2021年1月18日に、淑徳小学校を訪問し、細川雅史 先生が担当する3年生のプログラミングの授業を参観させていただきました。この授業では、教材としてロボット掃除機ルンバを作っているアイロボットが出しているプログラミングロボット「Root(ルート)」を使っていました。
会場となった理科室の机には、1台のRootとiPadが置いてあり、2人1組でプログラムを組んでいきます。授業の最初に細川先生から、「アイロボットって知ってる?」と質問すると、「知ってる!」「コマーシャルで見た!」「掃除するロボット!」「うちにある!」と子どもたちからたくさんの反応が返ってきました。
続けて細川先生は、「今日のプログラミングの授業では、Rootをミニルンバのように動かしてみましょう。そのためにどんなプログラムが組めるか、やってみましょう」と言い、授業をスタートします。
最初に、Rootの電源を入れます。電源を入れるとRootの目に光が灯り、目を覚ましたように見えます。ここで子どもたちからは、「かわいい!」という声があがります。子どもたちは、ここでRootに親しみを感じてくれていたように見えました。
次に、iPadにインストールしてある「iRobot Coding」というアプリを使って、机の上にあるRootとiPadを接続します。それぞれのRootには番号が振ってあるので、教室に同時にたくさんのRootがあっても接続するのは簡単です。
細川先生はiRobot Codingの画面を投影しながら、ブロックをつなげて、どんなふうに動くかを決める様子をデモンストレーションしました。簡単に前に進むブロックをつなげて、実際にRootがどうやって動くかを見せるために、Rootを黒板に貼ります。Rootの底面にはマグネットがついているので、黒板やホワイトボードに貼って、垂直に動かすこともできます。こうした部分は、学校で子どもたちにデモンストレーションを見せるときには非常にいいと思います。
この後、細川先生はワークシートを配布します。ワークシートには全部で7つのミッションが書かれていて、最初の2つが初歩的なものなので、まずはその2つをやり、残りのミッションは、LEDでライトをつけたり、音を鳴らしたり、繰り返しの動作を作ったり、Rootについているバンバーセンサーを使って何かにぶつかったときにどうするのかと条件を決めたり、とさまざまなブロックを使えるようになっています。子どもたちは、自分たちでどのミッションをやろうかを決めて、どんどん取り組んでもらいます。
ワークシートにはただ1つの正解が書いてあるわけではありません。例えば、4マス×4マスのマットを「くりかえし」ブロックを使ってRootが2周まわるようにしましょう、というミッションがありますが、「1周回る動きをプログラムして、それを2回くりかえす」のでも、「最初の辺を移動して向きを変える動きをプログラムして、それを8回くりかえす」のでも、どちらでもOKです。正解は1つではなく、子どもたちが自分たちで「こうやったらいいんじゃない?」と考え、それを実際にやってみて、ダメならどんどんやり直す、という試行錯誤をしていたのが印象的でした。
授業の間、細川先生はそれぞれのテーブルをどんどん見ていき、子どもたちが作ったRootの動きを一緒に見てあげていました。ぶつかったときの動きを作ったり、音が出るようにしておもしろい動きをするようにしたり、光の色をどんどん変えたり、子どもたちの考えるRootの動きは本当にいろいろです。
おもしろいプログラムを作っているグループがいれば、みんなを集めてみんなで見てみたり、ディスプレイにiPadの画面を投影してRootを黒板に貼って動かしてみたり、みんなで見る機会を細川先生が作っていました。
他のグループのRootの動きを見て、「あ、これいいな」「やってみたいな」「いいこと思いついた!」と子どもたちが言うシーンもありました。こうして、プログラミングをすることの楽しさを知ってもらえるといいな、と思いました。
45分の授業のなかで、Rootがどんな動きができるのかについては、十分に理解できたようでした。この後、ミニルンバであるRootの役に立つロボットの機能を自分で考えて、Rootにプログラムしてデモするという授業に続いていきます。この後、ミニルンバであるRootを使って、テクノロジーがどんなふうに自分たちの生活を変えていくのか、ということを考える機会になっていけばいいな、と思いました。
(為田)