教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

東京書籍『NEW HORIZON English Course』 学習者用デジタル教科書 体験&授業づくりワークショップ レポート(2025年8月4日)

 2025年8月4日にTOPPAN小石川本社ビルにて、東京書籍株式会社と弊社フューチャーインスティテュートで開催した、『NEW HORIZON English Course』 学習者用デジタル教科書 体験&授業づくりワークショップの様子をレポートします。
 今回のワークショップでは、学習者用デジタル教科書の機能を網羅的に紹介するだけでなく、『NEW HORIZON English Course』の学習者用デジタル教科書や生成AIを参加した先生方一人ひとりに体験してもらいました。

学習者用デジタル教科書とは?

 最初に学習者用デジタル教科書についての概要を紹介してから、学習者用デジタル教科書でできることとして以下の4つを紹介しました。

  1. 図版や本文の拡大
    教科書の図版や本文をクリックして拡大表示
  2. 表示の変更・読み上げ
    総ルビ・分かち書き表示や配色の変更、本文の機械音声読み上げなど
  3. 書きこみ
    ペンツールを使って、自分の考えを図版や表に書きこむ
  4. デジタルコンテンツとの一体的な使用
    QRコードやDマークなどから様々なデジタルコンテンツへリンク

 会場のモニターに学習者用デジタル教科書のページを映しながら、それぞれの機能についてデモンストレーションを行いました。
 デジタルコンテンツを活用して英文を再生するときには、再生速度を調整したりマスキングをしたり、生徒たちが自分の習熟度に合わせてデジタル教科書のコンテンツを学習に活用できることを紹介しました。
 ペンツールを使って自分のデジタル教科書に書き込みをしたり、スタンプを押す機能も紹介するときには、「紙のノートやプリントに書き込むことと、デジタル教科書に書き込むことで、英語の学習としてどのような違いがあるのか、先生方の考えを伺いたいです」ということを伝えました。

 また、「学習者用」デジタル教科書と「指導者用」デジタル教科書の同じページを並べて比較もしてみました。

授業事例の紹介

 学習者用デジタル教科書の機能を紹介した後で、僕がこれまでに参観させていただいた学習者用デジタル教科書を活用した授業事例として、学習者用デジタル教科書で教科書に書かれている英文音声を何度も再生して聴いて、Googleドキュメントの音声入力ツールを使って発音練習をしているたつの市立龍野西中学校の授業と、生成AIなどを活用しながらプレゼンテーションの準備をする聖徳学園中学・高等学校の授業を紹介しました。

 この後で参加者の先生方一人ひとりに学習者用デジタル教科書を使ってもらいましたが、その前に実際の授業の様子を紹介することで、授業づくりへと繋がりやすくなるといいと考えました。

学習者用デジタル教科書を使ってみる

 授業事例の紹介が終わったところで、参加者の先生方にIDとパスワードを配布します。この日のワークショップには、先生方に端末を持ってきていただいていたので、自分の端末で学習者用デジタル教科書にログインしてもらって、好きな学年で自由に学習者用デジタル教科書を使ってもらいました。

 参加者のテーブルごとに「こんなコンテンツがあった」と情報交換もしてもらうために、学習者用デジタル教科書を自由に使ってもらう時間を多く取りました。
 会場には東京書籍の教科書を編集している方も、デジタル教科書を制作している方もいらっしゃったので、どのテーブルでもたくさんの質問が出ていて、その場でプロフェッショナルな意見を先生方とやりとりすることもできていました。

グループでシェア、全体でシェア

 自由に学習者用デジタル教科書を使ってみてもらった後で、学習者デジタル教科書についての意見を、Padletで共有してもらいました。「授業アイデア」「イチオシ機能」「質問」「改善アイデア」の4つの観点を色分けして、それぞれのカードに書いて貼ってもらいました。

 参加してくださった先生方からいただいた「授業アイデア」を一部転載します。こうして、その場で授業アイデアを考えて共有できることが、「デジタル教科書」という広いセグメントではなく「中学校英語」という専門的なセグメントでワークショップを開催する意義だと思っています。

