 高校生活でがんばったこと」の授業を参観させていただきました。
 授業の最初に夕田先生は単元の目標と課題の概略を電子黒板に映して、生徒たちに学んでほしい内容を共有していました。単元の目標は「伝わりやすい文章の構成を再確認すること」と「自己PR文に求められていることを理解すること」でした。

 これまでの時間で「高校生活でがんばったこと」の書き方についてはすでに生徒たちに説明されていて、Googleドキュメントで300~400字の文章を書いているところでした。
 この日の授業では添削グループワーク(10分間)をすると夕田先生が生徒たちに伝えていましたが、その前にまず自分の書いた文章を見直す時間を10分間とりました。

 夕田先生が配布したプリントには、生徒たちが参考にできるよう書き出しの例だけでなく、Googleドキュメントを使って文章を書くことに、原稿用紙と比較してどのようなメリットがあるのかも書かれていました。文字数カウントの仕方や切り取り&貼り付けのショートカット操作なども紹介されています。こうした操作を知ることで、文章を書くときの推敲作業が楽になるので、高校ではこうした操作方法を伝えることも大事だなと思いました。

 添削グループワークに入る前に、練習としてクラス全員で夕田先生の書いた文章を添削する活動をしました。ロイロノート・スクールで夕田先生の書いた「高校生活でがんばったこと」を配布して、生徒たちが読んで添削をします。生徒たちは、添削して直した方がいいと思う点を、ロイロノート・スクールで書いて提出します。
 夕田先生の書いた文章には、誤字や脱字など指摘しやすい箇所がわざと用意してあり、最初はそれらを見つけていく作業から始められるので、生徒たちにとって取り組みやすかったと思います。
 提出箱に並んだ生徒たちのコメントには、「つとめるの漢字が違う」「ですます統一してない」などが書かれていました。誤字脱字などのミスを探す添削だけでなく、「(高校時代に)何が大変だったかが書かれていない」という内容的な点を指摘することができている生徒もいました。グループ添削に向けて、内容的な面まで指摘できるといい、という練習ができたのはよかったと思います。

 クラス全体で添削の練習が終わったら、添削グループワークに入ります。グループ内で全員の書いた文章を読んで、気になったところを質問して、その場で修正していくという形式でした。
 タブレット端末を回してみんなで読んでいましたが、Googleドキュメントで文章を書いているので共有設定をして、GoogleクラスルームでURLを共有して、コメントを書き込んでもらう形式にしてもいいと思いました。

 グループ添削を終えたら、自分の書いている自己PR文を推敲していきます。上鶴間高校では、生成AI「Gemini」を生徒たちが使えるようにしているので、Geminiも使って推敲作業を進めていきます。
 夕田先生は、電子黒板でGeminiを開いて、「以下の文章は、大学入試用の自己PR文です。文法や誤字脱字など、訂正があればしてください。」と書いて添削してもらうデモを見せます。

 Geminiから添削案が返ってきたら、夕田先生は、「Geminiは万能ではありません。Geminiの修正案を採用するかどうかは、自分で決めてください」と伝えていました。内容についてGeminiに添削してもらっていた生徒は、「Geminiの言うこともわかるんですけど、それだと400字を超えちゃうんですよね」と言っていました。

 Geminiは、添削だけでなく、「高校生活でがんばったこと」を書き始めるときにも使っていたそうです。夕田先生が配布したプリントには、Geminiにもアイデアを出してもらうように、どんなプロンプトを使えばいいかがまとめられていました。
 授業でも、以下のようなプロンプトをGeminiに入力してみて、どんなふうに夕田先生の自己PR文のアイデアをまとめてくれるのかを体験していたそうです。

  • あなたは私の先生です。
  • 私はこれから大学入試の自己PR文を考えます。
  • 以下の取り組みから、私の長所や能力を教えて下さい。
    • 文化祭の劇で脚本を書いた。
    • 軽音楽部の部長を務めた。

 こうして、生成AIをアイデア出しや添削作業のところで使う場面が授業の中に多くあるのはとてもいいなと思いました。

 No.3に続きます。
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(為田)