2025年7月23日に戸田市立戸田第一小学校を訪問し、デジタル教科書の活用研修を行いました。この研修は、2024年12月に行った学習者用デジタル教科書『新しい算数』体験&授業づくりワークショップに参加してくださった石塚怜美 先生からご連絡をいただいて実現したものです。
東京書籍株式会社 DX企画部の清遠和弘さんに講師を務めていただきました。45分間という短い時間でしたが、研修を受けながら実際にデジタル教科書に触ってもらえるように、先生方にChromebookを会場へ持ってきていただきました。

清遠さんは、指導者用デジタル教科書の基本構成として「教科書紙面」「デジタルコンテンツ」「ツール」の3要素があり、そのなかの「教科書紙面」と「デジタルコンテンツ」を使って、授業をよりわかりやすくなるようにするところから始めたらいい、ということを伝えます。
指導者用デジタル教科書の「教科書紙面」と「デジタルコンテンツ」を使うことで、子どもたちの学びをどう変えられるのか、先生方の授業をどう変えられるのか、ということを以下の5つのポイントに分けて説明していきます。
- 教科書の本文や図を拡大して、課題を焦点化
- 見せたい部分に注目させる
- 余分な情報を隠して課題を焦点化させる
- 細かい図版やグラフ、数直線を拡大して読み取りやすくする
- アニメーションや動画でわかりやすく説明
- 場面や題材(活動)をイメージさせる
- 学習内容に対する興味・関心をもたせる
- 動きをつけてわかりやすく説明する
- 理解できるまで何回も繰り返し演示する
- ふりかえりや繰り返しで確実に知識・技能を定着
- フラッシュカードやドリルで繰り返し練習をする
- 前の単元や学年の学習内容などを確認し、関連づけて扱う
- 試行錯誤により、思考力・表現力を高める
- 試行錯誤しながら解法を考えたり、法則を見つけたりする
- 条件を変えて結果がどうなるのか試してみたり、結果を比べたりする
- 自分の考えを整理したり、表現したりする
- 学級や子どもたちの実態に応じてカスタマイズする
- 学級や個人の状況に合わせて、問題を選択したり、追加の課題を提示したりする
- 教科書の紙面を編集して、オリジナルの教材を作成する
それぞれのポイントについて、算数のデジタル教科書の中からデジタルコンテンツを例として示しながら説明していきます。
「4. 試行錯誤により、思考力・表現力を高める」ポイントに関連して見せた、三角形の内角の和が180°になることを、いろんな三角形で試すデジタルコンテンツには、先生方から「おー」という声があがっていました。
清遠さんの説明を聴きながら、参加している先生方は自分のChromebookを使ってさっそくコンテンツにアクセスして、デジタルコンテンツをどんどん試しているようでした(教室のあちこちでデジタルコンテンツを開く音がしていました)。「このコンテンツ、自分でも動かしてみたい」と思わせることができるのは、研修としてとても大事なことだと思います。

それともうひとつ、「5. 学級や子どもたちの実態に応じてカスタマイズする」のところで紹介された「マイ教科書エディタ」については、「教科書の紙面を編集できることを知らなかったのでよかった」という先生がいらっしゃいました。
実際に先生方にデジタルコンテンツを体験してもらうために、清遠さんから4年生 下巻の「展開図をつくろう!」、3年生 上巻の「くりさがりのある筆算のしかたを考えよう!」、5年生 上巻の「きれいにしきつめられるか考えよう!」が紹介されました。
また、2学期の授業で先生方が使えるように、「学年ごとのおすすめコンテンツ」も紹介されました。研修の時間だけではすべてのデジタルコンテンツを見ることはできませんが、こうして学年ごとにおすすめコンテンツが提示されることで、忙しい先生方にも「とりあえずここにあるやつでやってみようか」と取り組みやすいスタート地点を提示できるのではないかと思います。

この日の研修の最初に、先生方にPadletのURLを共有してありました。研修の最中でもいいので、「感想・コメント」「授業で使ってみたいと思った機能」「質問」を色分けして入力してもらっていました。研修の時間内では全員分のコメントや質問を取り上げるのは難しいですが、Padletを使うことで研修後にゆっくり時間をとってコメントや質問を書いてもらうこともできます。また、研修終了後であっても、東京書籍のみなさんとPadlet上で質疑応答もできます。PadeltのURLを校内で共有しておけば、学校内でも記録としていつでも見てもらえます。

この研修をきっかけに、デジタル教科書が、先生方の授業作りに役立てられたらいいなと感じました。
(為田)