  • 「伝わる文法!」プレゼン
    iPadでデジタル教科書の画面をスクショし、Keynoteで文法のポイントを整理したスライドを作成。図や音声でわかりやすく説明し、録画機能を使ってプレゼン動画を完成させる。ロイロノートやTeamsを使って提出・共有し、クラス全体で学び合いを深める。
  • 個別(音読&リスニング)
    Previewのリスニングをそれぞれが行う。教員の音読指導ではなく、生徒が個別に聞いて、音読練習をする。
  • 特別支援学級在籍の生徒
    苦手意識の強い生徒もクイズには、喜んで取り組みます。もっと、問題が増えたらいいなと思います。
  • 生徒が教える授業
    各グループで担当のパートを決め、本文内容のTFやQAを生徒が作り、先生役をする。その際にデジタル教科書を活用する。
  • ペア・ディクテーション
    • (1)ペアをつくる
    • (2)Aさん:Picture cardの自動再生機能を使って聞こえてきた言葉を再生 Bさん:ドキュメントにタイピング
    • (3)(2)のくりかえし (注:役割を入れ替えて、ですかね?)
    • (4)学習者用デジタル教科書を使って単語のチェック

 Padletに書き込んでもらった「質問」のうちのいくつかについて、その場で東京書籍の方々に回答もしていただけました。こうして、教科書を作っている人たちと、現場で教科書を使って教えている先生方との間での交流が進んでいけばいいと思っています。

特別講演:「表現する意欲も力もアップ!生成AI活用紹介」

 授業アイデアの交流が終わった後で、國學院大學教育開発推進機構兼任講師・豊嶋正貴先生による特別講演「表現する意欲も力もアップ!生成AI活用紹介」を行いました。豊嶋先生が講師を務めている東京書籍のサイト「としま先生の生成AIの教室」のコンテンツを紹介しながら、参加者の皆さんに生成AIのプロンプトを実際に書いてもらいながら講演を進めていきました。

 「生成AIを活用するといろいろなことができる」という情報はたくさんあるものの、なかなか自分でプロンプトをつくったことがある、という人は少ないのが現状だと思います。
 こうして参加者の先生方が同時にプロンプトを活用して、生成AIから引き出した回答を日々の英語教育にどう活用できそうなのかを考えることができる機会は貴重だと思いました。

教科書AIワカルの体験

 最後に、東京書籍で開発中の教科書学習用AIアシスタント「教科書AIワカル」について、東京書籍の万博・ヴァーチャルアカデミー推進室 田中貴裕さんによるプレゼンテーションが行われました。
 AIを活用した学習教材はたくさん開発されていますが、学校で生徒たちが使っている東京書籍の教科書の体系的な学習内容を活かしながら、AIとの対話を通じて、より深い理解と実践的な力を身につけることができる、というのは東京書籍ならではの強みだと思います。

まとめ

 ワークショップの前半は学習者用デジタル教科書、後半は生成AIという形で、とにかく参加者の先生方に「自分で体験してもらう」ということができたかと思います。
 参加した先生方からは、「学習者用デジタル教科書でできることがわかったこととAIとの付き合い方も考えられたことがよかった」「どれも全て勉強になりました。AI教室は初めてだったので面白かったです!」「学習者用のデジタル教科書の使い方がよくわかりました。またA Iの活用について、こんなこともできるかと感激しました。中身の濃い時間でした」「豊嶋先生のお話は、現職教員にとってヒントに富んでおりためになった」というフィードバックもいただきました。

 学習者用デジタル教科書も生成AIも、一人1台の学習者用端末が普及しているからこそできる新しい学びの形だと思います。それらを先生方が授業に取り入れて「教え方」がパワーアップすることで、生徒たちの「学び方」もまたパワーアップすると思っています。そうした授業のパワーアップに今回のワークショップが役立てたらいいなと思います。

(為田)