教育ICTリサーチ ブログ

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藤沢市教育文化センター研修講座レポート(2025年8月7日)

 2025年8月7日に藤沢市教育文化センター研修講座の講師をさせていただきました。これまで藤沢市教育委員会でのお仕事としては、2021年8月に校長・教頭研修(オンライン)、2023年5月に情報教育研究部会、2024年7月に藤沢市教育文化センター研修講座で講師をさせていただきました。
 今回は2年連続での藤沢市教育文化センター研修講座の講師登壇となり、「ICTを活用した授業づくり」というテーマでお話をしました。参加人数は64名で、多くの先生がICTを活用した授業づくりに関心をもってくださっているのはありがたいことです。このうち12名の先生は、昨年度も参加してくださっていたので、メインメッセージの部分は残しつつ、この1年で新しく見た授業事例や、新しく自分が考えて言語化したことも入れて話をしました。

ICTを「なぜ」学校で学ぶ必要があるのか

 講演時間150分間の前半では、「そもそもICTをなぜ学校で学ぶ必要があるのか」について話をし、その後で「ICTを活用した授業事例」をさまざまな教科・活用場面で使っているのを紹介し、それらをまとめて「教育ICT利活用の目的9類型」と組み合わせて紹介をしました。

 ICTを活用する授業を広げていくために、僕は「デジタルとは、これからの世界を生きる子どもたちにとってどのようなものであるのか」ということを、学校内できちんと言語化していくことが重要だという話をしています。
 僕は、「デジタルは人の能力を拡張してくれるもの」だと考えています、ということを伝えました。思考したり、表現したり、コミュニケーションしたり、さまざまな場面で能力を拡張してくれるものとしてデジタルを使ってほしいと思っています。
 だからこそ、「ただ授業支援ツールでプリントを配布して、書き込んでもらって提出してもらう」というだけではなく、子どもたちが思考・表現のツールとして使って、「手書きではこんなにこの子、書けてなかったけど、デジタルを使うとすごいな⋯」というような場面が授業の中で現れたらいいなと思っています。
 「デジタルは人の能力を拡張してくれるもの」という表現を正解として何かに取り組んでほしいわけではなく、それぞれの学校で、「うちの学校だと、Chromebookって、どういうものとして児童生徒に使ってほしいか」ということを考えるきっかけになるといいなと思っています。

ICTを活用した授業事例の紹介

 昨年度、この藤沢市教育文化センター研修講座で授業事例を紹介したときに、終了後に「あの授業、どのアプリ使ってるんですか?」「あれって、どうやってたのか具体的に知りたいです」というご質問をいただいたので、今年はデモンストレーションの時間も組み込んでみました。
 シンキングツールを使ってプレゼンテーションのネタ出しをした小学校2年生の授業を紹介する箇所では、プロジェクタでロイロノート・スクールの操作画面を映しながら、小学校2年生に対して実際に説明した手順をそのまま紹介しました。

 また、音声入力をして英語の発音練習をする中学校の英語の授業を紹介する箇所でも、プロジェクタでGoogleドキュメントの画面を映しながら、僕がその場で英文を読んで音声入力でどれくらい英語を聴き取ってくれているかを見てもらいました。

 こうして実際のデモンストレーションをして見せて、先生方に「あ、こういうこともできるんだ」という発見をたくさんしてもらいたいと思います。先生方は、授業事例を知ることで、「これだったら、自分の授業でもこういうのできるかもしれない」とアイデアを膨らませてくれると思っています。

 たくさんの小学校・中学校でのICTを活用した授業事例を紹介した後で、うまくICT活用が進んでいる学校では「なぜICTを使うのか」という目的が明確になっている、という話をしました。ICTにはいろいろな使い方があるなかで、9つに類型化した目的を紹介しました。9つ全部の目的を追い求めなくてもいいと思いますが、自分たちの学校として、どの目的を目指すのかということは決めたほうがいいと思います、という話をしました。

Padletで「コメント」と「質問」を共有

 講演時間の後半の最初には、Padletにアクセスしてもらって、コメントと質問を色分けして書き込んでもらう時間をとりました。会場が大きくてスクリーンが遠い先生方もいらっしゃったので、事務局の先生方にお願いをしてQRコードを印刷して配布してもらっていました。手元にQRコードがあることでアクセスしやすいだけでなく、QRコードが印刷された紙をそのまま勤務校へ持ち帰れば、今日参加していない同僚の先生に「こんなの使ったよ」とPadletを見せたり、Padletに書かれた内容を一緒に読んだりもできます。

 大人数でやる研修で「コメント・質問ある方はぜひ、挙手をお願いします」と言っても、そもそもそんなに手が挙がりません。手が挙がったとしても、コメント・意見を発表できる人数は時間の制約もあってそんなに多くありません。
 せっかくこうした研修講座を任せてもらったので、藤沢市の先生方が僕の話を聴いてどんなことを感じたのか、どんなことを疑問に思ったのか、できるだけたくさん聴かせてほしい(=読ませてほしい)と思ったので、Padletを活用しています。

 いただいた質問については、その場で答えられたものもありますが、全部は答えることができなかったので、Padletのコメント欄を使ってすべて回答しました。時間差はありますが、それでもすべての質問に回答できる、ということが重要だと思います(コメント欄は公開されているので、さらに返信をもらうことも仕組み的にはできます)。

 結果的に、僕の話したことへのたくさんのフィードバックをもらうことができました。また、僕に対するフィードバックだけではなく、Padletに書き込まれたものは全員が読むことができるので、自分で書き込みが終わった先生方は熱心に他の先生が書き込んだ文章を読んでいました。

 Padletに先生が書いてくださったコメントから、いくつかご紹介したいと思います。

  • 日々デジタルは取り入れていますが、子どもたちを救ってあげられる手立てがまだまだ取れるなと感じました。夏休み明け、ようやくタブレットが1人1台入るので、どんどん有効活用したいと思います。
  • 目的を意識することで有効にICTを活用していけると感じた。いままでも授業の中で使って来ていたが9類型を教えていただいたことによって解像度が上がったように感じる。これから授業の中で活用していくときにはなんのために活用するのかを意識していきたい。
  • いろんな教科、種類の事例をたくさん紹介していただいたので、「こうしたらできそう」「やってみたい」と思うものがありました。小3なので、まだローマ字入力の練習中なのですが、1学期に直接入力をやらせていました。音声入力も教えてやってみたいなと思いました。
  • 今日はありがとうございました。ICTの活用に苦手意識があったため今回参加させていただきました。先生は使えているが子ども達が使いこなせていないというお言葉。まさにそうだなと思いました。子どもに活用させていくための方法、自分はなんだか難しく捉えすぎていたのかな?と思いました。今日の講義を受けて早く授業を考え子ども達としたくなってきました。ありがとうございました。
  • この研修に来るまでは、ICTを使うことはただの手段で便利なものだと考えていましたが、為田さんのお話をきいて、力の拡張をするものだと聞き、なるほどと感じた。これからは便利なものというものではなくて、あって当たり前の世界で「生きる力」をつけるには、今の教育現場で、ICTを使い、今まで解き放たなかった力を得れるような利用方法を考えないといけないと思いました。

 お伝えしたかったことが、先生方にきちんと伝わっていることを感じました。本当にありがたいです。ここから、各校での実践に落とし込んでいくところでも、またお手伝いができたらと思います。

(為田)