2025年3月6日に戸田市立芦原小学校を訪問し、堀口哲生 先生が担当する4年2組の国語の授業「調べて話そう、生活調査隊」を参観させていただきました。子どもたちは給食や睡眠時間など生活に関わるテーマについて、グループに分かれてアンケート調査をしていました。Googleフォームで行ったアンケート調査の結果を紹介するプレゼンテーションを作っています。
授業の最初に堀口先生は、デジタル教科書の「調べて話そう、生活調査隊」のページを電子黒板で映して、発表原稿の例文を紹介していきます。その後で、デジタル教科書に収録されている、生活調査をした結果を発表しているお手本動画をみんなで見ます。文字情報で発表のポイントを紹介されるだけよりも、こうして実際に発表している様子が見られるのは効果があると思います。

「お手本動画のプレゼンテーションでよかったところはどこですか?」と堀口先生が質問すると、子どもたちからは「グラフや表を使ってまとめられていた」「はきはきと話していた」という答えが返ってきました。
アンケート調査の結果を説明するときにグラフと表を使えるように、堀口先生はロイロノート・スクールで棒グラフ、折れ線グラフ、円グラフ、表の特徴を紹介したカードを映して、それぞれ伝わり方に違いがあることを説明しました。

ここから、席を移動してグループのメンバーで集まって座って、自分たちのプレゼンテーションのスライド制作を行っていきます。スライドを作るツールは指定されていなかったので、グループごとにCanvaやGoogleスライドを使っていました。CanvaとGoogleスライドはどちらも共同編集ができるので、グループ全員で同時にスライドを編集していきます。調査をした内容を入力する子や、Googleフォームの回答を集計したグラフをスライドにペーストして説明を入力する子、イラストを挿入したりスライド全体のデザインをする子、というふうに分担しながらスライド制作が進んでいきます。
一人ひとりがスライド制作をしているだけでなく、グループの中にはスライド全体の制作方針を編集長的にとりまとめる子がいることもあります。何もない状態から文章を書くのが得意な子がいれば、誰かが書いた文章を直すのが得意な子もいて、いろいろな取り組み方がグループの中で行われるようになるといいなと思います。

自分の担当している作業が進んでくると、途中でグループのメンバーに「ねえ、みんな一旦これを見てほしい」と言って画面を見せて話し合いをする場面も見られました。
スライドを共同編集しているので、みんなが自分のChromebookの画面を見ながらディスカッションをすることもできますが、それではお互いの視線が合うこともないし、内容についてのディスカッションもあまり進まないように思います。
みんなが一度、自分のChromebookの画面から目を上げて、「これを見てほしい」と声をかけた子がChromebookの画面に映すスライドのページをみんなに見せながら、文章やイラストの意図を説明したり、感想を言い合ったりしながら、スライド制作の方向性を確認し合う場面があることはとても大事だと思います。

みんなが分担して作って終わり、というふうにならないように、こうしてグループの中で話し合いが行われて、みんなでやりとりをしながらより伝わるスライドを作る雰囲気を教室に作ることが大事だと思います。
そのために、スライドの文章を何度も書き直したり、デザインを何度もやり直したり、いろいろな伝え方を試行錯誤したりすることが大事になります。これはデジタルで編集しているからこそ、子どもたちにとってはやりやすいものになると思います。
一方で、このようにみんなでやりとりをしながらより良いスライドを作っていく雰囲気を作るには、共同編集ができるツール(今回の授業であればCanvaやGoogleスライド)を使いこなせればそれでいいわけではなく、授業の中での先生の声掛けや価値づけ、上手にできているスライドへの評価の共有など、が必要です。こうしたことこそ、学校の授業で長期間にわたって少しずつ育んでいけることだろうなと思います。
No.2に続きます。
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(為田)