2025年2月21日に東京成徳大学中学・高等学校を訪問し、中川琢雄 先生の担当する5年生(高校2年生相当)の社会の授業を参観させていただきました。この日の授業は「室町時代のターニングポイントとキャッチコピー」で、生徒たちがグループになって、室町時代の出来事から3つのターニングポイントを選び、そのターニングポイントにキャッチコピーをつけて発表しました。
生徒たちは自分のiPadを使って発表をします。授業の最初に準備の時間があったので、スライドを見直したり、発表原稿をチェックしたり、分担を決めたり、ギリギリまで準備をしていました。
それぞれのグループの発表を見ていると、グループによって政治上の出来事を取り上げたり、商業と文化の関わりを取り上げたり、いろいろな視点からテーマを選んで、そのターニングポイントを選んでいました。
あるグループは、室町時代のターニングポイントに「正長の土一揆」「嘉吉の徳政一揆」「山城国一揆」と一揆を並べて、キャッチコピーを「格差」としていました。
歴史上の出来事をターニングポイントとして選んで紹介するだけでなく、そこに「キャッチコピー」をつける活動がおもしろいと思いました。また、そのキャッチコピーの妥当性を聴いているクラスメイトに共有するために言語化して伝えなければなりません。ただ暗記するだけでなく、いろいろな要素が入っている活動だと思いました。
今回の「室町時代のターニングポイントとキャッチコピー」の発表の、評価ルーブリックは以下のように4つの評価項目で設定されていました。
- 室町時代の理解:時代の大まかな流れを把握しているか
- A:年表や資料を十分に活用し、室町時代の流れと特徴を的確に捉えている。
- B:年表や資料を活用し、室町時代の流れと特徴を大まかに理解している。
- C:年表や資料を参考に、室町時代の流れと特徴を理解しようとしている。
- ターニングポイントの選定:3つの出来事を適切に選定できているか
- A:3つの出来事を、室町時代のターニングポイントとして適切に選定している。
- B:3つの出来事を、室町時代の出来事として選んではいるが、ターニングポイントとして適切か検討の余地がある。
- C:3つの出来事を、室町時代の出来事として選んでいるが、ターニングポイントとして適切とは言えない。
- ターニングポイントの説明:選んだ出来事の内容と意義を説明できているか
- A:選んだ3つの出来事について、内容と歴史的意義を説明している。
- B:選んだ3つの出来事について、内容の説明はできているが、歴史的意義の説明に改善の余地がある。
- C:選んだ3つの出来事について、内容の説明が曖昧であったり、歴史的意義に触れていなかったりする。
- キャッチコピーの表現:時代を表すキャッチコピーとして適切か
- A:室町時代の特徴や意義を捉え、的確なキャッチコピーを作成している。
- B:室町時代の特徴や意義を捉えているものの、キャッチコピーとしての表現に一工夫が求められる。
- C:室町時代の特徴や意義を捉えられていないキャッチコピーである。
1グループ発表が終わるごとに、発表を聴いていた人はGoogleクラスルームからGoogleフォームを開いて、フィードバックをします。
Googleフォームの回答をまとめたグラフをその場で中川先生が映しながら、フィードバックしていきます。ルーブリックが明確に決まっているので、数字の集計をその場で見られるのはいいと思いました。それと合わせて、フリーアンサーのコメントと中川先生からのコメントをグループに返していきます。
室町時代のターニングポイントとして考えられる出来事はたくさんあるので、どの視点でターニングポイントを選んだのか、ということを聴けるのがおもしろい発表でした。
(為田)